50話 焼きもちユウくん
ユウとミーシェは途中で拾った新たな仲間マシュマロ(笑)と共にギリースを目指し、旅を続けていた。
「ふふふ…よろしくね?マシュマロ?」
「…わん!」
「なぁミーシェ、こいつ本当にブラッドウルフだよな?」
「そ、そうだと思うけど…」
「鳴き声もう犬じゃねえか。」
「わん!」
「確かに…まあ可愛いからいいじゃん!」
「まあそうか…」
「ほら、ユウも挨拶して。」
「ああ、よろしくな?マシュマロ(笑)。」
「…ねえ、(笑)って何?ねえ?」
「…なんでもない。」
「名前に文句があるの?ねえ?」
「いや、いいと思うぞ?マシュマロ。…美味しそうで。」
「ダ、ダメぇ!この子は食べないって約束じゃん!」
「冗談だよ。」
「…わん!」
「ん?どうしたのー?マシュマロ。お腹減ったの?」
「くぅん…」
「待っててね?今ご飯作ってあげるから!」
「わん!」
そう言ってミーシェは急ぎ足で料理を作りに向かった。
「ふぅん…ブラッドウルフねぇ…お前戦えんのか?」
「くぅん?」
「…お手。」
「くぅん?」
「お!手!」
「…わふ!」
「おすわり。」
「わん!」
「…お!す!わ!り!」
「…ふ」
え?こいつ今鼻で笑わなかったか?
「わん!」
なんかこいつ…
「わん!へっへっへっ!」
腹立つな…
「わふ!」
ペシっ
「ごふ!」
マシュマロは俺に猫パンチならぬ犬パンチをしてきた。
「なんだてめえ…やんのか?」
「わん!」
「おもしれえ…来いよ。」
「う〜…わん!」
「マシュマロ?出来たよー。特性ミルクだよー。…マシュマロ?」
「く、くぅん…」
マシュマロは埋められて、顔だけが出ている状態だった。
「マ、マシュマロー!」
「くぅん…」
「な、なんで…こんな…」
「お、ミーシェ。」
「ユ、ユウ…なんでこんなことに?」
「いやぁ、なんかこいつが俺とやる気十分だったからよ。ちょっと格の違いを見せてやったんだ。」
「く…ぅん…」ガクッ
「マシュマロー!!!」
「へ!俺の勝ち!」
「最低!馬鹿!人でなし!」
「だから俺に人でなしは…」
「うるさい!」
「…はい。」
「待っててねー?今掘り起こすから。…ほら、ユウも手伝って!」
「おう…」
「わん!」
「良かったあ無事で。ほらユウ謝りなさい!」
「は?なんでだよ?最初にしかけてきたのは…」
「いいから!」
「…す、すいません。」
「わふ!」
「許してくれるって。良かったね。」
くそ!犬に頭を下げなきゃ行けないなんて…屈辱…
「もう遅いし寝よ?」
「…ああ。」
「あ、私今日はマシュマロと寝るから。」
「え?」
「おやすみー。」
「あ、ああ。」
その夜
「スー…スー…」
「…くぅん…」
「…なぁ、ミーシェ?」
「スー…スー…」
「…なんだよ…」
「くぅん…」
「…寝るか…」
「スー…スー…んん…マシュマロ〜…」
「くぅん…」
別に!寂しくねえし!これでゆっくり眠れるもん!
