10話 絶望の果てに
―――ダメだ。死んだ。意識が遠のいていく。くそ…
―――たすけて。あなたしかいないの。
なんだこの声は。前にも聞いたような気がする。どこだったかな?
もうどうでもいいか…どうせ死ぬんだし…
「クソ喰らえなんてひどいじゃないか、優くん。」
「!」
なんだこれ。意識が戻ってきたのか。この声は…
「久しぶりだね。優くん。まさかこんなことになるなんてね〜。」
目が覚めた。俺は何も無い白い空間にいた。
「ここは…」
「目が覚めたかい?」
「お前は…あの時の自称神様。」
「な、自称じゃないよ!?」
「なんで俺はここに?死んだんじゃないのか?」
「いやーホントにギリギリ間に合ったんだよー。感謝してよねー?」
「そうか…お前が助けてくれたのか…ここはどこなんだ?」
「ここは神様の世界。そうだね…神界とでも言っておこうか。」
「なんで俺をここに呼んだ?」
「別に。理由はないよ?助け出して転移したのがたまたまここだっただけさ。」
「そうか…なんで助けた?」
「そりゃー君が死んじゃったら。僕の暇つぶしになんないし…あ」
「は?暇つぶし?魔神を倒すために呼んだんじゃないのか?」
「あ、えっと…そうだよ?」
「…」
「…」
「…本当は?」
「暇…つぶしです…」
よし決めたこいつ殺そう。
「あー、まってまって。話を聞いて!」
「…なんだ?」
「だって創造神何もやることないんだもん!君には分かる?もう何万年もやること無くてただひたすら流れる時間を過ごす退屈さが!暇なんてもんじゃないからね!」
いきなり逆ギレかよ…
「神様って暇なのか?」
「そうだよ?やることないよ?」
「じゃあ魔神は?」
「あの封印は時間が経って解けるものじゃないからねー。他者の手でとかないととけないよ?」
殺すぞてめえ。
「ごめんねー?てへぺろ!」
「…そう言えば俺の剣どこだったかな。」
「ごめんごめん嘘嘘許して〜」
「…ったく、そんなくだらない理由で呼ばれてそれで生け贄にされたのか…俺は。馬鹿らしいな…それで?俺はこれからどうしたらいい?」
「もう一度あの国に戻してあげることも出来るけど?復讐したいんでしょ?」
「そうだな。それもいいな。でもまだ俺は弱いからな。勝てないさ。」
「そういうことなら新しいスキルを解放してあげよう!」
「新しいスキル?」
「ほら!???ってのがあったでしょ?それを一つ解放してあげちゃう!僕ったら優しー!」
「それはありがたいな。頼む。」
「どうぞ。効果は戻ってから確認してね!」
「ああ。」
「これからどうするの?」
「ちょっと気になることがあってな。それを調べる。」
「そう…頑張って僕の暇つぶしになってくれよ?」
「お前を暇にはさせないさ。」
「ふふふ。じゃ、いってらっしゃーい。」
この日ピルーク王国で行われた勇者召喚は失敗に終わった。その理由はまだ分かっていない。
―――スキル ステータス補正を獲得しました。
―――条件を達成したため称号 創造神に愛されしものの効果を反映します。
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