31話 自分の醜さを

どうも!暁清夜です。

今回から必要なときに前書きを入れていきたいと思います。

今回の話はキャラの心情がかなり急展開で好みが別れる話となっています。

(自分にとっては多少の)胸糞展開も入っていますが最後まで呼んでいただけると嬉しいです。

では、31話をどうぞ。



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ご飯を食べ終えた後渡辺の両親が迎えに来てお礼を言って一緒に帰っていった。

渡辺がいつの間にか連絡していたようだ。

俺はお風呂を済ませ、早めに父さんにお休みを告げて部屋のベッドにダイブした。

三人でご飯を食べている間も父さんは渡辺に話しかけていた。

これまで空いていた距離を埋めるように。

そんな父さんの言葉に渡辺は詰まりながら父さんと会話していた。

その様が何故かとても滑稽に見えた。

一度壊れたものを接着剤もなにも使わずただ直そうとしているような。

霧がかかって向こう岸が見えない川を飛び越えようと様子を伺っているような。

直すために何が必要なのか分かっているのにそれを使うことが出来ずにいる父さん。

水に濡れる覚悟も踏み出す勇気も無いのにその先を望んで足踏みする渡辺のように。


俺は喜劇でも見ていたのだろうか?





なに傍観者気取ってるんだ?


そんな俺の心に声が響く。


お前は観客にでもなったつもりか?

自分には関係ないと、部外者で野次馬で観客で傍観者だと?

ずいぶん偉くなったな。


不快な声だった。


不快だと言うならお前自体が不快だよ。

あいつが拒絶したから、あいつが望んだから、そう言ってすがり付くあいつにマウントとって自分は高みの見物か。

歪んでる。


本当のことだろ?あいつが関わるなと言った。

邪魔だと叫んだ。

もう子供じゃないんだと、そう言ったのはあいつだろ?

だから俺達はそうんだろ?

もう幼馴染みでもなんでもないただの他人にさ。


…他人?本当はそう思ってもいないくせに偉そうに言うなよ。


思っているさ、俺もアイツもそれを望んだ。


そうやって他人だと言い聞かせているだけだろ?ならなんで今日家に上げた?なんで拒絶しなかった?なんで父さんの前では渚って呼んだ?


それは!…そんなこと…出来るわけ…


人として当然?そんな酷いこと出来ない?父さんに心配かけたくない?

あんな二人の様をみて滑稽だと心で嘲笑ってるお前が?


…やめ…


教えてやるよ…お前の本質を…


…や…ろ…


お前は優しいんじゃない、人として当然の事をしたんじゃない…


…やめろよ!!


お前はすがり付くアイツを見て優越感を覚えたんだよ!


違う!!


違わないさ!!自分を責めてにすがり付くアイツを見て良い気味だと嗤って自分がまだ必要とされることに喜びを覚えていたんだよ!

だから拒絶出来ないのさ!

自分は悪くないから!

アイツが悪いから!

アイツがまだ俺についてくるから!!

本当に他人同士だと思っていたならこんなことにはなってなかったのさ!!


違う!違う!違う!ちがう!チガウ!


アイツのことが好きじゃない?

ああそうさな!こんなのは好意なんて綺麗なものじゃない!


やめろ…


もっと醜い…


ヤメロ!!


さ…


そう言っては嗤った。













~渡辺渚side~



久しぶりに正人さんと和人でご飯を食べた。

こうして和人の家でご飯を食べたのはいつ以来だろう?

家のベッドで丸まりながら考える。

一年たたないくらいな筈なのにとても懐かしく感じてしまう。

そしてそんな僅かな空白は確実に二人との距離を作ってしまっていた。

正人さんが学校は楽しいか、勉強は捗っているかと話しかけてきてくれている。

けどそれはやっぱりどこか腫れ物を扱うような距離を感じてしまう。

嫌でも他人なのだと実感させられる。

たとえ幼馴染みであっても、幼馴染みの父親であっても。

家族のように思っていた。

一緒に居るのが当たり前で、普通だと。



ならなんで和人にあんなこと言ったの?



ふと私の心に響く問い。

その問いに私は必死に言葉を探す。


本心じゃなかった?

イライラしていた?

あのくらいで和人が離れるわけがないと思った?

私の中の和人は髄分と優しいんだね。

ならなんで今和人は傍にいないの?


それは…


ずっと和人の傍にいたのに…一番近くにいたのに…

私は誰を見ていたの?


私は…周りを見ていた…和人以外の周りを…周りの評価を気にして…和人がいると周りの目が気になって…最後には自分で遠ざけて。

でも和人が遠くに行くのは嫌で…でも…


結局は和人が邪魔だったんだよね?


ちがう!邪魔なんて思ってない!!

私はただ…


ただ…何?


…ただ…普通に学校生活を送りたくて…


…私にとっての普通ってなに?


その言葉に私は凍りつく。

そして気付く自分がどれだけ矛盾しているのか…いや気付かないふりをしてきただけなのだと。

が突き付けるのだ。自分の矛盾と目をそらしてきた醜さを…


はどうしたいの?


…私は…もう一度…


やり直してどうするの?

また同じこと繰り返すの?


…そんな、こと…


しないって言いきれるの?



…本当に…救いようがないよね、



そうやっては冷たい目でため息を吐いた。





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