19話 勉強会


「よう!いらっしゃい!!」

「「「お邪魔します!」」」

俺は美鈴と明美三人で一軒家である青木家に来ていた。

「みんないらっしゃい!!狭い家だけどゆっくりしていってね!」

優のお母さんは優しい笑顔で迎え入れてくれて、とても40代とは思えないほど綺麗だった。

母さんも生きていたらこんな風に綺麗だったのかな…

「貴方が和人君ね!いつも優と仲良くしてくれてありがとう!」

少し感傷に浸っていると急に両手を握られてビックリしてしまう。

「え!ええ…こちらこそ」

「母さん!和人が困ってるだろ!!」

あまりにも唐突過ぎてしどろもどろに応えると、恥ずかしかったのか、優が母親に怒る。

「ごめんなさいね~。随分お世話になってたみたいだから。和人君家に呼ぶ時いつも私がいない日にするんだから。さぁ!上がって上がって!」

「…むぅ~」

優の母親に促されて上がるとき、美鈴が頬を膨らまして俺にジト目を向けていた。

「バカ」

「あはは…」

美鈴の罵倒に乾いた笑い声しか上げられなかった。



「さて!勉強しようか!」

優の部屋は広く、四人でテーブルを囲んで勉強する分にも問題なかった。

「なら優は…」

「俺は明美に教えて貰うわ!」

優は俺の言葉を遮って明美の隣に行く。

「…ということで、美鈴は和人に任せる」

明美がそう言うと美鈴は俺の隣に座る。

「よろしくね、年上好きの和人君」

美鈴はさっきの事をまだ引きずっているようだった。

優と明美は意地の悪い笑みを浮かべながらこっちを見ていた。

「よ…よろしく」

そうして4人の勉強会が始まった。



「この連立方程式を加減方で解きなさいってかいてるから、さっき説明したこれを使って…」

「あっ!そっかじゃあ…」

美鈴は元々頭は悪くないが、一度躓くとそれを引きずるという情報を明美から聞いていたので、わからないところを洗い出して教えるとするすると解けていた。

一方、優と明美ペアは…

「なんでこれくらいもわからないの?バカなの死ぬの?」

「うぐっ!」

「ここ違うってさっきも言ったでしょ!ミジンコの方がまだ優秀よ!」

「はぐっ!」

「はぁ、寝てるのかしら。なんなら永眠してもいいのよ?」

「むきゅぅ~」

最後に奇声を上げて優が机に倒れる。

「…優がなんだか可愛そうになってきた…」

「なんか明美、私の時より容赦ない…」

どうやら美鈴に教えるときもなかなかにスパルタなようだった。

「起きなさい蟻。あらまだ蟻の方が働き者だったわね」

「なんだか明美のやつ生き生きしてるな…」

「死体蹴りだよ…優のライフはゼロだよ…」

「オーバーキルだな」

ひたすら罵倒される優がを尻目に俺と美鈴は問題を解いていくことにした。

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