第08話 印象の違う彼女。



 ふたり別れ俺は席についたんだけど周りから俺に質問の嵐が飛んできた。だけど、どうも川崎さんにはみんな近づかないようだ。聞きにくいってのもあるのだろう。俺だと多分、ぼっち相手だから気にしなくていいとかあるのかなぁ。あぁうっとおしい。

 とりあえず川崎さんが非常階段から落ちた時に助けて右腕怪我をしてしまったのでそのお詫びに手助けしてくれてるだけだよ。と伝えると「そういうことね」とあっさりみんなは去っていった。ただし嫉妬の視線はなくならなかったが。本当に針のむしろだよ。


 そうそう、その日、朝のうちに学校から俺に対して川崎さんが落ちた関係の事情聴取が行われた。まあ気絶したから話すこと殆どなかったんだけどね。川崎さんや突き落とした男性生徒については昨日のうちに行われていたようだ。そして男性生徒の処分についてはまだ決まってない様子。ただ軽い罰になるとは思えないからきっと大変そうな気がする。




 休み時間になると川崎さんはいつも俺の側に来るようになった。そんなにいつも来なくていいよと言うけれど「なにかあったらいけないわ」と聞く耳持たず側に来てくれている。それを見る男子生徒の視線の痛いこと痛いこと。


 そういえば今日は玲はやってこなかった。もしかすると川崎さんが側にいる影響かなと頼んでよかったなとそう思う俺であった。

 男子生徒の視線は……考えてなかったけどね、ふっ。


 川崎さんを助けてから普通に話すようになったけれどいつも無口で人に関わろうとしなかった彼女とは全然違う印象で俺は結構気が楽だった。口下手とも言ってたけれど実際は話かけてみれば結構返事を返してくれるし会話が続く。興味があるかないかまたは怪我をさせたことによる気遣いなのか、そこは俺に助力してくれているのだから気にしなくていいだろう。


「口下手って言ってたけど川崎さんって結構話せるよね? なんでみんなと話さないのか不思議だよ」


 僕が不思議がってそう言うと


「無理して人と話す必要がないから。木崎くんとは助けてもらったし手伝いするには必要なことでしょ? 」


「た、たしかに、それはそうだね。まあ俺と話したくないとかあったらちゃんと言ってね。無理させたくないから」


「あ……ありがとう。でも私は木崎くんと話したくないとか思ってないからね。必要とかそういうの関係ないからね」


 そう言って照れた感じでそっぽを向く川崎さん。それっ男殺しだよ、可愛すぎるもん。周りのみんなもそんな川崎さんを見て「くー」「可愛すぎるだろ。鼻血出る」「なんであいつの横にいる」と嫉妬の嵐が巻きおこっていた。


 今まで見ていた彼女の姿と全く違う印象に俺は元よりクラスのみんなもきっとこんな川崎さんを見たのは初めてではないかと思っていることだろう。

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