38話 暴走

ユウside

「ミーシェ!魔法を…解くんだ…!」

「…フフ…フフフフフ!」

「ミー…シェ?どうした!ミーシェ?!」

「…うるさいなぁ…」

「お、お前は…誰だ?」

「フフフ…何言ってるの?私はミーシェだよ?ユーウ♪」

「違う…ミーシェはこんなことしない!お前は…一体?」

「あーあ…めんどくさい。…死ねよ。」

「ミー…シェ…」

そのままミーシェ?はどこからか取り出した剣で俺の胸を突き刺した。

「嘘…だろ?ミー…シェ…」

そのまま意識を手放した。




ミーシェside

私は今とても暗い空間にいた。

…ここは?どうなってるの?

確か私は…そうだ耐えられなくなったんだ。出てきちゃったのね…

目の前には剣で刺されたユウが横たわっていた。

え?ユウ?!ユウ!そんな…

私が…やったの…?嘘…だって…ユウ!

「これはぜんぶあなたがやった事よ?」

だれ?!

そこには私とよく似た…いや髪の毛の色が白、目の色が赤になった私がいた。

だれ?あなたは誰なの?…これは?なんでこんなことになってるの?

「私はあなたよミーシェ。なんでって言われてもこれは全部あなたがやったことでしょ?」

違う!私はこんなことやってない!いい加減な事言わないで!全部あなたがやったんでしょ!

「あら?聞こえてた?たしかにユウを刺したのは私。でも私はあなたなのよ。」

何を…言って…

「つまり私はあなたの意志で動くの。あなたが私を生み出したのもユウを刺させたのも全部あなたの意志なのよ?」

違う!私はユウを刺したいなんて思ってない!あなたなんて…いらない!

「でもそう思ってても私が消えないのはなんでかしら?」

何を…

「フフ…それはね、あなたが私を必要としているからよ。」

違う…

「何が違うの?私が消えないってのはそういうことでしょ?」

違う…

「言ったでしょ?私はあなたなのよ?つまり…あなたは私なの!」

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!

「…フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ…」

黙れ…私は…私は!

「いいから黙って見てなさい…あとは私に任せて♪」

そん…な…ユウ…




エルフの里中央広場。

ここはたくさんの人の憩いの場として有名な場所である。

ベンチに座り談笑する2人の若者。

飼い犬の散歩をしている人。

みんなの前で大道芸を見せるエルフ。

仲良く鬼ごっこをしている少年少女。

平和的な一日が流れるはずだった。

「ん?なんだあれ?」

「なに?なんかあったの?」

「いや、なんかあの女…様子が…」

広場に現れたのは、どこか虚ろげな目をした、白い髪のエルフの少女だった。

「そうか?別に普通…いや、なんだあの目は?」

その女の目は赤く輝いていた。周りの人も気付いたらしく、どよめきが起きる。その内誰かが呼んだであろう、兵士がやってきた。

「貴様、何者だ!その目は…「じゃーま♪」」

女は剣で、兵士の首をはねた。

「き、きゃあああああ!」

「ば、化け物ぉ!」

「に、逃げろぉー!」

「…おい、動くんじゃねえよ…」

女はスナップを鳴らす。

広場にいた、人間、エルフはその場に倒れ込んでしまった。

「か、体が…」

「なに…これ。動けない…」

「ママぁ…」

「こほん…みんなぁ!ごめんなさいね!ちょっと今からは私、ミーシェの命令に従ってもらいまぁす♪」

「ふざけるな!」

「…ああ?!誰が喋っていいっつったよ!」

ドシュ!ザシュッ!

「が、がぁ!…やめ…」

バシュ!

兵士は動かなくなった。

「きゃあああああ!」

「いやああ!」

「こ、殺されるー!」

「うるせえ!黙れよ。」

「…」

女の一言で周りは静かになった。

「フフ…みんなえらーい。物わかりが良くて…ほーんとミーシェ助かっちゃうなぁ…じゃあ質問。ダークエルフの女の子、カナって子はなんで嫌われてるの?」

「…」

「質問だから答えてよー♪」

「…」

「…ちっ!答えろっつってんだろ?」

「…」

女は一人の女性に切っ先を向けた。

「お願い!答えて?じゃないと私泣いちゃうよ?」

「ひ、ひぃ…どうか…命だけは…」

「…せえな。答えろっつってんだろ?カウントダウン開始ぃ!0までに答えないと…みんな殺しちゃうぞ♪」

「ひ、ひぃ!あ、ああ…」

「10、9、8、7…」

「あ、ああ…あ」

「6、5、4…」

「…やだ…死にたくない…」

「さ〜ん♪に〜い♪い〜ち♪…ゼロ。」

「あ、あああ…いやぁ!」

「時間切れ。…はぁー!とっとと答えろっつたろ?…さよなら♪」

バヒュ!

女は人間の女性の首をはねた。

「う、うわぁぁぁん…ママぁ…」

「あれぇ?この子は…」

「お願いします!娘だけは…」

女の子の親が答えた。

「あの人君のお母さん?」

「うわぁーん!」

「だったら面白いもの見せてあげる♪私ね、目の前でお母さん殺されちゃったの。だ、か、ら…同じこと…してあげる!」

ズバン!

女の子の母親の首を切った。

「マ、ママぁ!…う、うわぁー!ママぁ!うわぁーん!」

「この首は君にプレゼントだ♪」

「うわぁー、うわぁー、うわぁーん!」

「うん。うるさい♪」

スパ!

「おお!綺麗に切れた♪」

「いやだ…死にたくないよ…」

「うっ…うっ…」

「さーてと…誰も答える気はないみたいだし…どうしようかな…」

「命だけは…命だけは…」

「しょうがない。見逃してやるわけねえだろ?」

「ひっ!」

「フフフフフ!ハハハハハ!…みーんな…死んじゃえ♪」

女は剣を振り上げた。

「何事ですか?」

そこに現れた女性の言葉で剣が止まった。

「ああ?!誰だよ?!」

「わたくしは7大魔王、レヴィアタンと言うものです。…これは…あなたがやった事ですか?」

「ええー?私?知らなーい♪」

「あなた…どこかで…」

「私ぃ、ミーシェって言うの!よろしくね?レヴィアタン!」

「…まさか魔神の妹の…なるほどのこのこと里に避難してきたわけですか…お仲間の魔族はどこに?」

「仲間?ああユウのこと?私が殺しちゃった♪」

「そうですか…それなら手っ取り早い。」

周りから何人もの兵士が現れた。

「やってしまいなさい。」

「おもしれぇ!かかってこいよ!」

ミーシェとレヴィアタンの衝突が始まった。


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