幕間 サイドR 元兄と元妹

 わたしの名字は、李宮リグウといいます。わたしが小学六年生のとき、両親が離婚し、母親が引き取ってくれました。その母親は、中二のときに交通事故でいなくなりました。今は、親戚の家で暮らしています。


 高校は、なんとなくで選びました。特にこだわりもなく、友達もいなかったので。そして、入学してみると、驚きました。壊与兄さんがいたのです。桜の木の下で女性と話していました。まさか、また会えると思っていませんでした。だから、声をかけたのです。


「壊与兄さん?」

「え、真唯か? 久しぶり! 緋、先行ってろ」

「……わかった」


 なんだか、性格が変わったようでした。なんというか、チャラくなったような。


「さっきの方は?」


 先ほどまで横にいた女性について聞きました。すると。


「ああ、翔琉の元カノ。今は俺が彼氏だ」

「そうなんですか」


 次の言葉でわたしは心が寒くなりました。


「あいつ、何回か抱いたら俺になついてよお」

「……は?」

「奪った訳だ。あいつにはもったいないからなあ! ハハッ!」


 ……人は数年でここまで変わるのか、と思いました。


「……そうですか。ではわたしはここで」

「おう、じゃあな!」


 どうにかしてあいつを絶望させなければ、と思いました。あんな奴、兄だと思いたくありません。

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