第23話 両極端なふたり。
私、玲は今後のことを川崎さんにはきちんと話をしなければと思い放課後にトモくんへ用事があると伝え川崎さんを連れて喫茶店へと向かった。川崎さんは「わかったわ」と二つ返事。すんなりと話の場を設けることが出来た。
喫茶店へ入り向かい合った席につく。とりあえず注文を頼み私はクリームソーダ、川崎さんはコーヒーだった。
川崎さんは座った後ただ私を見つめる。それが私の心の奥を覗かれているようでちょっと怖い。だけど話を進めなきゃと言葉を発する。
「忙しいところごめんね。トモくん、あっ木崎くんね。話は聞いていると思うけど仲直りしたんだ。それで川崎さんにとって、邪魔になるかもしれないけれどトモくんとまた一緒に行動したりすることになると思う。ううん。そうじゃないね。いろいろと共にしたい。今までのように。」
私は言いたかったことをそのまま伝える。
「うん聞いてるわ。幼馴染の関係を1からやり直すことにしたって言ってたわ。問題ないわよ。誰が何をしようと私は私。何も変わりはしないから」
そして
「ごめん。嫌な言い方ほしたかもしれないけれど、仲良くしたくないなんてことはないから。そう木崎くんの幼馴染なんだから」
と川崎さんはそう言ってコーヒーを一口含んだ。
緊張して上手く話せるか心配だったけれど別に問題なく会話出来たようで。
しばらく私と川崎さんは世間話も含めて会話をした。
話してわかったのは川崎さんは私のことを毛嫌いしてる感じではない様子。
そこで失礼だとは思うけれど私は一番聞いておきたいことを尋ねてみることにした。
「川崎さんはトモくんのこと好きなの? 」
そう、ふたりの関係を邪魔しちゃいけないって思ったから。
「木崎くんのこと好きですよ。だけどはっきり言うと私自身、恋愛か友好かどの好きって気持ちなのか・・・まだよくわかってないの。それでもただひとつ言えることは木崎くんの側にずっと居たいってことかな? 」
川崎さんは淀みなくすんなりと言葉にした。
「そっか。私と似たようなものなのね」
思わず共感してしまった私。恋愛が苦手な私にとってトモくんが好きって気持ちはどういうものなのかよくわかっていない。川崎さんも違いはあれど好きな気持ちがどの好きなのかわからない様子で。
それでもわからないなりに、ふたりともトモくんのことがとても大切であって。
「水崎さんの場合は木崎くんと長い付き合いのせいでわからなくなっているのかもしれませんね。私の場合は多分、人付き合いが苦手でろくに人と関わらなかったからだと思うわ。ほんと両極端ですね。私達」
「水崎さんそんなに気にしないで。これからは私達、きっと同じ時間を過ごすことが多くなるでしょう? だから仲良くしましょうね」
そして最後にぽつりと
「遠慮はしないでね」
川崎さんはそう言って私に向かって微笑んだ。
ただ川崎さんが放った「遠慮しないで」の言葉が私には遠慮はしませんよとそう言っているように聞こえるのだった。
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