巨乳島〈後編〉
その夜は、バスティ王子にとって、乳渡り最高の夜となった。
両脇に巨乳を抱え、足元にも巨乳を侍らせた。
「ニュウニュウ」「ニュウニュ ニュウニュニュ」
「おぬちらの乳は大きい! おぬちらの乳はコクがあってキレもある!」
王子は身振り乳振りで乳疎通を計るも、通じているのかどうかはサッパリだった。
ただ、自分の乳首を舐めさせると、相手の乳首を舐めても良いという決まり事だけは理解した。
バザンガス島乳は、乳豊かな生活をしていた。
島の誰もが、好きな時に、好きな場所で、好きなだけの量の乳を呑ませ合っていた。しかも甘い乳から酸っぱい乳、脂っぽい乳から苦い乳まで、ありとあらゆる味の乳汁が揃っていた。
「このような乳習ゆえに、乳衣を纏っておらぬのですね」
「わざわざ捲ったりするのが、おっくうだからか」
「それにしても、こんなにも乳民の乳汁の味がそれぞれ違うとは……」
ゼイン、ルブミン、ロブリナもまた乳房を晒け出し、彼乳らと異乳化交乳をしていた。
もちろん、王子の監視があるので直呑みではなく、乳器を介した間呑みだったのだが。
「おそらく、乳渡りの乳使と乳を交わすことで、彼乳らは繁乳してきたのでしょう」
フェリンは乳民の誰とも乳を交わすことなく、自分の乳を搾っては焚き乳をくべていた。
『乳を舐めさせぬ者に、乳を舐めさせるべからずなり』の乳法に阻まれ、フェリン一谷だけが乳宴に加われなかったのだ。
「おや? フェリンは呑ませぬのか?」
「どうやら王子のお許しが出なかったらしい」
「
そのような乳宴は、夜から朝、朝から夜まで続いた。
「あぁ! この乳島はなんと素晴らしいのじゃ! わちは決めたぞ! ここに住むんじゃあ!!」
大乳呑みの王子の呑欲を満たすだけの乳汁が、この島にはあった。
「あのような王子の姿を、チムが見たら泣くだろうな」
「おっぱっぱっぱ!」
王子は乳振り構わず、島民の乳首という乳首を吸って吸って吸いまくり、味わって味わって味わい尽くした。
ω ω ω
天乳たちがバザンガス島民の乳汁にも呑み飽きてきた三日目の朝、とうとう乳首を勃たせたフェリンが、浜辺で呑んだくれて寝ていた四谷の乳房を乳で叩いて回った。
「今日こそは出発いたしまする!」
乳もたれのする体を起こして渋々と立ち上がる天乳たち。薄目を開けて彼乳らを見ながら、王子は寝たふりをしていた。
「王子、乳房を見れば起きていることなど分かりまする」
「なにゅ!」
フェリンは、王子の胸が自分と反対の方を向いたのを見逃さなかった。
「なにも、先を急がなくとも良いではないか。また明日にしよう」
「昨日も一昨日も同じことをおっしゃっていたではございませぬか。今日こそは島を出ます。もう決めました」
「そうじゃ! 容易にミナラルまで向かえる《最貧航路》があると聞いたではないか! その方法だと、漕がぬとも三日もあれば着いてしまうと!」
「高乳波にも暴乳雨にも堪え忍べればという話でございましょう。そんな危険な航路は選べませぬ」
だが王子は、乳荷を乳舟に運ぶフェリンの腕を掴み、なおも吸い下がった。
「なにゆえ、そうも急ぐのじゃ? 早く着いたからといって、何の乳があるというのじゃ?」
「もう、手持ちの保存飲料が積み込んだ半分の十日分しか残されておりませぬ。どこかの国の王子が、たらふくお飲みになり、たらふく分け与えてしまったばっかりに」
「乳なら、この島に有るではないか!」
「生乳は搾りたてか、沸かしたものでなければ呑めませぬ! さあ、王子も乳舟にお乗りください」
「嫌じゃあ! もう少しここにおる!」
その場にポインと座り込んだ王子を見て、フェリンの乳房に青筋が立った。
