39話 存在価値
エルフの里中央広場。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「なんですか?あんなにやる気だったのに…もう疲れたのですか?」
「…うるせえ!」
「あらあら、野蛮な言葉遣いですね…やりなさい。」
数人の兵士が襲いかかった。
「ちっ…なめんじゃねえぞ!」
ミーシェは手に持つ剣で薙ぎ払っていく。しかしレヴィアタンが魔法で作り出した兵士のため、数が減らない。
「…クソが!とっとと…消えろ!」
ミーシェは辺りに黒い雷を撒き散らした。
「はぁっはぁっ…」
「まだそんな技を隠していたとは…でもまだまだ私の兵士は沢山いますよ?やりなさい。」
「…ちっ!…ヴィーナスフラッシュ!」
ここでミーシェは大罪魔法を放った。
「…何かしましたか?」
「!…何故だ…なんで大罪魔法が効かねえ?」
「ふふふ…大罪魔法はわたくし達魔王が作り出したもの。それが魔王であるわたくしに効くはずないではありませんか。それはヴェルフェゴールさんが作った魔法ですね?」
「くそっ!」
「ああ、それと…大罪魔法はわたくしの兵士にも効きませんよ?わたくしが作り出したものですから…」
「はぁ…はぁ…」
「…万策つきましたか…捕らえなさい。」
100を超える兵士が一斉にミーシェに襲いかかった。
「ちっ!…クソがぁ!」
ミーシェは片っ端から兵士を切り刻んでいく。
「なかなかやりますね…でも…時間の問題です。」
兵士のうちの一人がミーシェの剣を弾き飛ばした。
「な!くそ…」
「終わりです…」
ズバン!
兵士の剣がミーシェの胸を切り裂いた。
「く…そ…」
ミーシェはその場に崩れ落ちた。
「わたくしの城へ連れていきます。運びなさい。」
ミーシェside
ユウ…ごめんなさい…ユウ…
目の前に、さっきの女が現れた。
!…あなたは
女は瀕死だった。
「はぁ…はぁ…無理…死ぬ…」
その怪我はなに?!私の体で何をしたの?!
「はぁ…代われ…休む…」
な、何を…
気がつくと周りは豪華な装飾のされた部屋の中だった。そして手は鎖で繋がれていた。
「おや?目が覚めましたか?」
「あな…たは?」
「おや?髪と目の色が違いますね…」
「ここはどこなの?なんで私は繋がれてるの?」
すると側近とおもわれる兵士が答えた。
「なんでだと?とぼけるな!貴様が皆を殺したのだろう?!それをとぼけるのか…貴様ぁ…」
「落ち着きなさい。」
「レ、レヴィアタン様…」
「あの時あなたは民に何をしたか覚えていますか?」
「…何を…したの?」
「エルフの里の住民を惨殺したのですよ?お忘れですか?」
「…違う!私はそんなことやってない!」
「とぼけるなぁ!」
また兵士が怒鳴った。
「貴様ぁ…」
「どうやら先程戦っていたのはあなたではないようですね…」
「レヴィアタン様?それはどういう…」
「すぐに分かります。…出てきたらどうですか?」
「何を言って…ぐう!…はぁ、はぁなにこれ…頭が…」
突如頭痛がミーシェを襲った。そして右目が赤色にかわり、髪の毛も白が混ざった色に変わった。
「なに…これ…私は…よう、また会ったな…なに…なんなの…ちっ!てめぇは黙ってろ!」
目の色がどちらも赤くなり、髪も白になった。
「はぁ…はぁ…」
「こいつは…さっきの…」
「二重人格…というわけですね?」
「はぁっ…はぁっ…うるせえ、殺すぞ?」
「さっきの彼女は自分の中に封じ込めたというわけですね?どうやら体も違うようですね。さっきの彼女は傷がなかったのにあなたはキズがまだあるではありませんか。」
「はぁ…はぁ、ゲホッ…うるせえ。」
「ですがどちらも同じこと。あなたはどの道処刑します。その前になぜこんなことをしたのか…教えていただきませんか?」
「知るかよ…ゲホッ…はぁ…はぁ…」
「これでは話になりませんね…さっきの方に代わっていただけますか?」
「うるせえ…この…体は…あたしのだ…」
「なら仕方ありませんね…気絶してもらいます。」
「てめぇ…ぐあぁ…」
ミーシェはその場に倒れ込んだそして…
「…どうなってるの?私は…私は…」
「どうやらあなたはついていけていないようですね…」
「どうして?私が…みんなを殺したの?なんで…こんな…」
「正確にはあなたではありません。でもあなたが生み出したものが殺したのです。」
「…私が…生み出したもの…」
「やはりあなたは魔神の妹のミーシェ様ですね?あなたはあの時殺したはず。どうやって蘇ったのですか?」
「私は…私は…」
「あの魔族の男は本当に仲間なんですか?切って捨てたと言っておりましたが…」
「魔族の…男…ユウ!ぁ…そうだ…ユウ…私はユウを…」
「それももう1人のあなたがやったことですか…どうしてあのようなことになったのですか?」
「私は…ダークエルフの女の子を見て…」
「ダークエルフの少女?…ああ…あの少女の事ですか…あれはわたくしの奴隷なんですよ。みんなにレンタルしてます。」
「奴…隷?あなたの?」
「ええ。10年前にまたあなたと同じダークエルフが生まれましてね…邪魔だったので両親を処刑して奴隷にしました。」
「そん…な…まだダークエルフは…忌み嫌われてる…の?」
「まだ?まさか…これからも…ですよ。」
「ぁ…ああ…」
「ダークエルフなどあんな呪いの種族など家畜に等しいのですよ。いや、家畜よりもしたですかね…」
「ああ…あ…」
「もう1ついいことを教えてあげましょう。50年ほど前あなた達の家族が人間とほかのエルフに攻め込まれた時、実は私はあの部隊にいたのですが…なんであんなにすんなりといったと思いますか?」
「え?」
「実力者であるあなたの両親はなんで簡単に死んだのだと思いますか?」
「…何を…」
「実は私たちに情報を流していたのはあなたの両親なんですよ?あなたなんかいらないから殺してくれってね。」
「あ、ああ…あ…そんな…」
「両親もあなたはいらなかったんですよ。だから私たちにその日の情報を流した。騙されているとも知らずにね…」
「やめ……」
「死ぬ直前言っていましたよ?」
「…やめ…て…」
「あなたなんか産むんじゃなかった。ってね…」
「い、いやああああああああああああああ!」
「あなたなんか必要とされていない…ただの邪魔な存在なんですよ。」
「う…う…ああ…」
「自分で言ってご覧なさい。私はいらない存在ってね。」
「…私は…いらない…存在…」
「ただの邪魔。」
「…ただの…邪魔…」
「生まれてきてごめんなさい。」
「…生まれてき…て…ごめん…なさい…」
「ふふふ…なら死になさい。」
「あ…あああああああああああああああああああああ!…ああ…」
「さようなら、いらない子のミーシェ?」
その場でレヴィアタンの剣が振り下ろされた。
しかし、剣はミーシェに届くことはなかった。
「…あなたは!」
「…てんだ?」
「なんです?」
「俺のパートナーに…何してんだって聞いてんだよ!!」
そこに現れたのは死んだはずのユウだった。
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