コラム4 少数乳族

 真乳王バスティの書き垂らした『放乳記』には、世にも奇妙な乳習を持つチチカリ(乳借り)族という百谷ほどの部族の記述がある。


 彼乳らは乳森内を巡πする中で、大きな乳を持つ者を見つけてはその《乳覆(チチマスク)》を取り、乳神の巨乳像に供えていた。


(なお現在、テラブーブス氏の資料館に保管されているバスティ王子のQカップは、このときに取られたチチマスクの小ささに恥ずかしい思いをした王子が、のちにわざわざもう一度型を取らせて届けたものというのが定説だ。でなければバストサイズの計算が合わない。)


 また、チチカリ族はその奇異な乳習だけでなく、乳酒の発乳でも知られており、ラクトバチルスの森で生まれた乳酒は、この乳源前八盛紀頃、カルボの乳守ビフィ・ズスによって持ち帰ったものが起源とされている。


 また、ラクトバチルスの森には、チチカリ族の他にもチチモミ族、チチアライ族、チチハサミ族、チチハタキ族など、少数乳族が暮らしていたので簡単に紹介していきたい。


 チチモミ族:三十〜五十谷ほどの乳族。平均バストサイズはCカップ前後。互いの乳房を揉み合うことにより、乳神への祈りを捧げた。一日の大半を《乳揉みの儀》に費やしていたため、子育てにまで手が回らず、勢力を広げられなかった。


 チチアライ族:三十〜四十谷ほどの乳族。平均バストサイズはBカップ前後。ラクティカシド川の上流で暮らしていたとされる。彼乳らは乳川への放乳行為放乳の儀によって、乳神への供物とした。彼乳らもあまりに放乳行為に専念したため、新生児への授乳が疎かになりがちだったと見られている。


 チチハサミ族:六十〜八十谷ほどの乳族。平均バストサイズはEカップ前後。チチハタキ族とライバル関係にあった部族。少数乳族にしては乳房が大きく、部族内で《乳闘にゅとう》の源流の一つである《乳道にゅうどう》と呼ばれる胸技を行っていた。乳闘会と言えば育乳時代の文化と思われがちであるが、このチチハサミ族にルーツの一端があったのだ。


 チチハタキ族:六十〜八十谷ほどの乳族。平均バストサイズはFカップ前後。土俵の内側で、お互いに乳房で押し出したり倒したりする《乳撲にゅもう》という胸技を行っていた。乳闘は先の乳道と、この乳撲の胸技規則が融合して取り決められたというのが乳史学会の定説だ。(紙幅の関係上、これら三つの胸技の詳細については次巻に記載したい。)


【参考文献】

『少数乳族――多様なる乳房の胸宴』(ミルキア・ニプルノッカー、訳:乳谷乳漏、乳の森書房)

『天下一乳闘会の起源――右乳に乳道を、左乳に乳撲を』(バスティアン・ノーブラジャー=トップレス・ニプルマウンテン、訳:乳山呑子、谷間社)

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