第二十話 転校生と幼馴染の妹②了
──壊与は、僕から赤崎を奪った。
頭の中にその言葉だけがリフレインする。なんだか、何も考えたくない。
「ちょっと、聞いてる?」
「え、あ、何」
「やっぱり聞いてなかった! 大丈夫?」
「大丈夫、だと思う」
嘘だけど。
「もー、今日は料理当番代わるよ」
「え、いや、作るよ」
「……こんなに人参が繋がってるのに?」
「あ、あれ、おかしいな。切れてなかったかな」
「もー、休んで!」
「……ごめん」
お言葉に甘え、ソファーに横になる。
「大丈夫ですか?」
「……ダメかも」
真唯ちゃんにあんなことを明かされたあと、倒れそうになっていた僕を、二人で家まで運んでくれた。そのまま真唯ちゃんはいてくれている。昼ごはんは、僕はどうしても食べられなかったので、二人はうちにいてくれた。
「すみません、知っているとばかり……」
「いや、いいよ。今さらどうにもならないし」
「壊与兄さんはそんなことする人ではなかったと思うんですが……」
「え、思う?」
兄妹だから一緒に住んでるんじゃないのか?
「はい。中学以降の壊与兄さんは知りませんから」
「え、それって」
「はい。壊与兄さんが中学に入ってすぐに、両親が離婚して、同性二人ずつで別れたんです。そのあとは関わりがありませんでしたから」
「そうだったんだ……」
「ああ、気にしないでください。特に何も思ってませんから」
そう言う真唯ちゃんの目には何も映っていなかった。でも、底知れない何かを感じた。だから、それ以上は聞けなかった。
◆
「翔琉ー、ご飯食べられる?」
「うん、大丈夫」
だいぶ落ち着いた。……隣に人がいるだけで、立ち直るまでの時間が早くなる。やっぱり、安心できる人と一緒にいるのは大事だと思う。
「いつもより少なくしようか?」
「昼も食べてないから、いつも通りでいいよ」
「わかったー」
「二人って、付き合ってるんですか?」
「「へ?」」
ああ、そう考えるか。異性が同じ部屋に住んでいたり、こんな会話していたら。
「違うよ」
「ままま、まだだよ」
「えっ」
「まだ?」
「うっ」
華奈は僕と付き合うつもりだったのか。それで近付いて来た?
「その話はあとで二人でしよう!」
「わかりました。いじめるのはやめておきます」
「うう……」
「そうだ。翔琉さん」
「ん、何?」
「わたしも翔琉さんが好きなので。覚えておいてください」
「へあ?」
「ちょっと!?」
変な声が出てしまった。僕を好きな人が増えてしまった。……ちゃんと返答できるようにならないと。
「食後にライバル同士の話し合い、しましょう」
「望むところよ」
うーん、喧嘩はしないで欲しいな。
=====
お知らせ
https://twitter.com/sample_rankai/status/1204908007655534593?s=19
こちらのツイートに投票お願いします。真唯を味方にするか敵にするかです。どっちでも書けますが、最後の展開がおもいっきり変わります。華奈の行動も変わります。直感でいいのでよろしくお願いします。
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