23話 抑圧された感情の行き場所
ご飯を頂き、軽く勉強したら完璧に集中力が切れたので優の持っているゲームで皆と遊んだ。
気付けば夕方の17時過ぎで、お開きすることになった。
「今日はありがとうございまた。レシピも頂いちゃって」
「ご飯美味しかったです!!」
「…お世話になりました」
「気にしないで、何度も言うけどいつも優がお世話になってるお礼だから。また気軽においで!」
「そうだぜ!友達同士に遠慮なんか要らねーからな!」
「あんたは少し遠慮なさい!」
俺、美鈴、明美がお礼を言うと優の母親が優しく声をかけてくれる。
優は胸をはるが母親に頭をはたかれていて、皆で笑った。
「では、また改めて伺いますね」
「またね!」
「失礼します」
優の母親に引っ越す前にまた遊びに来てと言われていたのでまた伺うことを伝え別れの挨拶を交わし三人で帰った。
「和人くん本当に礼儀正しい子ね。優とは大違いだわ~」
「ほんと、なんであんな出来た奴が俺みたいな奴と親友なんだろうな~」
俺は少しおどけながら返す。
「ほんと、大人なんだよな」
「…学生の内は目一杯楽しんで欲しいわね。向こうへ行っても」
母さんは少し不安そうに呟く。
「…あいつ一人で抱え込むところあるからな。向こうでそれなりに気を許せる友達が出来れば良いけど…」
「親友じゃないんだ?」
母さんが少し意地悪く聞いてくる。
「…あいつの一番の親友は俺だし。それは変わらんから」
少しムッとしながら応えると母さんはクスクス笑っていた。
「…ただ和人が向こうに行くと俺にまで遠慮して余り頼ってくれなくなるんじゃないかって不安になるんだよな。まぁ、頼られても俺が出来ることなんて話を聞いてやることくらいしか出来ないんだけどさ」
俺は少し寂しい気持ちになりながらも恐らく自分の考えは間違ってないと思った。
和人は極度に親い人に心配をかけさせたがらない。
そんな抱え込みたがりの親友は隣でいつも見ている人が必要だと思うのは過保護というべきか。
「まぁ、和人の方が精神的にも大人だしおれの心配のしすぎだと思うんだけどな…」
「…あれは大人というより背伸びしてるのよ」
俺の呟きに母さんは否定するように応える。
「どれだけ大人びて見えていようと背伸びしようとまだ中学生、どうしても不安定になるわ。本当ならそれで反抗期になってもおかしくない年頃なのにね。環境だけでここまで変わるものなのかしら?」
「…おれも反抗期がないけど…てかさせて貰えないけど…」
「あら?親に反抗するなら自分でお金を稼いで一人暮らしすることね」
母さんにジト目を向けるが笑顔で正論を言われたので諦める。
「抑えつけた感情が変な感じで拗らせなければ良いけど…」
母さんが呟いた言葉に俺は和人なら大丈夫だろうと軽い気持ちでいた。
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