概要
砂は全てを覆う。あの子も街も。
砂だけが増え続ける街。海はなくなり、砂は次第に街に入り込んでくる。砂嵐で家を失った香穂は、まるで魅せられたかのように素足で砂と戯れる。敏感な子どもたちはもう、未来を語る大人たちの言葉に空々しいものを聞き取って、自分達の将来は砂の中にしか無いのだと感じ始めていた。
(完結)
(完結)
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!心許ないこの身一つで私達はどこへ行く。
初めてこの作品に触れた時、極力主語を省いた複雑な文章にとても驚き、文章表現の幅広さを感じました。
最終話までお書きになるのは大変だったと思いますが、このような文章に触れることは滅多にないですし、最後までこの作品を読むことができ、とても嬉しかったです。
砂のある世界とない世界。
作中の世界と私達の世界とではその違いがありますが、心許ない体一つで、変えられない過去・ままならない現在・先の見えない未来を生きるのは同じだと思います。
私達は誰で、一体どこへ行くんだろう。
読み進めていくうちにそんな不思議な浮遊感を覚えます。
『わたしたちはわたしたち。あなたはあなた。』
先の見えない未来へ、常に…続きを読む