第20話 やり直してみようか。



 言葉を伝えあったとしても今の崩れた関係のままでは、多分玲は元に戻れないだろう。それならたとえ今までと同じようには行かなくても望むことへと努力する。本音を伝え合い仲直りできたであろう関係だから。前に進む努力をしなきゃと。


 そう思えばこそこう玲に伝えられる。


「玲、またやり直そうか。1から幼馴染を。もうやっちまったことはどうしようもないから。今までのようには行かないだろうけどさ。ちゃんと言葉で伝えあえたわけだから。お互い嫌いになったわけじゃないんだから」


すると玲は俺を見上げ


「ほんとにいいの? 幼馴染に戻れるの? 離れなくていいの? 」


吸い付くように尋ねてきた。


「ああ」


 俺が返事をすると玲は涙を流しながら「ごめんね、ありがとう」と何度もつぶやいた。



 

 やっと落ち着いてきた玲を見て俺はまた話を始める。 


「玲がおかしくなってたことって解決したってことでいいのかな? 」


「うんそうだよ。私がおかしくなることってトモくんのことしかないよ? 」


 玲は当たり前のようにそんなことを口にする。


「ならもう安心だな。そうだ、玲。夏川から告白されただろ。ほんと言うとさ、玲に会いに来れたのって夏川のおかげなんだよ。自分じゃ無理だから俺に玲と話をしてほしいって。だからちゃんとお礼は言っといてくれな。でもまあ、すごいよな。やっぱモテるやつは違うんだって思ったよ。あと玲のこと振られても諦めないって言ってたよ、俺とは違って」


 俺は「ははは」と情けない笑いをひとつする。


「わかった。夏川くんにはきちんとお礼言っとくね。でもトモくんにもいっぱい良いところあるんだよ。ずっと長い時間一緒に居た私は知ってるから」


 玲はそれは違うと言うかのように胸を張って伝えてきた。


「そう言ってくれるのは玲だけかもな」


 俺はちょっと照れ隠しでそんな事を言ってみたが




 玲は


「ううん、きっと川崎さんもそう言うと思うよ」


 ちょっと寂しい顔をしてそう言った。

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