12話 ドラゴンキラー

ドラゴンにブレスを受けた俺は見覚えのある白い空間にいた。

「おかえりー。早かったね〜!」

俺はまた死んだのか…

目の前には創造神(笑)がいた。あ、心読めるんだった。

「…ねぇずっと思ってたんだけど君僕をなんだと思ってるの?創造神様だよ!創、造、神!もっと敬いなよ!」

「ふっ!」

「鼻で笑うなー!」

ポカポカと殴ってくる。

「わーったよ。ごめんごめん。それで…俺は死んだんだよな?」

「え?何言ってんの?死んでないよ?ほら、僕があげた称号!」

「創造神に愛されしもの…か。てことは俺は気絶してんのか?」

「そうなるね。という訳で神託を授けマース。」

「神託?」

「そうデェス。」

「神託ってなんだよ。てかその口調腹立つからやめい。」

「ぶー。それっぽいのに…。神託はね、僕がその時の状況に応じて役に立つであろうものをプレゼントしてあげちゃう。便利な機能なののだ!」

「プレゼント?」

「うん!今はドラゴンだから…これなんてどう?」

神様は亜空間らしき所から、大振りの剣を取り出した。

「なんだこれ?」

「その名もドラゴンキラー!ドラゴン倒すにはやっぱりこれでしょ!」

ゲームできいたことある名前だ。

「これで俺はあいつに勝てるのか?」

「無理だろうね〜。あいつレベル500もあるからね〜。」

「は?嘘だろ…500?!」

絶望しかなかった。俺はダンジョンで少しレベルが上がったが25くらいだ。500に遠く及ばない。

「そろそろドラゴンが来たから起きないと死んじゃうぞ?」

「くそっ」





目を覚ますと俺は水の中に浮いていた。上を見ると大きな穴が空いており、そこからドラゴンが顔を覗かせていた。

あそこから落ちたおかげで助かったのか…

ってそんな場合じゃねえ!逃げないと。

すると頭の中で声が響いた。


「忘れ物だよー!」

そんな声とともに上からドラゴンキラーが降ってきた。

「うお!?」

剣を取る。

こんな剣でどうしろって言うんですかね…あのクソガキ。

まぁやれるだけやってみますか。あいつに救われた命だ。死ぬまであいつを楽しませてやるとしよう。

「うおー!」

剣を持ちドラゴンに切りかかる。

しかし鱗で弾かれ、ビクともしない。

おいおい!ドラゴンキラー!どうした!もっと頑張ってくれよ?!

そんなこと思っているうちにドラゴンの尻尾で吹き飛ばされる。

加減したのだろう。死には至らなかった。だが左腕があらぬ方向に曲がっている。

「がぁあ!…ぐっ!くそっ…無理ゲーだ…詰んだ。」

俺は諦めたように目を閉じた。



―――復讐したいんじゃないの?あの王女に。裏切ったクラスメイトに。いいの?ここで死んで?


この声は…さっきの。


―――私が力、貸してあげようか?


目を覚ます。目の前には俺と同じ黒髪の美少女が立っていた。

「…お、お前は?」

「私は復讐の神。」

「ふ、復讐?」

「そう。望むのなら力を分けてあげてもかまわない。」

「…俺は…復讐してやる。」

「力を受け入れるの?」

「ああ、ドンと来い。」

「ふふ。目を閉じて。」

俺は目を閉じると、唇に柔らかい感触を覚えた。

目を開けるとこの女は俺に口付けをしていた。

「な、何を…」

「力をあげたの。あとはあなた次第。」

力なんて別に…



―――スキル 復讐の憎花を獲得しました。

―――称号 復讐神に愛されしものを獲得しました。



これは…。

目の前にドラゴンが迫っていた。

何故か体が軽くなっていた俺は全速力で飛び出した。

とにかく隠れなきゃ。

ドラゴンに見つからないように洞穴に隠れる。

鑑定。



復讐の憎花

復讐したいと思っている限り自分は死なない。

闇属性魔法、暗器術、暗殺術、幻影魔法を総じたもの。



復讐神に愛されしもの

復讐神に認められたものに与えられる。

ステータスに大きな補正がかかり、復讐神と対話することができる。



―――チートだ…

これなら…

ドラゴンが近づいてきた。


やってやる。こんな所で死んでたまるか。

俺はこいつを倒して王女をセバスさんを俺を裏切った天城や橘、なっちゃん…いや江ノ島に復讐する。


「ダークホール。」

ドラゴンの下に黒い大きな穴ができる。

闇の波動が容赦なくドラゴンの体力を奪っていく。

「グギャア…」

俺はドラゴンキラーに闇属性魔法を付与して首に一閃。

「グ…ギ…」

ドラゴンの断末魔を聞いていた。


ククク。この力があれば…


「油断しない。足元をすくわれる。」

「お前は…」

「なんとか使いこなせたみたいね。良かった。」

「…俺はお前を利用させてもらうぞ。復讐神。」

「…私名前はミーシェっていうの。よろしくね?ユウ」

「よろしくな。ミーシェ。どうして俺を呼んだんだ?」

「…あなたに手伝ってもらいたかったの。あなたはあの勇者達の中で1人だけみんなと違った。復讐の気持ちがあった。復讐の気持ちを感じたから…それからずっと見てたの。」

「復讐の気持ちか…たしかに過去に心当たりがあるな。それで?何を手伝えばいいんだ?」

「ふふ。それはね…魔神の復活だよ…。」

―――は?

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