第38話 3人の関係。
俺が告白してから数ヶ月、夏休みも終わりもう世界が秋に染まりだすそんな時期になっていた。
俺と千歳の関係は告白してからもそう大きな変化はない。元々告白前にお互い想いを伝えあった関係なわけで、恋人になったと言ってもそういうものなのかもしれない。あえて言えばキスをすることが増えたのが違いかもしれない。
玲といえば、なぜか千歳に告白する前より俺にベタベタするようになった気がする。鬱憤を晴らすかのように。
千歳いわく
「玲がトモにべたべたするのはトモの日常。問題ない。玲が我慢して関係が悪くなるより良い」
とのこと。それを聞いた玲はさらに遠慮が無くなってしまったが。まあ俺が千歳に信用されているんだとは思うものの、ヤキモチを焼かない千歳にちょっと納得行かない俺も居た。
そうそう、玲はなにも俺だけにべたべたするわけではない。今では千歳にもベタベタするようになったのだ。いつのまにかすごく仲良くなっていて、なぜかほっとする俺が居たわけだが。
そういえば夏川は今も玲に猛アタックをしていた。少し前まではクラスの友達含めてのみの付き合いだったらしいが、ここ最近ふたりだけで出かけたりすることもできるようになったらしい。このままくっつくかなあと思ったりしたのだけれど、玲は
「トモくん以上の人なんてそんな簡単に居ないから。ただでさえ恋愛ごとは難しいのに付き合うなんて当分無理」
と言っていた。まあ……夏川頑張れ。
放課後帰宅しようと、俺と千歳そして玲の3人で下校する。
何故か右に千歳、左に玲。腕を組まれて歩いている。千歳は良いとしても玲は違うだろと思うものの千歳が何も言わないのでそのままにしている。
「こうやって仲良く3人で歩けるようになると思ってなかった」
玲はそんな事を言う。そんな玲に
「まあ確かにな。」
と俺は一言返す。
「ひとりじゃないってことがとても嬉しいです。側にトモがいて、玲もいて」
千歳は以前はいつもひとりで過ごしていたからなあ。
「俺は千歳と玲がここまで仲良くなるとは思わなかった。嬉しい誤算? 」
俺は少し笑いながらそう言った。
「昨日の敵は今日の友みたいな感じ? 」
千歳もすこし笑いながらそう言った。
「このままずっと仲良く居れたら良いね」
玲は嬉しそうにそう言った。
今に落ち着くまでいろいろとあったなあと思う。苦しんで悲しんで喜んで。だから余計に大切に思えてしまう、そんなことも少しは関係するのだろうか。
いつかは玲にも彼氏ができたりするだろう。俺と千歳の間にも何があるかもしれない。
だからこそこの時間が長く続けることができればと千歳と玲、2人の顔をみてそう思った。
幼馴染に振られて縁を切ったら空から縁が降ってきた。 ここです。 @kokotangpu
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