21話 テストの結果で…

「勝負か…良いよ」

明美に宣言されて俺はそれも楽しいかもと思い、素直に受け入れる。

「余裕ぶってると後悔するよ…」

「なんでそんなに殺伐してるの?」

闘志を燃やす明美に俺は苦笑いする。

「明美は和人くんと同じクラスになってずっと対抗意識燃やしてたからね~」

いつの間にか俺たちの会話を聞いていた美鈴が笑いながら明美を見ていた。

「これまで数学で勝ったことがない」

明美は学年2位の成績で、俺は3位と4位を行き来していて、明美に勝ったことはなかった。

だか数学だけは俺に勝ててなかったらしい。

「でも二人の成績じゃ小テストでは決着つかないんじゃない?」

美鈴は俺と明美は満点を取ると思っているようだ。

「…その可能性も考慮して平坂先生に難易度上げておいて貰うように言っておいた」

「はっ!!マジかよ!!」

明美の言葉を聞いた瞬間に死んでいた優が即反応して抗議を上げる。

「そんなんじゃ俺はボロボロになる未来しかないじゃないか!!」

「Shut up!!」

明美がだんだんヒートアップしてきているようで、英語まで使い始める。

「まぁまぁ優、もしここで良い点を取れば平坂先生に良いとこ見せられるかもよ?」

「…本当か?」

「元から眼中にないから「意外だな」くらいには思うんじゃない?」

「相変わらず辛辣!!でもそれなら頑張れるぞ!!」

「現金だね~」

相変わらず諦めてない優に美鈴は微笑ましそうに見ていた。

「ねぇ、美鈴も勝負したら?」

「私!?」

明美の言葉に美鈴は驚きで声を上げていた。

「…ちょっと来なさい」

美鈴は明美に呼ばれてこそこそと話をしていた。

優を見ると俺が教えているときより真剣に勉強していた。

自分で出来るじゃん…

「和人くん!」

話を終えた美鈴が少し顔を赤くして俺の前に来る。

「明日のテスト…私がテストの点で勝ったら!…は無理だから点数の差が5点以内だったら木曜日の放課後にデートして!!」

美鈴は言い終わったあと顔を真っ赤にして俯いてしまう。

テストは月曜で返却が水曜と聞いていた。

おそらくそれを利用して美鈴に提案したであろう明美といつの間にかこっちを見ていた優は暖かい目でニヤニヤしながら見ていた。

俺もだんだん顔が熱くなってきて美鈴の顔を見れなくなってきて俺もうつむきがちになってしまう。

「…そ、その…いいかな?」

美鈴が少し不安そうな声で聞いてくるから俺は少し焦る。

「い、いいよ。楽しみにしてる…」

俺はなんとか声を絞り出して応えると、美鈴の顔が輝くような笑顔を咲かせた。

明美との真剣勝負もあるから手を抜くつもりもないが、少し点数を落としたくなる気持ちに気付いて更に恥ずかしくなるのだった。

それから今度は明美が美鈴を教えて、明美がわからないところと優の勉強を俺が教えることで勉強が進んでいった。

「みんな~。ご飯よ~」

気付けばお昼で皆お腹が空いており、一階へ降りていくのだった。

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