52話 ラッキースケベと波乱の予感

ギリースを目指す、ユウとミーシェとマシュマロはゆっくりだが確実にギリースに近づいていた。

「ファイアーストーム。」

ゴブリンの群れに遭遇したためユウはそれの殲滅をしていた。

「ゴブリンかぁ…」

「なんだ、なんかあるのか?」

「いや、ただどこも食えないなぁって。」

「お前は食べることばっかりだな。」

「だってお腹減ったもん。」

「わかったよ。今食材になるやつ倒してやるから。料理してくれ。」

「おっけー。任しといて!」

「お、あそこになんかいるな。」

「あ、あれA+級のマンドレイク·ロードだよ。」

「へぇ…A+か。」

「まあ、ユウなら余裕でしょ?」

「ああ、待ってろ。」

「ふふふ。頑張って。」

「わん!」

「お前も行くか?マシュマロ。」

「くぅん。」

マシュマロはユウの頭の上に飛び乗った。

「威勢だけは十分だな…でも戦わないんだろ?」

「わん!」

「よし行くか。」



「キシ…キシャア!!!」

「っ…さすがにうるさいな…マシュマロ耳塞いでろ…マシュマロ?」

「…くぅん」

「目ぇ回してんじゃねえか!…たく。」

「…く…ぅん…」

「ミーシェ。こいつよろしく。」

「う、うん。」

「さてと…」

「キシャアアアア!キイ!」

「うるせえ!…燃やすのはダメだから…ブラックストーム。」

闇属性魔法と風属性魔法の合成魔法である。

禍々しい闇の風がマンドレイクの体に傷をつける。

「キシャア!」

負けじとマンドレイクも根っこを伸ばしてきた。

「おっと…中々早い…なっと!」

その根っこをナイフで切り刻む。

「エンチャント ストーム。」

ユウはナイフに風属性魔法を付与した。

「よっとぉ!」

そのままマンドレイクを真っ二つにした。

「キシイ!」

「っ!…おいおいまだ生きてんのかよ…早く死ね。」

ユウのナイフがマンドレイクの息の根を完全にとめた。

「それよりも今の鳴き声は格別にうるさかったな。」

「そうだね…」

「お、ミーシェ。ちょうど今終わったところだ。」

「お疲れ様。今日はスープ作るね。」

「おう、頼む。」

ミーシェはランチテーブルを出して料理を始めた。

「じゃあ俺もっと魔物倒してくるから。何かあったら大声で叫ぶんだぞ。」

「うん。ふふふーん♪」

ミーシェは楽しそうに料理を続けた。




「ふぅ…これで7匹目か…」

ユウは1人オークの討伐をしていた。

「ミーシェが喜ぶぞ。お、まだいたか。せりゃ!」

「ブヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」

「うるせえ!」

なんだ今の豚感丸出しの断末魔は!

「そう言えば新調したモンスター図鑑見てなかったな…見てみるか。」

アイテムボックスからモンスター図鑑を取り出した。

「お、マンドレイク·ロードのページがある。…なになにマンドレイクロードの断末魔は多くの仲間を呼び寄せる…え?」

「きゃあああ!ユウ〜!」

「やべ…!ミーシェ!」

ミーシェの元にたどり着くとミーシェはマンドレイクの蔓で、あられもない姿で吊るされていた。

「いやぁ〜見ないでぇ!」

「なんでこんな時に限ってお前ミニスカート履いてんだよ…」

ていうか下着も黒か…さすが黒が似合う女。ありがとうございます!

