42話 動き出す歯車
ユウ&ミーシェside
レヴィアタンとの最後の戦いが終わったユウとミーシェは大混乱が起こっている里で宿屋を借りるわけには行かず、野宿をすることにした。
「ユウ。ご飯できたよ。」
「ああ、ありがとう。」
「今日は久しぶりのステーキです。」
「おお…では、いただきます。」
「ふふふ…どうぞ。」
「…うん!やっぱりミーシェは料理の天才だな!美味すぎる。」
「へへ…これからもユウの食事は私に任せてね。」
「ああ。」
そのまま二人は同じ毛布に入り、星を眺めていた。
「ユウは知ってたの?あの私は私を守るために生まれたってこと。」
「…なんとなくな。」
「私…あの子に何もしてあげられてない…自由に外に出してあげたかった…私…自分のことばっかり。」
「いいんじゃないか?だってあいつはお前が生み出したものなんだぞ?自分を守るために自分で生み出したものなんだ。」
「…うん。でも、もうあの子に会えることはないんでしょ…私今すっごく不安。またいつこんなことがあるかわかんないから。あの子が居ない私は多分すごく脆い…」
「心配すんな、俺がいる。」
「ユウ…」
「たとえお前が自分に価値が見いだせなくなっても俺にはお前が必要だ。お前がどんな悲しい目にあっても俺はお前の味方だ。」
「…うん…私、優に会えて本当によかった…」
「…俺もだよ。お前がいなきゃ俺はきっと最果ての洞窟で死んでた。ミーシェがいたから神崎達に復讐できた。美味しい料理を食べられてるのも、お前に抱きつかれて嬉しい気持ちになるのも…全部お前のおかげなんだよ。ミーシェ…」
「…ありがとう…ユウ。」
「ミーシェ…」
何分たったかは覚えていない。俺たちは互いに抱きしめ合った。そのまま唇を重ね、そのあとは二人で静かに星を眺めていた。
―――魔王領―――
???「集まって貰ったのは他でもない。レヴィアタンの事だ。」
???「ええ、ただの魔族にやられたらしいですね。」
???「は!あいつは俺たちの中でもクソカスだっただろ?んなもんどうでもいいじゃねえか!」
???「いや、そういう訳には行きますわい。なにせ7大魔王がただの魔族にやられたとなっちゃメンツが丸つぶれです。」
???「だからこそ。レヴィアタンを殺した魔族をなんとしても捕らえるのだ。」
???「あのぉ~。まずはわたしが行ってもいいでしょうか?」
???「ヴェルフェゴール。」
ヴェルフェゴール「なんでもぉ私の大罪スキルが使われてるらしいではありませんかぁ。放っておく訳にはいきません。それにミーシェ嬢とは久しぶりにあって話をしたいのですぅ。」
???「…わかった。任せたぞ。」
ヴェルフェゴール「はぁい。」
ユウ&ミーシェside
「ねえ?ユウ。」
「ん?」
「カナちゃん…元気にやって行けるかな?」
「少なくともスコットさんは優しくしてくれるだろうな。あの人は根っからの商人だから種族なんて関係ないんだよ。それにあの人は見る目は確かだ。きっと二人でうまくやって行けるさ。」
「幸せに…なって欲しいな。あの子は私たちにとって…妹みたいなものだから。」
「妹か…確かにな…」
「うん。」
「ひとついいか、ミーシェ。」
「ん?」
「お前はサラもきっと私のことをいらないと思ってる、っていたよな?」
「…うん。」
「お前に毛布をかけてやってる時の目は…俺の姉貴が、俺をかばってくれた時の…優しい目と一緒だった。」
「…」
「お前が過去にどれだけの裏切りによる傷を負っているかは分かってるつもりだ。でも…お姉さんのことは信じてやれ。」
「…うん。…分かってる。」
「それに、お前を本当にいらないと思ってるなら自分が封印されてまでお前を守ろうとはしないさ。」
「うん…あの時はどうかしてた。お姉ちゃんの優しさが本物だってことは私が一番よく知ってるはずなのにな…」
「だからこそ、二人でサラを助けてやろうぜ?」
「うん。」
「俺達が2人揃えば出来ないことなんてない。背中は任せるからな?相棒。」
「うん!明日もよろしくね?…おやすみなさい、ユウ…」
「…ああ。おやすみ。」
そのまま俺はミーシェの抱き枕と化した。
「…い!ユ…ん!」
「んあ?」
「ユウくんってば!」
「ここは…お、よお!久しぶりだな。」
「ふふふ…久しぶり。」
「ん?でも俺お前に特に用はないぞ?」
「うん。知ってる。ただ最近会ってないなぁって思って!」
「確かにそうだが…まあいいや。」
「んふふ…やっぱり君は面白い。」
「そうか?」
「よく彼女の心を開けたね。」
「…まあ。」
「んふふ〜。キスで心を開かせるなんてね~君も隅に置けないなぁこのこのぉ!」
「う、うるせえ…それ以外思いつかなかったんだよ。」
「ごめんごめん。いやぁいいと思うよ。君らしい。」
「そうか?」
「この後はどうするの?」
「別に…ただ今まで通り旅を続けるだけだ。」
「…そう言えば聞いてなかったけど復讐が終わって、魔神を復活させたら君はどうするの?」
「それはその時決めるさ。」
「ふーん。」
「なんだその反応は?」
「んーん、ただ君がいなくなったら寂しくなるなぁって思って。」
「別にここに残るとしても俺の目的は果たされたわけだし別に何も面白いことはないと思うぞ?」
「それは心配いらないさ。その時は僕が面白いことを作ればいい。暇は嫌だからね。」
「お前…何する気だよ。」
「さあね♪」
「まあ、お前が俺やミーシェに危害を加えようってなら俺はそれを阻止するだけだけどな。」
「…へぇ。僕に勝てるとでも?」
「どうだかな。その時はその時って感じだ。冗談だと思ってくれ。」
「ふーん…」
「まあとにかく今の間はお前を暇にはさせないさ。これからもっと面白いことになる。」
「ふふふ…楽しみだよ。」
「楽しみたかったら俺の心は読まない事だな。」
「ご忠告ありがとう。そうさせてもらうよ。」
「俺はそろそろ戻りたいんだが…」
「うん!久しぶりに話せて楽しかったよ。」
「ああ、俺もだ。」
「またいつか。」
「…じゃあな。」
ユウくんとの勝負かぁ…ふふふ。
それも面白そうだ。
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