第02話 カッコつかない俺。



 寝ぼっち生活に結構慣れてきた今日この頃。

 休み時間に寝ては玲が懲りずにちょっかい掛けてきて。最初の頃はちょっかい掛けてくる程度には興味を持たれているんだなと思ったりしてはいたんだけど最近はうっとおしく感じる俺が居た。というよりも玲のことを忘れさせてほしいと思った。振られたことを忘れたいんだからと。

 そういえば告白を断られた当初の頃に普段から一緒にいた俺と玲が急に離れてしまったことをクラスのみんなは不思議がって俺と玲に問い詰めてきた。なぜか玲は照れた感じでごまかしてたけれど、俺は玲に断られたことを早く忘れてしまいたいのにこうやって思い出させるように問い詰められるのははっきり言って止めてほしかった。

 だからさ。


「玲に告って振られたの。だからもう一緒にはいないから。女々しい男になんないよ」


 と一方的に話を伝え寝たふりを決め込んだわけで………

 玲はなぜか不貞腐れた顔をして「ぶーぶー」なんて言ってたけれど、いやこれが普通の態度だろ。そんなことを思ったわけで。




 ある日の放課後、俺は高校2年生なんだけどこの学校は放課後に当番制で教室を掃除をすることになっている。で、今週は俺が加わっているグループで行うことになっている。その中に玲もいるわけだが振ったくせに俺にくっついてきてうっとおしく思っていた。どうすりゃいいのかなと考えてとりあえずは


「俺がゴミ捨ていってくるわ」


 一言残し校舎裏へのゴミ捨て場へと逃げ出すことにした。


「私も行くよ」


 玲もついてこようとしたけれど


「来なくていい。関わってくるなよ」


 そう言い残し俺はさっさとゴミ捨て場へと向かっていく。


 そういえばゴミ捨て場は校舎裏にあるんだけれどそこへ向かう途中に非常階段が存在する。この非常階段なんだけど開放されているからかいわゆる告白の場として多く使われている。なんだか変な感じだけれど人が上り下りで使用するよりも告白の場に使われていることが多いという不思議な階段。多分告白する人が多くて邪魔しちゃ悪いと人が通らなくなったんじゃないかなあとか思ったりする。

 まあ玲に振られた俺には関係ないので、気にせず素通りしようとしたわけだが


「きゃー」


 非常階段の上から女性の叫び声が響き渡った。

 なんだ? と慌てて非常階段を見上げると2階のあたりから女性が落ちてこようとしていた。え? え? と焦る俺だけど、さすがにあそこから落ちたらあの女性の怪我したイメージが俺の頭をよぎっていった。

 それが俺を動かす原動力になったのか無意識に助けようと体が動く。

 ぶっちゃけ俺で支えられるのか? とは思ったが、クッションくらいにはなるだろうとちょっと情けないことを考えながらも落ちてくる落下地点に滑り込みその女性を受け止めようとしたんだけど………


 ごめん。柔らかいものが当たったまでは憶えてる。だけどそれ以降……記憶がなく、真っ暗な闇へと落ちていった。

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