二人との日常
第二十一話 生徒会と転校生
始業式から数日が経ち、部活勧誘が始まる時期になった。
僕の通っている高校は、生徒会に入るか、部活に入るかの二択を入学してすぐに決めさせられる。帰宅部はない。どうやら、ゲームばかりしている部活もあるようだけど。
「この時期の部活勧誘には気をつけて。一昨年から、女性を襲って無理矢理入部させようとする人がいるっていう噂があるから」
「えっ、怖いです」
「あくまで噂だけどね。先生はいないって断言してるけど」
生徒会長から聞いているが、性的に襲われているらしい。なぜそこまでして入部させようとするんだろう。この高校は生徒も多いし、生徒会に入る人も多くないから、部員はすぐに獲得できると思うんだけど。
「生徒会ってどんな人がいるの?」
「華奈は生徒会に入るの?」
「うん、翔琉もいるから」
笑顔がまぶしい。
「あ、じゃあわたしも生徒会に入ります」
「負けないよ?」
「何の話?」
「翔琉は知らなくていいよ」
「絶対負けませんから」
二人の間に火花が散ってるような気がする……。
「じゃ、じゃあ生徒会室に案内するよ。どんな人がいるかとか、見たほうが早いし」
「わかった!」
「よろしくお願いします」
◆
あらかじめ生徒会長には連絡をしておいた。生徒会室で待機しているそうだ。
「会長って男の子? 女の子?」
「男だけど……」
見てもらったほうが早い。
「ここが生徒会室。……失礼します」
「お、翔琉くんお疲れ様。ところでハーレムでも形成してるのかな?」
「してませんよ。……この人が生徒会長。一応、男」
「一応じゃなくて男! 生徒会長の
「男……?」
「女性では?」
「君たちまで!?」
会長は女装が好きだ。去年の生徒会選挙で女装して演説したところ、圧倒的な票数で一位になってしまった。会長としての能力も優秀なので、あまり文句が言えない。
「そんなことより、二人が生徒会に入るそうです」
「そんなことって……もういいや、わかった。書類にサインして」
「わかりました」
二人が書いている間、会長と話をする。
「この子たちってどこで手に入れたの?」
「物じゃないですよ」
「じゃあどうやって?」
返答に困る……。
「私が翔琉を好きだからです!」
「わたしの初恋です」
……二人が宣言してしまった。
「甘酸っぱい! 合格! 次期会長決定!」
「勝手に決めないでください……」
「私やってもいいよ?」
「その次はわたしですね」
話が勝手に進んでいく……。どうしたらいいんだろう。
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