45話 勇者side ダンジョン攻略
勇者一行は再びダンジョンに挑むため、ダンジョンの前に集まっていた。
「よし、これから決めたグループで、ダンジョンに潜ってもらう。準備はいいか?」
「はい!」
天城のグループはこのあとギリースに向かうため、そのままのグループで行くことになった。メンバーは天城、橘、小宮、江ノ島、松山の5人だ。
「みんな、力を合わせて攻略しよう!」
「おう!」
「…ああ。」
「…頑張りましょう。」
「…うん。」
「…菜々?」
「え?」
「大丈夫かい?江ノ島さん?」
「あ、うん。ごめんごめん。頑張ろ!」
「…」
「さあ、行こうか。」
「松山さん、たのむ!」
「…ええ、はぁ!」
「っしゃあ!ナイス松山さん!」
「…ありがとう。」
「…菜々?」
「え?」
「…本当に大丈夫?」
「…うん。」
「…小宮くんの言ったことは気にしちゃダメよ?」
「うん。分かってる。」
「天城!前にシルバーウルフ見つけたぞ!」
「おお!江ノ島さん、援護頼む!」
「…」
「江ノ島さん!」
「…あ…フ、ファイアーボール。」
「…菜々!しっかりしなさい!」
「ご、ごめん!みんな…」
「江ノ島さん、疲れてるのか?」
「ごめん橘くん。大丈夫。」
「さあ次の層に行こう。」
「うん。」
「…うん。」
次からはまだ誰もたどり着いていない、5層目にたどり着いた。
「ここからはまだ行ったことがないところだからみんな気を引き締めるぞ!」
「おっしゃあ!行くぜ!」
そう言って橘は駆け出した。
「おい、賢治、突っ走るな!」
「へへっ!どりゃぁー!」
前にいたゴブリンの群れに突っ込んでいった。
「なんだよ…全然手応えないじゃねえか!最も下まで行こうぜ。」
「そうだな。」
「…でも油断は禁物よ。」
「ああ、でもこのくらいの層なら心配いらないだろ。」
「お?あれは宝箱か?」
「ん?…ああそう言えば各層には宝箱が落ちてるって言ってたな。」
「ラッキー、中身はなんだろな〜。」
「待て橘。トラップだ。」
しかし、小宮が止めた。
「あ?」
「鑑定で調べたら魔物の反応が出た。」
「は?知るかよ。どうせお前が独り占めしたいだけだろ?」
「中身を見るくらいいいんじゃないか?」
「…待ってトラップだったら本当に…」
「へっ!知るかよ。」
「よせ!橘!」
制止を聞くことなく橘は宝箱を開けた。
するとこの層の床が抜けた。
「は?」
「ちっ!だから言った。」
「…菜々!」
松山は江ノ島を庇うように抱きしめた。
「くそ!みんな!」
「…たく。トルネード!」
小宮は下に向かって風属性魔法を放った。
すると5人は浮き上がり、上の地面に戻ることが出来た。
「はぁ…はぁ…あぶねえ〜。」
「…ありがとう。小宮くん。」
「…別に…」
「由希ちゃん、庇ってくれてありがとう。」
「…無事てよかったわ。」
「小宮!なんで止めなかった!?」
「は?」
「お前は鑑定を持ってるんだろ!なぜ止めなかったんだ?」
「僕はしっかり言っただろ?」
「あの時お前が力づくで止めていれば…」
「おいおい、なんで僕がそこまでしなくちゃならないんだよ?」
「な!死ぬところだったんだぞ!」
「だから助けてやったじゃないか…」
「あの、ありがとう。小宮くん。」
江ノ島がお礼をした。
「ふん…」
「次からは異変を感じたらすぐに伝えるんだ。いいか小宮?」
「…ふん。」
「少しは協調性を見せたらどうなんだ!」
「何度も言ったが僕は君たちと馴れ合うつもりは無い。」
「なんだとぉ…」
「王女の手駒の君たちのことなんてどうでもいいからね。」
「王女様は何も…」
