23話 スフラン共和国

商人のスコットを助けたことで馬車に乗せてもらった優たちは無事スフランに到着することが出来た。

「ここまで本当にありがとうございました、スコットさん。」

「いえいえこちらこそ危ないところを助けていただき本当にありがとうございました。なにかお困りのことがありましたら商店街で店を出しているので是非立ち寄ってください。」

「はい。ありがとうございます。」

スコットは商店街に向かっていった。

「じゃあまずは宿からだな。」

「うん。」

「この街の宿はどこかな…すいません、宿ってどこにありますか?」

「宿ですか?宿ならそこの通りを曲がってすぐにありますよ。」

「ありがとうございます。」

「行くぞ、ミーシェ。」

「うん。」



「いらっしゃいませー!」

「とりあえず1週間分お願いします。」

「二部屋でよろしいでしょうか?」

「…どうする、ミーシェ?」

「…一部屋で。」

「はぁ…お願いします。」

「…えへへ。」

こいつは…。まあウェルカムだが…

「少し休んだら散歩しに行くか?」

「うん!いくいくー!」

「城のことも少し調べておきたいしな…。」

「そうだね。」



「そう言えばミーシェ。お前ってその服以外持ってないのか?」

ミーシェが今来ているのは黒いワンピースだ。正直それ以外来ているところを見たことがない。

「え?うん。」

「じゃあ服見に行くか。」

「いいの?」

「ああ。それだけじゃ不便だろ?」

「ありがとう!選ぶの手伝ってね?」

「お、おう。」



「おーい。ミーシェ?まだか?」

「うーん。ちょっと待って。」

服屋に着いた優はミーシェのファッションショーに付き合っていた。

「これはどう?」

「…そんなフリフリしたやつ動きづらいだろ?(…似合ってるが。)」

「うーん。悩むなー…」

「早めに決めてくれよ…」

「むー…じゃあユウはどれがいいと思う?」

「え?俺か?」

「うん。どれが似合うと思う?」

「そうだなぁ…正直お前ならなんでも似合うと思うが…」

「え?」

「あ、いや、なんでもない…」

「?」

「お、これなんてどうだ?お前黒が似合うから…このカーディガンとかいいんじゃないか?」

「着てみる。」



「…どお?」

「お、おお。」

はっきり言おう。めっちゃ可愛い。

「ユウ?」

「あ、ああよく似合ってるよ…」

「ほんと?」

「ああ。可愛いよ。…あ」

「な、何言って…」

ミーシェは顔を真っ赤にしていた。

「きき、気に入ったならそれにしよう!」

「え?あ、あ、うん…」

やばい。最近墓穴掘りすぎな気がする。

「他にも選んでいいぞ?」

「ほんと?やった!」

「俺も何か買うか…」

「じゃあユウの服は私がコーディネートしてあげる!」

「あ、ああ頼む?」

「へへーん。任しといて!」



「おい。もう1時間はたったぞ。」

「うーん…これでもないなぁ。」

「…正直俺はスタイルがいいほうじゃないからな。似合う服は無いかもしれないぞ?」

「何言ってんの?ユウはかっこいいよ?」

「え?」

「うんうん。」

「そ、そうか…あ、ありがとな。」

「うん。」

なんだよ…調子狂うな…てかこいつ天然か?

「ユウもおそろいで黒にしよ?このコートなんてどうかな?」

「着てみるか…」



「どうだ?」

「うん。かっこいい。」

「あ、ありがとう。」

この天然娘!

「じゃあこのコートにするよ。」

「うん!…ふふふ。」

「?どした?」

「…なんかこうしてるとデートしてるみたいだなぁって。」

「…傍から見ればそう見えるかもな。」

「楽しいね。」

「そうだな。」

「またデートしようね。」

「あ、ああ。」

「そうだ!お城見に行こ?」

「そうだな。」



「…でけぇ。」

「う、うん。」

城の門に着いた優たちは思っていた以上の大きさに気圧されていた。

「こんなかから宝玉を探し出すのか…大変そうだな。」

「そうだね。」

「それにしても騒がしいな…祭りでもあんのか?」

そう思っていると門の兵士が話しかけてきた。

「なんだ知らないのか?明日ピルーク王国から勇者が来るんだ。もてなしの準備をしているんだよ。」

「…そう言えば明日か…」

「どうする?それまでに探し出せるかなぁ…」

「とりあえず宿に戻ろうか。」

「…うん。」



宿に着いた優たちは特にやることも無くゴロゴロと過ごしていた。

ミーシェは今日買った服を楽しそうに眺めている。

「ふ…いくら神様でもやっぱり女の子なんだな…」

「え?まあ…元は普通のダークエルフだもん。」

普通…なのか?

「…お腹すいた。」

「なんか食いに行くか…て言っても魔物の肉だけど。」

「私焼くね。」

「ああ、頼む。」

「へへ…美味しいステーキ作るから待っててね!」

「それは楽しみだ。」

「少し待っててねーん。」

そう言ってミーシェは宿の厨房に歩いていった。

さて…これからどうしたものか…明日には勇者は到着するらしいしな…

それまでに宝玉を見つけ出せるかどうか…

そのまま横になっていたユウは夢の中へと意識を手放した。




ん?いい匂いがする…そう言えばステーキ作るってミーシェが言ってたな…

「…きて!起きてってば!ユウ?」

「んあ?…ああ寝ちまってたか。」

「もう!せっかく作ったのに…冷めちゃうよ?」

「悪い悪い…いただきます。」

「ふふふ、どうぞ。」

「ん?この味は…」

「どうかした?」

「いや、お前の料理は母さんの料理に味か似ているな。」

「ユウの母さんの?」

「ああ、昔よくご褒美にステーキを作ってくれたんだが、その時のステーキの味にそっくりだ。美味しいよ。ありがとな。」

「へへへ…良かったぁ。」

「で…宝玉を探す作戦のことだが…」

「う、うん。」

「勇者達が宝玉を持っていったところを勇者達を倒してとるのがいいと思う。」

「あ、たしかに…探す手間が省けるもんね。」

「馬車で来るそうだからな…そこを襲撃する。いいな?」

「うん。」

「さて、話はここまで。ごちそうさま。美味しかったよ。」

「うん!」

「明日に備えて早めに寝るか。」

「うん。…その…一緒に寝よ?」

「はいはい。またお前の抱き枕になってやりますよ。」

「えへへ…ありがと、ユウ。」

「ああ…おやすみ。」

「おやすみ…」

明日に備えてゆっくり眠る2人であった。

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