心許ないこの身一つで私達はどこへ行く。

初めてこの作品に触れた時、極力主語を省いた複雑な文章にとても驚き、文章表現の幅広さを感じました。
最終話までお書きになるのは大変だったと思いますが、このような文章に触れることは滅多にないですし、最後までこの作品を読むことができ、とても嬉しかったです。

砂のある世界とない世界。
作中の世界と私達の世界とではその違いがありますが、心許ない体一つで、変えられない過去・ままならない現在・先の見えない未来を生きるのは同じだと思います。

私達は誰で、一体どこへ行くんだろう。
読み進めていくうちにそんな不思議な浮遊感を覚えます。

『わたしたちはわたしたち。あなたはあなた。』
先の見えない未来へ、常に歩を進めなければならない私達にとって、勇気になる言葉だと思います。

素敵な作品を書いてくださった作者様には感謝しかありません。
ありがとうございました。

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砂委員