「前も言ったろ?藤山が死んだのは確実に王女の仕業だぞ?」
「ふざけんじゃねえ!」
「ふざけているのはどっちだ?いい加減目を覚ませ。君たちは本当に藤山がやったと思ってるのか?」
「藤山以外に誰がいるんだよ!」
「じゃあ君たちは藤山を探すんだろ?見つけ出したらどうするつもりだよ?」
「城に連れていくに決まってんだろ!」
「連れて行ってどうするんだよ?」
「城を守らせるのを手伝わせるに決まってんだろ?」
「君たちは藤山が手伝ってくれると思ってるのか?」
「は?」
「藤山が死ぬ直前に言った言葉君たちは聞いていたか?」
「は?んなもん知るかよ。」
「藤山は僕達に、王女に復讐すると言っていたんだ。」
「な!なんだと…」
「聞いてなかったのか?」
「知るかよそんなの、無理矢理にでも連れてきゃいいんだよ。あいつに断る権利なんてねえんだからな。」
「無理矢理で連れてこれればいいんだけどね…」
「何が言いたい?」
「いいか?僕達が藤山に再会したらまず敵対すると思っていい。」
「藤山が敵になるって?まて!なんでそうなるんだ?あいつは自分のやったことを悔いているんじゃないのか?」
「天城、君のご都合解釈はここまで来ると病気だぞ?彼が悔いるわけないじゃないか。」
「なんだと!反省していないということか?」
「はぁ…これだから…いいか?反省するも何も藤山は何もやっていない。藤山は急にあの場所に呼び出されて何も知らないまま勝手に生贄にされたんだぞ?それも僕達クラスメイトに信じてもらえずにね。藤山は裏切られたと思っただろうね。」
「そんな…」
「もし彼が生きていたとしたら僕達に復讐しようとするだろうね。」
「そんな…」
「それでも君たちは藤山を見つけ出すのか?」
「それ以外方法が…ないだろ…」
「そんなもん知るかよ!敵対するってんならちょっと手加減して気絶させて連れてって無理矢理手伝わせりゃいいんだよ!めんどくせぇな。」
「藤山に勝てるのか?」
「は?」
「藤山はどこでどんな力を手に入れてるか分からないんだぞ?僕は藤山を探すことには反対だね。何より藤山が裏切ったと思ってる時点で君たちに探す資格はない。」
反論出来なかった。
「…」
「ちっ!次の層に急いだ方がいいんじゃないか?」
「そ、そうだな。」
「…菜々?」
「いや、ちょっと…」
江ノ島は泣いていた。
「江ノ島さん?」
「いや…私たちが優くんを信じてあげなかったからって思うと…」
「…菜々。」
「ごめん小宮くん。私が間違ってたよ。やっぱり小宮くんが言ってたことは正しかった。」
「ふん…」
「…でもね…やっぱり優くんは死んでないと思う。」
「ほう…それで?どうするつもりなんだ?」
「やっぱり探し出す。許してくれるか分からないけど…やっぱり言葉じゃないと伝わらないよ。」
「ふーん。いいんじゃないか?精々頑張りなよ。」
「うん。ありがとう。」
「…菜々…」
「ごめん皆ここまで迷惑掛けてきたけど…頑張るから!」
「…そうね。次の層に急ごう。」
ビシッ…!
「ん?なんだこの音は…」
「!…まずい!そこから離れろ!」
小宮の指示でみんなが横に飛んだ。
するとその場所の地面がえぐれて中からはおおきなドラゴンが出てきた。
「そんな…こいつは…」
「小宮!知ってるのか?」
「ああ…グランドドラゴンだ。」
「グランドドラゴン?」
「本で見た。レジェンド級の魔物だ!」
「レジェンド?そんな…」
一難去ってまた一難。勇者の前にまた脅威が訪れた。
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