バレンタインデーSS もしもの交際記念日
間に合いませんでしたが、緋と付き合ったままの場合のifバレンタインデーです。久し振りでキャラが不安定かもしれませんが、お納めください。本編はもう少々お待ちください。
☆
僕はホームルームが終わるなり、すぐに席を立ち、荷物をまとめ、教室から出ていこうとした。
「翔琉、今から時間あるカ?」
僕に話しかけてきたのはハーフで親友のロイヤル。相変わらず女の子受けの良い顔をしている。
「今日はダメだよ。今日がなんの日かわかってる?」
「おウ、バレンタインデーだロ?」
合っているが満点ではない。
「今日はね、僕と緋の交際記念日なんだ」
「あー、そういえばそうだったナ。何か用意しているのカ?」
「うん、いろいろとサプライズで」
ちょうど今からケーキを取りに行こうと思っていたところだ。
「それって何時でも大丈夫カ?」
「ああ、少し前に約束してたアレ?」
「頼めるカ?」
すっかり忘れていた。ロイに頼まれていたのは、バレンタインチョコを受け取る現場に同行すること。第三者がついていくだけで相手が萎縮するし、何より告白を断る雰囲気を作りやすい。
それにしても、ロイは誰かと付き合う気はないのだろうか。
「今回の面々はどんな感じなの? 良さそうな人がいたらお試しで付き合うとかでもいいと思うけど」
「呼び出しがあったのは二年生、三年生から二人ずツ、両隣のクラスから合わせて三人、合計七人だナ。まア、同学年はともかク、先輩の中で良さそうな人は考えよウ」
「年上趣味だよなあ。まあ、愛の形なんて人それぞれだけど」
軽口を叩きながら、それぞれの人に指定された場所に順番に向かう。
◆
ロイへの付き添いと、ケーキの受け取りを完了させ、家路に付く。今頃一人で寂しく待っているだろうから、自然と早足になる。
マンションの部屋の前に着き、ドアを開けるとそこには。
「お、おかえり……」
裸エプロンの愛しい恋人が出迎えてくれた。
「……記念日恒例になっちゃったね、裸エプロン。寒いからすぐドア閉めるね。あと、ただいま、かわいい緋」
「……流れるように褒めないで。嬉しくなっちゃう」
部屋に入ると、緋が準備してくれたご馳走が出迎えてくれる。受け取ったケーキをテーブルの中央に置き、仲良く準備を整える。もちろん服を着てもらうのも忘れない。
「さて、お祝いしようか」
「うん!」
今日は緋と三回目の交際記念日。ケーキの他に、ささやかながらプレゼントを用意してある。まずは、緋の料理を堪能する。
「昨日から仕込んでいたから、だいぶ手が込んでいるね。どうしたの?」
「中学生から高校生になるとさ、性差とか世間体とか気にしちゃってさ、別れちゃうこともあるでしょ? だから、高校生になっても付き合ってたよ記念に」
「緋はかわいいなあ」
「えへへ」
他愛ない話をしながら料理とケーキを食べ終わる。そして、準備していたプレゼントを渡す。
「写真立て?」
「うん、あまりプレゼントが思いつかなくて……」
「大丈夫、私は料理しか用意できなかったから。その代わり……ベッドで……ね?」
かわいい彼女の上目遣いに勝てる者はいないだろう。その後、たくさん絞られた。
幼馴染と元カノ ─幼馴染に彼女を奪われていた─ 嬾隗 @genm9610
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