乳下座〈後編〉
それから四日間。王子はシーエーの乳導の元、無乳島で生きていくための様々な術を身に付けていった。
まず始めに教えてもらったのはラティッツと、ヤチの実の乳を搾ることだ。
「乳つけ、乳つくのじゃ。草むらに隠れ、後ろからそっと近付いて、にゅっと両耳を持ち上げよ」
「ラティッツ穫ったどー!」
「ヤチの木は滑りやすい。ゆえに手足だけではなく、こうして乳の谷間で幹を挟みながら登るのだ」
「ヤチの実も穫ったどー!」
王子は初めて成功した乳搾りに味をしめると、他の飲材にも舌を伸ばしていった。
朝には乳海に潜って乳貝を穫り、乳房を水面の下に乳首垂らして乳魚を釣った。
昼には乳山に入って乳茸と乳菜を収穫し、吸いに来たブーブス・パイガーは谷間に挟んで捻じ伏せた。
寒い夜に備えてヤチの葉で乳衣を作り、乳藁を擦って火を起こすことも覚えた。
そして安定して乳汁を飲めるようになると、とうとう乳筏の制作に着乳した。
倒れていた乳木を運び集め、それらをシーエーの乳示で均等に加工、全ての材木が揃うと一日かけて組み上げた。
「完成じゃ!」
それは、カルボを出るときに乗ったものと比べれば半分以下の大きさだったが、海に浮かべても浮き続けられるほどの浮乳力を持っていた。
「よくやった。褒めてやろう」
シーエーは王子に背中に回り込むと、その乳を揉んだ。
王子の乳房は島での生活の中で立派に成長し、今では美乳と呼んでも差し支えないほどの大きさにまで膨らんでいた。
「これまでのこと、真乳に感射する」
王子は振り返り、美乳軌道でシーエーにその想いを伝えた。
「どうした、いきなり。乳味の悪い」
「明日の朝、わちは島を出ようと思っておる。今まで世話になったな」
「そうか。まぁ、そうした方が良いだろう。仲間も待ち詫びていることだろうしな」
ω ω ω
その夜は満乳の月夜だった。
乳の火をシーエーと囲んでいると、王子は彼乳が乳招きしているのに気が付いた。
「良いのか?」
「あぁ、今夜が最後だからな」
「では……頂きます」
シーエーの膝元に背中を乗せ、王子は授乳体勢を作った。
希少乳に吸い付くと予想以上の乳の出で、塩気と甘酸っぱさのあるトロトロの乳汁が、口の中いっぱいに注ぎ込まれた。
「ぷはぁーっ! なんじゃおぬち、いくらでも乳が出るではないか!! てっきり乳出さずかと思ぅとったぞ」
「わがぱいは乳が出せないのではない。乳が出ぬよう、堪えることが出来るのだ」
「にゅにゅ!? ということは、やっぱり意乳悪しておったのじゃな! なんという大嘘乳なのじゃあ!」
王子は、シーエーの乳汁を呑み尽くした。これ以上は呑めぬと言うくらいに呑み尽くした。そして満乳してげっぷを放つと、しんみりとした口調で呟いた。
「乳が呑めるというのは、真乳に乳合わせなことなのじゃな」
「ほぅ……」
「わちは、乳同の中で最もわがままな乳源じゃった。自分の乳が出せないくせに、自分勝乳に乳を呑んでいっては、その礼も言わなかった」
シーエーは黙って、王子の美乳を見つめた。
「フェリンの胸には甘えすぎた。もし、わがままを言ってバザンガス島に長居しなければ、大嵐にも遭わなかったかもしれぬ。いや、ロブリナと乳喧嘩をしなければ、方位乳針を落とさずに旅を続けられたじゃろう……プッチン・ポロリンを吸った、わちが悪かった」
シーエーは、ただただその美乳を見つめ続けた。
「ルブミンやゼインにも迷惑をかけた。彼乳らと再会できるかは知らぬが、もし会えるようなことがあれば謝りたいと考えておる。してシーエーよ、ここからミナラルまでは幾日ほどあれば着け……る?」
乳の火の向こう側から、見覚えのある美巨乳を持つ者が一谷、歩いてきた。
「王子……」
フェリンの乳房は小刻みに震えており、乳首の辺りは濡れていた。
「おっぱっぱ。いけぬ、いけぬ。疲れてしもうたのじゃろう。また目の前にフェリンが現れおったわ。いつの間に寝てしまったのか。おっ? この夢にはシーエーも出てくれるのか。にゅにゅ? ロブリナとルブミン、ゼインまで出てきおったわ……ということはチムもおるのじゃな? チムゥ! 出てこぉい! そちの乳が恋しいぞぉい」
この夢はおかしいと、王子は思った。皆の乳が何も言わず、胸を震わせて泣いている。中の乳だけでなく、上からも乳を滴らせている。
王子は、乳衣の上から自分の乳首をつねってみた。乳首には、確かな痛みがあった。
「なぜ、おぬちらがここにおるのじゃ?」
「王子、立派な乳房にお成りになりましたなぁ。ルブミンは、バスティ王子の美乳が誇らしゅうてなりませぬぞ!」
「ロブリナも同じく。王子こそ、プロティーンを統べる乳王にふさわしい乳にございまする!」
「ゼイン、これからも王子の側に寄り添い、リピッドまでお供いたしまする!」
「よくぞ、試練を乗り越えられました。バスティ王子」
感極まったフェリンの谷間に、王子の顔が埋められた。
「にゅにゅにゅ!? なんじゃ、なんじゃ? 何のことじゃ? 試練とは何の話じゃ!?」
「それは、わがぱいの口から説明しよう」
そう言って、シーエーは立ち上がった。
「実は君たちは五日前、このミナラル王国に一緒に漂着していたのだ」