「…寂しいなぁ…」
そのままユウは気づいたら寝てたw
翌日いつもの温もりはなく少し寂しい朝を迎えた。
「あ、おはよう、ユウ。」
「…ああ。」
「?…なんかあった?」
「…別に。」
「?そお?」
「わん!」
「あ、おはよう!マシュマロ。」
「…」
「あ、待ってて二人とも。ご飯作るから。今日はスープとパンでいい?ユウ。」
「なんでも。」
「?…わかった。」
「わん!」
「マシュマロには美味しいミルク持ってくるからねー?」
「わん!」
「ふふふ…」
「…」
ミーシェはご飯を作りに行った。
「…わん!」
「…ん?」
「へっへっへっ…わう!」
「なんだよ…」
マシュマロはユウの目の前に腰を下ろして、頭を差し出してくる。
「…なんだ?」
「わん!」
「撫でろってか?」
「わん!」
「…やだ。」
「くぅん…」
「…」
「くぅん…」
「しょうがねえなぁ…ほらほら、満足か?」
「くぅん。」
「…可愛いな。」
「ふふふ…でしょ?」
「ミーシェ。」
「ユウもやっと気づいたか。」
「…まあ。犬とか飼ってみたかったし。」
「ふふふ…良かった。ほら、ご飯できたよ、ユウ。」
「…ああ。」
「元気ないね。何かあった?」
「…いや、別に。」
「?…そう…さあ!食べよーう。」
「いただきます。」
「おいし?」
「…ああ。美味しいよ。」
「…なんかあったでしょ?」
「なんもない。」
「むー…」
「食ったらとっとと出かけるぞ。」
「うん…」
ギリースに向けて二人はまったりと進んでいたが、思いのほか多い魔物の群れにイライラしていた。
「もう!なんでこんなにいっぱい…」
「そうだな…キリがない。」
「わん!」
「そう言えばお前戦えんのか?」
そう言ってミーシェの頭の上にいるマシュマロに視線を移した。
「え?何?戦わせるの?」
「いや、そういうことじゃないけど…危険な旅なんだ。少しぐらいはやってもらわないと。」
「それもそうか…まあ一応S級の子供だから…どうなんだろ?」
「よし!やってみろ!」
「わう?」
「いけ!」
「わん!」
「…いや、行けよ。」
「戦えないみたい…」
「まあまだ子供だしな…仕方ない。一掃するから二人とも離れてろ。」
「うん。」
「よし、やるか。」
ユウはドラゴンキラーに風属性魔法を纏わせた。
「風神斬。」
横にドラゴンキラーをなぎ払いその場にいる魔物を一掃した。
「ふぅ…」
「お疲れ様。」
「おう。さあ、先を急ごうぜ。」
「うん。」
その後も話をしながら魔物を倒し、確実にギリースに向けて進んでいった。
「そう言えば、マシュマロは宿屋に泊まれるのかな?」
「あー…そうだなぁ…店によるんじゃないか?」
「泊まれるといいけど…」
「…そうだな。」
「何?なんかあるの?」
「いや、ただ…またこいつと寝るのかなぁって思ってさ。」
「え?」
「別に?!俺は全然大丈夫だけど?ただ…寂しいじゃん?」
「…」
「ほ、ほらさ!昨日までは俺と一緒に寝てたのに急にいなくなるとさ、ほら…寂しいじゃん…」
「…もしかしてユウがマシュマロにきつく当たってたのって…焼きもち?」
「…そうだよ!」
「…ふ、ふふふ…」
「笑いたきゃ笑え!…うう。」
「ユウは…私と一緒に寝たいの?」
「…うん。」
「ふふふ…なんだかんだいってユウも甘えん坊なんだね。」
「わ、悪いかよ…」
「んーん。ただ…か…」
「ん?」
「…可愛い!」
そう言ってミーシェはユウの髪をわしゃわしゃと撫でる。
「や、やめろぉ!」
「ふふふ…ごめんね?今夜からはちゃんと一緒に寝てあげるから!」
「…うん。」
「まだ納得出来ない?」
「…」
「しょうがないなぁ…ん。」
ミーシェはユウのほっぺにキスをする。
「!…ミーシェ…」
「んふふ。でもマシュマロとも仲良くしてあげて?」
「お、おす…」
「おす?」
「わかった!こいっ!マシュマロ!」
「わん!」
「ははは!いい子だなぁお前は!」
「…変わり身早!」
目的地ギリースはまだまだ先。のんびりと旅を続ける二人+1匹であった。
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