第二十四話 生徒会の仕事とデートもどき
いよいよ、生徒会に新しく入会した人たちの初仕事ができた。まあ、簡単な書類仕事ばかりだけど。さすがに、重要な仕事は任せられない。
僕は、華奈と真唯ちゃんを連れて、中庭の一角にある、生徒会で育てている花壇と畑を見に来ている。去年は僕が担当していた場所だ。
「なんで生徒会がこういうことしてるの?」
「なんか伝統らしいよ」
何代前かはわからないけど、当時の生徒会長が始めたことだそうだ。何でも、好きな女の子に花をあげるためと、野菜が嫌いなその女の子に、採れたての野菜を食べさせて野菜を好きになってもらうためらしい。そんなアプローチ方法、僕には思いつかない。
この話を二人に聞かせると。
「学校の敷地を私情で勝手に使用したんですね」
「うん、そうなるね」
「わたしはそんな方法でアプローチされても好きになることはないです」
「そうなんだ。華奈は?」
「え、わ、私!?」
なんだか動揺している。どうしたんだろう。
「え、もしかして知ってる人の話だった?」
「い、いや、どこかで聞いたことあるな、って思っただけ!」
「う、うん」
なんで怒ってるんだろう。
「そ、それより、ここの管理が仕事なの?」
「うん。去年の担当が僕だったから、引き継ぎだよ」
「去年は何を育ててたんですか?」
「去年はゴーヤと朝顔。夏に育つものを育ててたって感じ」
「今年もそれでいいんじゃない?」
「うーん、まあいいか。じゃあホームセンターに行こうか」
学校から少し離れたところにあるホームセンターに向かう。そこまで遠くないので徒歩で行く。
「これはデートってことでいいのかな?」
「え、で、デート!?」
確かに二人は僕のことを好きだけど。
「デートってのはさすがに……」
「え、これってデートじゃなかったんですか?」
「やっぱりそうだよね!」
「え、ええ……」
二人からそう言われたら強く出れない。僕の中ではデートもどきってことにしておこう。
◆
ホームセンターでの買い物を終え、中庭に戻る。花壇の土を取り替えているとき、さっきのことを考える。
「さっき、荷物を代わりに学校に運んでくれた人って誰?」
「確かに。先生ではないようでしたが」
「あの人? うちの会社の人」
「「え」」
どういうこと?
「義父さんがこっちに派遣してくれたんだ」
「そ、そんな簡単に?」
「うん。さっき来た人は、私はよく知らない人だけど、義父さんが派遣してくれた人だから信用してもいいと思うよ」
「そ、そうなんだ」
華奈の義父さんって、どんな人なんだろう。
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