「にゅにゅにゅにゅ!? ここがミナラル!? 一緒に漂着じゃと!?」
王子の美乳がポッロリとこぼれた。
ω ω ω
五日前。
大嵐に遭い、乳同が大乳波に運ばれて辿り着いたのが、このミナラル本島だった。
浜辺には王子を抱きしめたフェリンの他に、ゼイン、ルブミン、ロブリナも打ち上げられていた。
「ここは……どこでしょうか?」
起き上がったフェリンを出迎えたのは、剥き出しのパフィーニップルだ。
「そろそろ来る頃だと思ったが、やけに早かったなプロティーンの乳使らよ」
「あなたは……」
「わがぱいはミナラルの乳王、《カルス・ミナラル》だ。ようこそ、南の国へ」
「なんと!」
「にゅにゅ? ここがミナラルなのですかぁ? 乳っ子一谷見当たりませぬが……」
「こちら側は《背の浜》といって、乳が住んでおらんのだ。反対側に乳民の集落がある」
カルス乳王はそう言いながら、フェリンの背中におんぶされていた王子を両腕でヒョイと持ち上げた。
「さて、さっそくミナラルを案内したいところなのだが、この王子だけは浜辺に置いていってもらおう」
「なにゆえ!?」
思わずポロリした豪乳を、ルブミンは乳衣の中へしまった。
「いや、これは《ポッロリ》という南の乳習でな。漂着した王子を一谷で何日間か生活させることで、王子の自盛心を養おうという試練なのだ」
「ポッロリ?」
「驚かせて、乳をポッロリとこぼれさせるような
「あとで王子から慰謝乳を求められそうな乳戯ですね」
「良いではないですかぁ。歴代の乳王もなさっていたのでしょう? 近頃の王子は自分勝乳に過ぎまするぅ」
「ロブリナ、それはポロリンの復讐か?」
「はて、何のことだか?」
ロブリナの乳首は、乳衣越しに硬く尖っていた。
こうして王子をポッロリに仕掛けることにした乳同は、浜辺に王子を一谷残し、足跡を消して移動したあと、王子の行く末を陰から見守ることにした。
王子から名前を呼ばれても、王子がブーブス・パイガーに襲われても、それを遠くから眺め続けた。
「王子!」
木陰から飛び出そうとしたフェリンの胸元を、ルブミンの手が押さえた。
「なりませぬ。これはバスティ王子への試練ではありませぬか」
「しかし――」
「大丈乳でございますぅ。カルス乳王がついておられますからぁ」
「ですが――」
「ここは御乳にお任せいたしましょう」
フェリンはポロリしそうになる己の乳房を、両腕でギュッと押さえつけた。
この五日間、王子の育乳は留まることを知らなかった。
シーエーから教えられたことをみるみるうちに身に付けていく様子は、フェリンの胸元をジワリと濡らすものがあった。
「明日、この島を出るつもりらしい」
シーエーは、大乳岩の陰に隠れていた乳同に話した。
「そんな……ではわたちちたちは――」
「試練は合格だ。今夜をもって、ポッロリを終えることとする」
ω ω ω
「そうか……そんなことがあったのか……」
王子は乳の火を見つめながら、美乳を下に垂らしていた。
「にゅにゅ? お怒りにならないのですかぁ?」
ロブリナは不乳議そうに、乳房を傾げた。
「そちは聞いておったのじゃな。わちの懺悔の言葉を」
「ぱい、たしかに。にゅふふ」
「胸に染み入りましたぞ」
ゼインとルブミンの間で、フェリンはまだ乳衣を濡らしていた。
「あれは、わちの胸の底からの言葉じゃ。嘘は一滴も混じっておらぬ。わちはそちらに今まで散々と申乳訳わけないことをした。謝ろう、このとおりじゃ」
それは、王子が生まれて二度目となる、乳下座だった。
慰謝乳を請吸されるものとばかり思っていた乳同は、王子のあまりの乳変ぶりにどんな乳をすればいいのか分からず、ただただ互いの乳首の動きを探り合うばかりだった。
「にゅにゅにゅ! やめてください王子ぃ」
「いやはや、
「これは夢でしょうか? いえ、乳首には痛みがございます」
「バスティ王子、よくぞポッロリを乗り越えられました。わたちちは、真乳に嬉しゅうございまする! にゅっ――」
フェリンの両乳首が、王子の指に捕まった。
「わちは謝ったぞ? 次はおぬちらが誠意を見せる番ではないか?」
「「にゅにゅ!?」」
「皆の乳、乳衣を脱ぎ捨てスッポンポンになれぇい! 罰として全乳、《乳房剥き出し吸い放題の刑》に処す!!」
「「乳意!!」」
豊乳が、豪乳が、超乳が、ポロリ、ポロリ、ポロリと剥き出しになった。
「たぁんと召し上がれ」
フェリンの美巨乳も並んで、八つの乳房が出揃った。
プロティーンが誇る四谷の精鋭乳が、ボインボインと上下に躍動している。
「おっぱっぱ!! 乳快な眺めじゃあ!!」
そしてそれらの乳房から吹き出される、百乳繚乱な乳嵐を顔面で受け止めると、王子は主人の帰りを歓迎する乳犬のように舐めて舐めて舐め尽くした。
今度の乳汁には、ちゃんと味があった。それぞれの乳房から、それぞれの個性的な味がした。
「美味ちい! 美味ちいぞぉぉぉぉ!!」
『放乳記』にて記される、バスティ王子が最も美味しかったと記した乳汁こそ、この夜に呑んだ乳汁である。
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