第十四話 華奈とロイヤル
華奈とカレーを作った日から何日か経った。持ってきた物もすぐ使えるように置いた。毎日料理当番を交代して、華奈と仲良くやってる。意外だな、と自分でも思う。壊与に赤崎を奪われたあとはだいぶ人間不信だったのに、女の子とうまくやれてることが。
ブーッ
ん? メッセージか。
『そっちは落ち着いたか?』
ロイからだ。忘れてた。会う約束してたんだった。
『大丈夫』
『お前の家行っていい?』
「えっ」
「どうしたの、翔琉?」
「えっ、あー、うーん」
「何、隠し事?」
「いや、その……」
どうしよう。たぶん、ロイは華奈と一緒に住んでることは知らないはずだ。というか、マンションのほぼ最上階に近い階に部屋があることも。
「翔琉、言いたいことがあるならはっきり言って」
「……わかった。言うよ」
華奈に話した。高校の友達が、部屋に来たいと言っていること。その友達は信頼できること。
「ふーん」
「だ、ダメかな?」
「いいよー」
「えっ、あ、ありがとう」
「何、そんなに私がダメって言うと思ってたの?」
「うん、ごめん……」
「まあ、普通だったらダメだけど。翔琉の友達だから」
「そ、そっか。ありがとう」
「で、いつ来るの?」
「ちょっと待って」
『いいよ。いつ来る?』
『明日じゃダメか?』
「明日だって」
「いいよー」
「わかった」
『いいよ』
『わかった。引っ越し先知らんから駅で待ち合わせな』
『了解』
……あれ? ロイに引っ越しすること話したっけ? なんで知ってるんだ? ま、いっか。
◆
ロイが来る当日。駅で待っていると、ベージュの髪色が見えた。
「ごめん、遅れタ」
「いいよ、待ってないし」
「じゃあ、案内してくレ」
「わかった」
といっても、駅から近いから、数分で着くんだけど。
「はい、このマンション」
「大きいナ」
「僕も最初はびっくりしたよ。行こう」
「おウ」
エレベーターに乗り、四十三階のボタンを押す。エレベーターも高性能なので、すぐに着く。
「ここだよ。ただいまー」
「お邪魔しまス」
「おかえり!」
華奈とロイは初対面のはずだけどどうだろう。二人とも人見知りではなかったはずだけど。
「あ、友達ってロールくんだったの?」
「え、知り合い?」
「うん、引っ越すことも華奈から聞いてタ」
「言ってよ……」
「ごめン。華奈から内緒にするように言われてテ」
「あはは」
はあ、疲れた。いらない気を使ったな。
「あ、翔琉、少し話したいことあるから部屋にいて」
「え? うん、わかった」
「じゃあ、リビングで話そ」
「わかっタ」
話は気になるけど、盗み聞きもしないほうがいいだろうし、部屋にいよう。
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