第18話 ひさしぶりの部屋。
今日は休日。起きて目覚まし時計を見てみればもう10時。母さんはいつも俺を起こすことをしない。「寝坊してたとしてもトモくんが自分で責任取らなきゃね。だから母さんは何もしないわよ」という理由で起こさない。自覚持てってことだけど休みの日は流石に早く起きれない。まいったもんだ。
とりあえずリビングに行き、母さんに朝の挨拶。母さんが作ってくれていた朝食を食べ出かける準備をし始める。母さんが「どこかに行くの? 」と聞いてくる。素直に「ちょっと玲と話をしてくる」と話しておいた。隠してもしょうがない。
母さんは、「少しは前向きになれたのかな? 」なんてぼそっと言ってた。気になっていたようだけど気を使ってるのかしつこくは聞いてこなかった。
さて、学校で話すよりも周りに気兼ねしなくていい休日に玲と話すのが良いだろうと今日会いに行こうと思っている。
俺の部屋と玲の部屋はなんというかよくある小説のようなご都合主義的な気がするけれど、屋根伝いで行くことのできるそんな作りになっている。
玲は両親が小学生の頃だったと思う、理由は聞いていないが離婚して父親が親権をとり父親とふたりで暮らしている。そういえば屋根伝いで玲の部屋に行く行為が男の子が女の子の部屋に忍び込むようなそんな感じがするらしく父親が心配するようで、俺から玲の部屋にあまり行かなくなったんだよな。そのかわり玲が俺の部屋に来ることが日常になってしまったわけだが。
久しぶりに玲の部屋に向かう。屋根伝い。
そしてコンコンと窓を叩く。
告白を断られてから玲のことを考えないようにしていた反動なのか、それとも久しぶりのせいなのか緊張してしまう俺が居た。
部屋から「きゃっ」と声がする。まさか俺が来るなんて思ってなかったって感じかな。きっと驚いたんだろう。ばたばたとカーテンの裏でなにかしている音がする。着替えでもしているのだろうか。
しばらくしてから窓が開き玲が顔を覗かせる。
「トモくん……」
玲が一言ポツリと俺の名前を呼ぶ。
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