「見ないでぇ…助けてぇ!」

「無理がある…ちょっと待ってろ。」

「…うう…」

「ダークマター。」

禍々しい闇の波動でマンドレイクを片付けていく。

「きゃ!」

「よっと。」

落ちてきたミーシェをキャッチする。

「大丈夫か?」

「…見た?」

「見てない。」

「なんで目を合わせてくれないの?」

「いや…別に。」

「…助けてくれてありがとう。」

「おう。」

「良かったね。私のパンツ見れて!」

「大丈夫だ!チラッとだ、チラッと。」

「むぅ…」

「ご、ごめんな?ははは…」

「…まあ、ユウなら別にいいけど。」

「そうか。それは良かった。殺されるんじゃないかと思ったよ。」

「ユウなら…大丈夫。」

「そ、そうか…しかしお前は黒が好きだなぁ…」

「!」

「そんなに黒に揃えなくても…ミーシェ?」

「…馬鹿ぁ!!」

パーン!!

綺麗な音を立ててミーシェのビンタがユウに炸裂した。




「…なぁー…ごめんって。いい加減機嫌直してくれよ〜。」

「ふんっだ。知らない!」

これはこれは…怒ってますねぇ。

「助けてくれたことはとても感謝してます!ありがとうございます!」

「ど、どういたしまして…?」

「お代わりよそってくる!」

「お、おお。」

これでスープは20杯目である。ちなみにパンは30個目だ。

もぐもぐ…

「ごめんってば〜…なーあー…」

「ユウが…」

「ん?」

「…ユウが黒が似合うって言うから…」

「あ…」

「それで私…黒で揃えたの。」

「そ、そうなのか…似合ってて…いいと思うぞ?」

「…うん。」

「ほんと…ごめんな?」

「どうしよっかなぁ…」

「すまん!」

「ふふ…ケーキで許してあげる!」

「お、おお…」



「さて…そう言えばマシュマロは?」

「あ、それなら…」

マシュマロは頭だけ出した状態で埋まっていた。

「マ、マシュマロー!!!!…なんで…?」

「なんか私たちの食材つまみ食いしてたから。お仕置き。」

「くぅん…くぅん…」

「そ、そうか…」

「ほらマシュマロ。ミルクだよ。」

「くぅん…」

「その状態で食べなさい。」

「わん…」

「ははははは…」


今度からミーシェは怒らせないようにしよう…


「…おやすみ、ミーシェ。」

「おやすみ。」

「なぁミーシェ。ずっと思ってたことがあるんだが…」

「ん?何?」

「俺たちの関係って…なんだ?」

「…そうだなぁ…私は…恋人だと思ってるけど?」

「…その事なんだが、」

「いいの。分かってる。…私は待つよ?復讐が終わるまで。」

「ミーシェ…」

「まだお姉ちゃんも助けないといけないしね。」

「そうだな。」

「それまでは…パートナーってことで。」

「ああ、頼りにしてるぞ。」

「うん。ありがとう。大好きだよ…ユウ。」

「ああ、俺もだ…」




翌日

「わん!へっへっへっ」

「…おはよう。マシュマロ。」

「あ、起きた?ご飯できてるよ。」

「…サンキュ。」

今日の朝ごはんは魚のムニエルだった。

「ん?いつの間に魚なんて調達したんだ?」

「昨日マシュマロが川で。」

「ほお…お前も魚は取れるようになったんだな。」

「わん!」

「うりうり…いい子だいい子だ。」

「わん!」

「ごちそうさま。美味しかったよ。」

「うん。少し休んだら行こ?」

「ああ。あと少しだからな。頑張ろうぜ。」

「うん!」

「わん!」



そのあとは特に何も問題なく2時間くらい歩いて大きな壁が目に入った。

「あれが…」

「ああ。」

「到着!疲れたぁ…」

「くぅん…」

「…お前はミーシェの頭に乗ってただけだよな?」

「ふふふ。早く行こ?宿取れないよ?」

「そうだな。」

二人は入り口目指して歩き出した。

「…変だな。」

「ん?どしたの?」

「警備の兵士がいない。」

「あ…ほんとだ。」

ドゴォーン!

突如大きな爆発音が響いた。

「なになに!?」

「…まさか…」

壁の中で何体もの巨人が暴れていた。


あ、アーメルの時と同じ展開ですか…

新たな波乱の予感を感じながら二人はここ、ギリースの地に足を踏み入れた。

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