第二十三話 歓迎会と陰

 部活勧誘の期間が終わった。生徒会に新しく入ってくれた人は、華奈と真唯ちゃんを含めても、五人だけだった。去年は僕ともう一人が入っただけだったから、今の生徒会は十人。三年生が三人、二年生が三人、一年生が四人。この人数で半年の間、行事の進行や、部活の監視などをする。


「ゲーム部、じゃなかった、生物部ってあのままでいいんですか?」

「いいと思うよ。私たちも忙しくないときは同じようなものだし」

「まあ、そうですけど」


 今も、生徒会室で歓迎会をしている最中だし。


 生徒会の男女比は、七対三。各学年に一人ずつ女子がいる。女子は友達とのつながりを求める傾向があるから、友達で固まって同じ部活に入ることが多く、入ってくれない。あとは、仕事が面倒そうだと考える人が多いのだろう。だから、僕が華奈と真唯ちゃんを紹介したとき、先輩方は大喜びだった。


「さて、盛り上がってきたし、酒でも飲もうかな!」

「会長、未成年飲酒はダメですよ。あと二年待ってください」

「すみません……」


 同級生にお咎めを受けていた。

 会長は、生徒会内ではそこまで信用されてる訳ではない。僕も、もうすでに未成年飲酒と喫煙をしていると思う。


「さて、新しく入ってくれた五人にプレゼントをあげよう」

「いらなかったら翔琉に押し付けていいから」

「なんで僕なんですか!?」

「はいじゃあこれー」

「無視ですか……」


 会長が取り出したのは駄菓子セット。確かに物によっては好みがわかれるけど。


「俺はこういうの好きじゃないのでパスです」

「俺もっす」

「僕も」

「先輩、よろしくお願いします」

「ええ……」


 結局、全部押し付けられた。華奈と真唯ちゃんからもだ。

 どうしようか悩んでいると、華奈が小声で話しかけてきた。


「あとで家で一緒に食べようね!」

「あ、うん……」


 真唯ちゃんも呼んで駄菓子パーティーだそうだ。そうならそう言ってよ……。



 ◆



「ふう……」


 校舎裏。歓迎会も終わり、校内にいる生徒はほとんどいない。


「やっぱり七つ星がいいな」


 タバコを吸っている生徒が一人。そこに、一人の生徒が近付いて行く。


「俺にも寄越せ」

「やだね。……ああ、君か。なら、若芽をあげよう」

「いらねーよ。ニコチン少ねえ奴なんか」


 二人は、そのままタバコを吸う。


「そういや、あいつらはどうだ?」

「うん、なかなかいいと思うよ」

「へえ。ならやっぱり手に入れるべきだな」

「まあ、今回は焦らなくても大丈夫そうだね」

「そうだな! じっくり時間をかけるか!」

「「ハハハッ!」」


 暗い世界に、二人の声が響く。

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