第二十七話 幼馴染とゴールデンウィーク③

ifストーリーが一つ出来上がりました。本編より先に出来上がった番外編とは。誰がメインかはお楽しみに。


 =====



「ねえ、明日は遊園地行かない?」


 華奈が遊園地のチケットを取り出しながら言った。某ネズミの遊園地だ。


「そのチケットどうしたの?」

「義父さんからもらったー」

「二日分ってことはホテルに泊まるの?」

「そうだよー」

「ちゃんと三人分ですね」


 実は僕は行ったことがない。赤崎とも行かなかった。行こうとは言ってたけど、高校生になってから、なんか赤崎の反応が悪かった。今思うと、壊与関連だったのかな。


「明日は朝から出かけて、お昼ご飯もあっちで食べる感じで!」

「うん、いいよ」

「急ですが大丈夫です」


 楽しみだな。今日のうちに支度しよう。



 ◆



 翌朝、しっかり起きて、遊園地に向かった。ゴールデンウィークだから赤崎と鉢合わせするかと考えたけど、杞憂だった。まずはホテルに荷物を預ける。遊園地に併設されたホテルなので、メルヘンチックな内装だ。


「すごい……」

「夢が広がりますね」


 こういうことを考えられる人が、人を喜ばせることができるんだろうな。


「じゃあ早速行こう!」

「はい!」

「うん」


 この遊園地は、大きく分けて二つの場所がある。「陸」と「海」をテーマにしてるみたい。アトラクションもテーマに沿っているのかな?


「今日はどっちに行くの?」

「今日は陸の方に行こう!」

「わかった」


 入場すると、ゴールデンウィークなだけあって、人がごった返している。なかなかアトラクションには乗れなさそうだ。


「大丈夫、予約したから!」


 華奈の話によると、アトラクションの予約ができるらしい。この遊園地すごい。


「移動中にマイちゃんと相談して、行く所を決めて予約してたの」

「そうなんだ。行こうか」


 その予約したアトラクションに向かう。


「……ここ?」

「そう!」


 そのアトラクションは、ジェットコースターとお化け屋敷が合体したようなものだった。


「……僕の嫌いなものの組み合わせだ」


 僕はジェットコースターが嫌いだし、お化け屋敷のようなびっくり系が嫌いだ。


「さ、行こ行こ!」

「あっ、ちょっと、待って、心の準備があ」


 終わったあとはだいぶグロッキーになっていた。でも、華奈と真唯ちゃんは止まらなかった。次々とジェットコースター系に乗せられた。唯一僕が楽しめたのはシューティングゲームのようなものだけだった。



 ◆



「そういえばパレードがそろそろかも」

「そうなの?」


 ジュースを飲みながら歩く。お昼ご飯もここで食べたけど、遊園地の食べ物って高いよね。おいしいからいいけど。


「楽しみ~」

「行きましょう!」


 パレードの場所に行くと、すでに大勢の人が集まっていた。すると、華奈と真唯ちゃんが手を繋いできた。


「……はぐれないように」

「それ以上はないですよ……」

「う、うん……」


 それ以上のことはあるはずだけど、問い質すことはしない。パレードはすごかったけど、内容はほとんど覚えていなかった。

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