第四章 ヴァリアスブレスト諸島
巨乳島〈前編〉
白い乳海の上に、茶色い乳輪が浮かんでいた。
いや、それは乳輪のように真ん丸な
その上に乗っているのはバスティ王子ら乳同。チムと乳離れしたがために、四天乳は今や三天乳となってしまった。
「かれこれ半日近く漕いでいるというのに、まだ着かぬなぁ。乳舟の方が良かったのではないか?」
バスティ王子は揺れる乳筏の上で乳を横にし、赤い乳果をしゃぶっていた。
東の国を出て二日目の昼下がり、乳同は南の国ミナラルを目指し、巨乳π陸の東海岸沿いを漕いでいた。時折、オリゴ王国特乳の甘い香りが、乳風に乗って運ばれてくる。
「文句をおっしゃるのなら、王子も漕いでくださいませ」
「いや、わちは遠乳する」
「ルブミンの方が漕ぐ力が強いゆえ、回ってしまうのです。さぁ、王子も――」
「いーやーじゃ! さっき漕いだ疲れが、まだ残っておる!」
ロブリナは王子に
「乳渡りは王子が我先にと皆の乳を引っ張ってもらうものなのですよ?」
「ほうほう。ではおぬちの乳を引っ張ってやろう」
そう言うなり王子は起き上がり、前にいるロブリナの乳首を摘んで引っ張った。
「ほーれ、ほれほれ、
「なっ、何を……そういうことではございませぬぅ!!」
フェリンは二谷の不乳なやりとりにウンザリしながら前を見ると、巨乳十谷分ほど先に鋭利な
「ロブリナ、前を見よ!」
「なっ、何でしょう?」
「早よう漕げ! このままでは乳岩にぶつかってしまいまするぞ!!」
「ぱっ、ぱい! ただいま!!」
乳同は乳筏を右に曲げてπ避しようとしていたのだが、ロブリナは乳櫂を握り直すと、慌てて前方に向かうように漕ぎだした。
「逆! 逆だ、ロブリナ!」
「えっ? 逆?? あうっ!!」
ガガガガッと底が擦れるような音がして、乳筏が止まった。
「にゅにゅにゅ!?」
すると底に結びつけていたパイの実に穴が空き、乳木同士を繋いでいた乳縄も千切れて、乳筏が一気に崩壊してゆくではないか。
「王子! 息をお止めください!」
「ん??」
フェリンは非常飲などの入った乳樽の紐を左手で掴み、右腕で王子を抱えながら乳海へと飛び込んだ。
そして乳房の浮力を利用しながらπ勢を立て直し、王子が自分の胸にしがみついているのを確認すると、海底を爪先立ちで歩きながら周囲を眺めた。
「皆の乳、無事ですか!?」
「なんとか」「おっぱっぱ!」「申乳訳ありませぬぅ……」
フェリンは砂浜のある方向を乳差した。
「一度、陸へ上がりましょう。乳樽も流さぬように」
「「乳意!」」
ω ω ω
海乳をたっぷりと吸い込んだ乳衣を搾りながら、フェリンは考えた。
まだ海底に足がつくところで転覆して良かった。これが陸から離れた海の上だったらと思うと、乳汁が凍るような想いがした。
「だぁから、乳舟で行こうと言ったのじゃ! なにも乳筏で海を渡らなくとも良かろう!」
「この辺りは波も穏やかなのですが、南の国の周辺の乳海は荒れると聞いております。そうなると乳筏の方がと――」
「じゃがこれでは、ちっとも進まぬではないか!」
「おっしゃる通りなのですが……」
フェリンは王子の正論を受け、谷間を寄せた。
いずれ出会うであろう大乳波を乗りきるため、少しでも乳筏の操揉に慣れておこうと考えていたのだが、この調子ではいつまで経っても先へ進まない。
これからまたオリゴまで乳舟を借りに戻るか。しかしそうなると、チムと再会した王子がカルボを離れたくないと駄乳をこねるかもしれない。
そんなときだった。
「おぉい! あっちに良いものがあったぞぉ!」
ルブミンの声が聞こえてきた方に皆で歩いていくと、砂浜の上に、大谷が十谷は乗れるであろう大きな乳舟が横に倒されていた。
その船底には無数のパイの実がくっついており、古そうには見えたが、まだまだ使えそうだった。
「これは……」
「でかしたぞルブミン! これに乗っていこう!」
フェリンも含め、全員が乳房を縦に振った。
ω ω ω
乳舟に乗り換えてからは、
縦一列になったおかげで一谷で左右を漕ぐことが出来る。そのため操揉が楽になり、乳筏の何倍もの速さで進めるようになったのだ。やはり乳房と同じく、左右均等であることが重要なのかもしれない。
乳力持ちのルブミンはその豪乳を膨らませた。
「おっぱっぱ! これは速いのぉ!」
「漕げ! 漕げ! 漕げぇ! 進め! 進め! 進めぃ!」
王子は乳舟の乳頭で乳を上に向けながら、乳櫂を膝の上に置いて、皆の乳を励ました。
ゼインもフェリンも、ロブリナでさえ、王子が寝転がっていることを一言も責めなかった。
「方角は合っておるのだな?」
ルブミンが、
「ぱい。それに、次の島はもう見えております」
「なんじゃ……あの乳は……」
遠くに見えたその異形の島の存在に、王子は跳ね起きた。
前方の海上に、二つの巨大乳房が浮かんでいる。
「あれが、かの乳名な《バザンガズ島》……古乳語で『巨乳島』という意味の乳島でございまする」
古代文献に記されていた伝説の乳島を目の前に、ゼインが感嘆の声を漏らした。
バザンガズ島の色味は乳源の肌の色よりもやや褐色ぎみで、乳頂には乳首もあった。乳神の実寸尺を模したような巨神乳である。
乳舟を砂浜に着けるやいなや、乳同は二十谷ほどの島の乳民たちに囲まれた。
島乳らは腰巻きをしていたが、乳房も乳首も丸出しだった。
すると乳民の中の一谷が、フェリンの胸元をまじまじと見ながら歩み寄ってきた。
「ニュウニュ ニュニュニュニュニュニュ?(誰だお前たちは?)」
「ニュニュニュニュニュニュ ニュウニュニュ(乳渡りの乳使です)」
フェリンは乳を縦横無尽に操りながら、彼乳らと乳話を交わした。
言葉が通じなくとも、乳話は世界共通なのだ。
しばらくして乳話を終えたフェリンに、王子は尋ねた。
「なんと言っておるのだ?」
「『この島に来たのなら、上の乳衣を脱げ』と」
王子は自分の胸元に視線が集まっていることに気が付いた。
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