成乳の儀〈前編〉
バスティ王子の頭頂部に、二つの美乳髪がこしらえられた。
乳宮で第二の
王子が身に纏った《
王子の胸元に
「無事にこの日を迎えられて、わたちちは誇らしゅうございまする」
ラクト・フェリシンは王子の
王子にとっては小うるさい乳であったが、今日はご機嫌らしく、萎んで皺の刻まれた垂れ乳が、少しばかり膨らんでいた。
「わちが乳王になっても良いものだろうか。まだ、乳上のような立派な乳房を持たぬというのに」
「ご心配なさらず。乳王様も、旅立ちの日には
「そうなってくれれば良いが……」
王子は、乳巻きでギュウギュウに締めつけられ、硬くなった胸元を触りながら視線を落とした。
「旅の道中は、乳獣や乳盗にお気を付けくださいませ。フェリンにも搾って聞かせましたが、この頃は王国周辺も物騒でございますゆえ。遠方となれば言うまでもございますまい」
「やはり、乳渡りは危険な旅なのか?」
「それはそれはもう。伝え聞くところによれば、未開の森にて野蛮な
「乳神様は、わちも夢で見た」
「それに、バスティ王家は八十代に渡って乳渡りを成し遂げて参りましたが、そのうちの半分ほどは第一王子が乳を落としておられるでしょう? 当代には王子しかおりませぬゆえ、もう、胸が塞いでなりませぬ」
「なに? 乳を落とした者がおるとは聞いておらぬぞ……」
乳臣の乳衣が捲れ、ポロリと左の乳房が飛び出した。乳首をもたげ、大きく垂れ下がった乳房は、王子に見つめられると仄かに赤く染まり、小刻みに震えだした。
「はっ……! 何卒、今の話はお聞きにならなかったことに!」
「では口止め
王子は頭をもたせ、下から掬い上げるようにしてフェリシンの乳輪を頬張ると、口元で愛撫しながらそれを吸い上げた。
千切れそうな乳首を唇の上下で刺激しながら、かろうじて絞り出されたのは、ねっとりとした甘酸っぱい乳汁。
歳をとればとるほど乳の出は悪くなるものの、その癖になる芳醇な香りには、そこらの若乳では出せない深みがあった。そして乳房の柔らかさといったら熟乳に限るとまで言われている。
乳慕としての役割を終えようとしていたフェリシンは、王子の口遣いに腰をくねらせながら応えた。
「どうかご無事でお帰りくださいませ。願わくば、わたちちが
熟しに熟しきった乳汁を舌で丹念に舐めとりながら、王子はもう片方の乳房をまさぐった。
ω ω ω
普段は乳獣を放し飼いにしている広場に、身の丈を遙かに超える高さの祭壇が建てられていた。
今か今かと胸を騒がせていた約千谷の乳民たちが、音楽の鳴りだした方へと乳首を向けた。
打楽器の重低音が、弦楽器の高音を導いていく。
『パパイ、パパイ……パパイ、パパイ……パパイオパイパイ、パパイオパイ――(聖なる、乳神様。聖なる、乳神様。おっぱい出せ出せ、おっぱい出せ)』
全身を使って巨乳軌道を描き、自慢の乳房を揺らして踊る乳官たち。
先祖代々注ぎ継がれてきた伝統の
四谷の担ぎ手によって、乳神輿が乳台の上へと運ばれてゆく。
その中から登場したのはプロティーン王国の乳王、バスティ・プロティーン八十一盛。
彼乳が纏う荘厳な
乳君に手を取られながら、乳王がお乳台の上へと立つ。すると幾重にも覆われていた乳衣と乳袋がみるみるうちに解かれてゆき、その胸が露わになった。
乳民たちが視線を上げ、その巨大美乳を凝視するとともに、深い溜め息をついた。
この国の乳民ら全員が生まれて初めて吸った、聖なる乳房。その尊き乳との再会に、思わず上の乳を漏らしてしまう者たちもいた。
乳王は左の乳首を摘まむと、乳君から差し出された
「この日に成乳を迎える者は、前へ」
十数谷の若乳が立ち上がり、運ばれてきた乳盃を両手で受け取っていった。
そして一礼すると、その乳汁を呑み干した。彼乳たちの胸元は、興奮のあまり紅潮していた。
『パイ、パイ、パイ、パイ! パイ、パイ、パイ、パイ! ――』
若乳たちが後ろへ引き下がると同時に、乳臣たちが勢いを増して飛び跳ね、より一層の乳揺れを起こした。
もっと乳を出したまえ、もっと乳の雨を降らせたまえ。
私たちは皆、御πの奴隷だ。御πが無ければ、生きてゆけぬのだ。
さぁ、もっと乳汁を。呑んでも呑んでも呑みきれぬほどの、命の泉を湧かせたまえ!
「続いて、乳渡りに向かう使者たちよ、前へ」
お乳台の前へと歩み出たのは、目を見張るほどの乳房を抱えた
彼乳らは荘麗な
「胸豊かなる王子に付き従う乳守と四天乳、ラクト・フェリン、リゾ・チム、カ・ゼイン、ラクト・グ・ロブリナ、ラクト・ア・ルブミン」
『ぱいっ!』
「そなたらは、王子の第三、第四の乳房だ。自らの乳に代えても、王子を守るのだぞ」
『乳意!』
乳君の
彼乳たちは乳臣らから、先ほどの倍はあろうかと言うほどの大きな乳盃を受け取ると、それを両手で天高く掲げた。
その喉元が乳塊を飲み落としていく様子を、後ろにいたバスティ王子が乳首を尖らせながら眺めていた。
……足りぬ。
それだけでは足りぬ。
それだけでは、この乾きに乾いた喉元を潤すことなど出来ぬわ。
「過酷なる乳渡りを成し遂げようとする
「……ぱい」
気の抜けた返事をして、王子は乳守らと入れ替わるようにして、乳王の前へと歩み出た。
乳王の超巨大美乳から巨大乳盃へと注がれてゆく、《
たしかにその乳汁は薄黄色をしていて見るからに粘度が高く、注がれたそばから乳粥のように固まっていった。
乳心ついたときから味わってみたいと願っていた耽美な香りが、王子の鼻腔を優しく撫でるように抜けていく。
そしてついに、垂れ落ちそうなほどに満たされた巨大乳盃が、二谷の乳臣によって王子の目の前へと運ばれてきた。
「そちは乳民たちの希望、わちの最愛の子じゃ。無事に帰ってきておくれ」
「では、条件がございまする――」
王子の持ち上げた手によって大きな乳盃が傾くと、黄色く濁った乳汁の海が最高潮を迎えていた音楽とともに零れ落ちてゆき、地面に注がれ、飛び散った。
「なんということを……」
騒めく乳民らの声に包まれながら、そばで控えていたフェリシンは垂れ乳を震え上がらせた。
にもかかわらず、王子の乳房はピクリとも動かない。
乳槍のように尖る乳王の乳首に睨まれても、王子の乳房は真っ平らなままだった。
「わちは乳上の乳汁を、この唇にて、直に吸いとうございまする」
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