11話 後悔
「どうしてですか！どうして勇者召喚が失敗するのですか！これでは彼を生贄にした意味がないではありませんか！」
祭壇で王女の声がこだました。
「王女様落ち着いてください。」
「これが落ち着いていられる場合ですか！勇者召喚に失敗したのですよ？」
「王女様こんな時ですが質問よろしいですか？」
天城が王女に訪ねた。
「…何でしょうか？」
「僕達はイマイチ状況がつかめてないもので…どうしてこんなことになったのかを教えて貰いたいのです。」
「…そうですね。取り乱しました。今回は引き上げましょう。詳しいことは城に戻ってから話します。」
「分かりました。」
城に着いた勇者一行は広間に集まっていた。
「どうしてあなた達はダンジョンにいたのですか？」
「…それが私たちにも分からないのです。気付いたらあの場所にいたのです。」
「…そうですか。では何故藤山はあのようなことをしたのですか？」
「元の世界に戻せと。それで私に剣を向けてきたのです。」
「それで召喚魔法を？」
「はい。セバスが時間を稼いでいる間にあの祭壇に魔法陣を書きました。」
「そうですか…分かりました。それで…藤山は死んだのですか？」
「はい。恐らく…」
「…そうですか。ありがとうございます。」
「私は疲れたので休みます。皆様もお休みになってください…」
「…はい。」
王女は自室へと戻って行った。
「…どう思う？皆。」
「どうにもこうにも、藤山が裏切ったんじゃねえの？」
「うちもそう思う。1人だけで元の世界に戻りたかったんだよあいつは。」
「でもおかしいと思わないか？あの二人があそこにいたのも、藤山がそんなこと出来るとは思えないんだ。」
「それは…まぁ隠してた力的なやつで？」
「もしかして王女様を疑ってんのか？」
「そういう訳じゃないさ。でもおかしなことだらけじゃないか。まず藤山は本当に死んだのか？勇者召喚は失敗したとか言ってだろ？」
「もう何が何だか分からねえよ…」
そんな会話を江ノ島はただ黙って聞いていた。
「…」
「…菜々？大丈夫？」
「…由希ちゃん。」
「…どうしたの？」
「由希ちゃんはさ…優くんがあんなことしたと思う？」
「…さあ。私にはわからないわ。」
「そう…でも考えたらおかしなことだらけだよ…急に優くんがいなくなったのだって。やっぱりあの二人がなにかしたんじゃないかな？」
「…だったらどうなの？」
「え？」
「…あの二人がなにかしたとしてももう終わったことなのよ。私たちはあの時王女様の言葉を信じて藤山くんに剣を向けたのよ？今更あの二人が何かしたってわかってももう遅いのよ…本人もいないしね…」
「…優くん。」
(あの時私が信じてあげていれば…)
悔やんでも悔やみきれなかった。
結局何も分からずにこの場はお開きになった。
「いてて…くそ…あのクソガキ。雑なんだよ。ここどこだ？なんとなくあの声をイメージしたがどこなんだここは？」
辺りを見回すと優は地下水脈のような場所にいた。
「取り敢えずは来てみたものの…何もわからんな。」
すると頭に声が響いた。
「やっと…来てくれたの？」
おっ聞こえた聞こえた。
「ああ、来てやったぞー。お前はどこにいるんだー？」
しかし何も聞こえない。
「ちっ。探せってことかよ。そういえば新しいスキル…」
鑑定。
ステータス補正
レベルが上がる度ステータスに補正がかかる。
補正される量は自分の運が高いほど上がる。
創造神に愛されしもの
睡眠状態になる度創造神に神託を授かることが出来る。
ステータス補正はなかなかのチートだな…。俺は運も高いしな。
称号の方は未だ意味不明だが。
ドゴーン！
突如地面が揺れた。
「なんだなんだ！」
地面がえぐれ地震の正体が姿を現す。ファンタジーとかでよく見るヤツだ。
「ド、ドラゴン…」
グァァァァァ！
目の前に現れたのは巨大なドラゴンだった。
「くそっ。まじかよ…」
今の俺じゃこんな化け物には勝てない。勢いよく駆け出した。
おいおいまじかよ…勘弁してくれー！
ドラゴンが口を大きく開ける。
嘘だろ？もしかしなくてもブレスですよねー？しむー。助けてー。
そのまま俺はドラゴンのブレスに包まれてしまった。
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