第30話 戻った時間。
話し終えた俺と千歳は昼休みが終わるまで屋上でのんびりと過ごした。今まであった居心地の悪さは影を潜め以前のゆったりとした時間を過ごせてふたりともご満悦な気分に。
ただ校門で待つ男、黒川と名前を聞いたけど今後どうするかそれを考えないといけないなって俺は思った。千歳にひとりで会わせる必要なんてもう無い、いや会わせてなにか起こらないとも限らないって。だから、
「千歳」
「トモ、なにかしら? 」
「黒川だっけ。あの男とのことだけどもうひとりで会いに行くな。いくなら俺も行く。役に立つかわからないけれどそれでも。千歳にもしもがあったら何かあったら俺は嫌だ」
俺は素直にそう言った。
千歳は少し黙って考えてから
「わかったわ。トモに頼ることにする。心配してくれてありがとう」
そう言っていつものように微笑んでくれた。
放課後、今日はひさしぶりに玲も一緒。3人で帰ることになった。
昼の会話で嫌な雰囲気がなくなった、それが玲にもわかったようで、
「ふーーーん。うまく行ったみたいだね」
と少しニヤッと笑いながら言ってきた。
「まあな。千歳の話では玲には助けられたようで、ほんとありがとな」
俺は素直にそう言った。
千歳も
「水崎さんに言われなければ私は間違った方向に進んでいたと思う。ほんとにありがとう」
そうお礼を言った。
玲は素直にふたりからお礼を言われるとは思ってなかったようで
「そんなに素直に返されると照れる。でもやっぱり皆で仲良くでいたいから。うまく解決が出来たのならほんとよかったよ。でもね。ふたりでばっかりじゃなくて私も入れてよね。私もトモくんのこと好きなんだから。それと……川崎さんのことも好きなんだから、ね」
照れながらそういうのだった。
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