「……そうですか。分かりました。それでは王子は、もう少し休んでからおいでくださいませ」
「なんじゃと?」
「この島にはパイの木もパイの実もございます。ここで乳筏をお作りになり、その最貧航路とやらを渡って、わたちちたちと南の島で合乳いたしましょう」
「それも嫌じゃ!」
「ならば、わたちちたちと――」
「嫌じゃ、嫌じゃ、嫌じゃ、嫌じゃ、嫌じゃ、嫌じゃあああああ!!」
「フェリン! 準備が整ったぞ!」
縮みあがる王子の乳房をよそに、乳舟に乗り込んだロブリナが声を上げた。もうすでに、他の天乳たちも島乳らと別れの握乳を交わしていた。
フェリンは乳を縦に振ると王子の方へと向き直り、その両腕で深い深い渓谷を作った。
「わたちちのおっぱいは恋しゅうありませぬか?」
王子は、両腕の間に寄せられた美巨乳を凝視しながら言った。
「フェリンの、つるつるぺったんこ!!」
ω ω ω
乳同は六日間のうちに、四つの島を回った。
それらは《ヴァリアス・ブレスト諸島》と後に呼ばれる島々で、少数の島乳だけが住んでいるか、あるいは無乳島だった。
すでにπ陸は遠く離れて見えず、フェリンは方位乳針と乳地図を交互に見返しながら、予定の航路を外れぬよう注意を払っていた。
「飲料が底を尽きそうなので、急がねばなりませぬ。これからは当番で夜も漕ぐことにいたしましょう」
「「乳意!」」
「王子も漕ぐのですよ? って、王子! それはわたちの《プッチン・ポロリン》では!?」
ジュルルンッ、ゴックン。
王子は乳皿にプッチンしたポロリンを、一瞬で吸い込んで飲み下してしまった。
このプッチン・ポロリンは、カルボを旅立つときにビフィが入れてくれた乳産品の中で、最も乳気だった乳菓子だったのにもかかわらず。
「にゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「もう、腹が空いて空いて仕方ないのじゃ。なら、ロブリナの乳を寄越せ」
「あぁ、もう王子のぺったんこぉ! 空腹なのはわたちらも同じでございまするぅ! もうあまり乳が出ないのですぅ!!」
「わちを誰と思っておる? プロティーン王国の次期乳王じゃぞ? わちが乳を落としたら、この旅は終いじゃぞ?」
「出ない乳は、出ないのでございますぅ! 次の乳が早く呑みたければ、王子も乳櫂で漕いでくださいませ!」
「ちっ……この、乳出さずが」
ロブリナの乳房がピキッと凍り付いた。
「いま、何と……?」
「つるぺた、しょぼしょぼ、断崖絶壁の乳出さず」
『断崖絶壁の乳出さず』とは、子が親と乳縁を切るような場合にのみ使われる、最も胸の痛む言葉だ。
「いくら王子と言えど、かような乳誉毀損は許しませぬぅ!」
ロブリナは、王子の胸の谷間の中心を、親指で強く刺激した。
「んぎゃああああ!!」
王子の清乳が、ふゆんと揺れた。
指で押された箇所は現代育乳法で《壇中》と呼ばれる、乳房を大きくするためのツボだった。
「やったなぁ! そらぁぁ!」
「お止めくださいましぃ!」
お互いに、自分の知っている限りの育乳のツボを刺激し合った。どんなに乳房を刺激しようとも、乳腺まで栄養が行き渡らなくては、乳房が成長しないと知りながら。
二谷の乳繰り合いは、前後左右に乳舟を揺さぶった。
「これロブリナ、そんなに暴れるな!」
「王子もお止めください!」
さすがの乳争いに、ゼインは乳舟を漕ぐ手を止めてロブリナを抑えた――そのときである。
王子が後ろに仰け反ったため、前にいたフェリンは背中を押され、手元に持っていたものを乳海へと落としてしまった。
「あっ……」
「方位乳針が……」
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