32話 突然の再会と血の教団

俺は天城光佑。普通の高校二年生だったが、魔神を倒すために異世界に召喚された勇者だ。今俺たちはアーメル王国に居る。

話は五日前に遡るが、アーメル王国で、巨人が現れたからだ。

1体ならば王国騎士団で、何とかできるだろう。でも今回は最初に確認された、3体を筆頭に、30体もの巨人が現れたからだ。

だから俺たちは国民を守ったり、行方不明者の捜索、巨人によって壊された壁から入ってきた。魔物の討伐をしている。現状この国にはクラスの半数以上が集まっていた。

「天城くん、ここのギルドマスターさんが天城くんのこと探してたよ?」

「ギルドマスターが?」

「うん。なんでも北門の方に魔物の群れが現れたみたいなの。」

「わかった。すぐ行く。ありがとう。江ノ島さん。」

「うん。」

この国に来てから俺たちはペアで行動している。俺のペアは江ノ島さんだ。

「巨人、本当に攻撃してこないのかなぁ?」

「さあね。でも騎士団長の言うことを信じるしかないだろう。」

騎士団長が言うには巨人は壁を破壊するともう攻撃をしてこないらしい。なので今はそこから入ってきたA級の魔物や、壁の復興をしている。

「でもいつもと違って今回は30体もいるんでしょ?なんか緊張感ないって言うかさ、大丈夫かな…少し前あんなことあったばかりなのに…なんか不気味だよね。良くないことが起きるんじゃないかな…」

「大丈夫。きっと俺が守ってみせるよ。この国も、もちろん江ノ島さんもね。」

「…うん。」

北門の方に行くと冒険者達が3体のゴブリンキングと戦っていた。

ゴブリンキングは討伐ランクA級の魔物だ。それが3体ともなると冒険者では勝てないだろう。

「お待たせしました。勇者の天城です。あとは任せてください。」

「おお!勇者様!頼みます。」

「はい。行くよ、江ノ島さん。」

「うん。」

俺は聖剣術で剣に光を纏わせてゴブリンキングに切りかかる。

江ノ島さんの火属性魔法のアシストが入った為簡単に1体倒すことが出来た。

「助かった。江ノ島さん。」

「うん!」

「もう1体いくよ!」

「ファイアーウォール!」

ゴブリンキングの前に、炎の壁を作り、相手の視界を奪い横から首を切り裂いた。

もう1体も同じように倒すことが出来た。

「ふう…片付いたな。」

「ありがとうございます!勇者様。」

「いえ、では俺たちはこれで。」

「はい。ありがとうございました。」

俺たちは特訓を重ね、S級の魔物なら倒せる位の強さになっていた。

これが俺の今のステータスだ。



天城 光佑

人間

Lv79

HP 25600

MP 16890

攻撃 4500

防御 3200

俊敏 2500

魔防 3900

運 10


スキル

聖剣術Lv10 光魔法Lv10 体術Lv9 身体強化Lv7


称号

勇者 召喚されしもの


この調子なら魔物の駆逐は近いうちに終わりそうだ。あとは巨人が去るのを待つだけだ。




アーメル王国西の丘。

「なぜA級の魔物を送っているのに国を落とせないのだ!」

「落ち着いてください。ラギス様、勇者です。勇者が現れたことによって魔物が討伐されています。」

「勇者だと?それほど強いのか?勇者は。」

「はい。S級も何体かやられています。」

「そうか…仕方がない。宝玉を探す時に面倒になると思いこれだけはやりたくなかったが仕方がない。巨人を使え。」

「な、よ、よろしいのですか?」

「構わん。…ククク地獄を味わうがいい…」



「壁が塞がったぞー!」

「ほ、本当か?」

「やったぁ!」

「あとは残りの魔物を討伐するだけだな。」

「やっとか…良かった…」

「そうと決まったらのんびりしていられない。行こう!」

「うん。」


魔物の残りを探していると、S級のオークジェネラルに襲われているフードを被った、2人組を見つけた。

「天城くん。」

「…ああ。急いだ方がいいな。」

しかしその時目を疑う光景が飛び込んだ。

2人組のうちの一人の男が、オークジェネラルの心臓を素手で一突きしたのだ。その手には心臓が握られている。

「な!」

「す、すごい!あの冒険者。」

しかし次の瞬間その男はその心臓を口に入れたのだった。

「た、食べた?だって魔物の肉は…天城くん。」

「…ああ、恐らく魔族だろうね。相当な手練だ。慎重にいくよ。」



ユウ&ミーシェside

やばいなこれ!巨人のおかげで強い魔物が入ってくるから使えるスキル狩り放題だ。それにレベルも相当上がった。ステータス補正のおかげでステータスやばいことになってるw

「ユウ。あっちにも大きいのいるよ。」

「ああ。行くぞ。」

「うん。」

あれは確かA級のメイジゴーストだったかな?火属性魔法持ちだ。

「火属性魔法ゲットだな。」

メイジゴーストの胸に腕を一突き。心臓を掴む。気持ち悪い感覚だ。早く済ませよ…

かぷ…じゅる…

―――火属性魔法を獲得しました。

―――レベルが上がりました。

「どんどん行くぞ。」

「私ユウが食べてるの見てたらお腹減った〜お肉食べたい。」

「さっきオークのステーキ食ったろ…」

「でも減ったの!あ、オークジェネラルだよ!食べに行こ!」

「…まず倒してからな。」

「うん!」

オークジェネラルはS級の魔物だ。スキルに棍棒術がある。

「こいつ珍しいスキル持ってる。ぜひ心臓は食べておこう。」

「そうだね。」

「ブ、ブヒィィィィイ!!!!」

豚感丸出しの鳴き声してんじゃねえよ!

「身体強化。エンチャントブラックホール。」

身体強化で俊敏性を増し、ブラックホールを纏わせたナイフで素早く命を刈り取る。楽な仕事だ。俺アサシンになろうかな…

「ではでは、いただきます。」

最近俺サイコパスかも。胸を貫く感覚が気持ちよく感じる。

「こいつの心臓美味いなぁ。」

「それより早く焼こ!お腹減ったよ!」

「落ち着け。今、火出すから。」

「おい、お前らは魔族か?」

「動かないで!」

声を聞いた俺は頬の火傷が痛むのを感じた。

「…江ノ島…」



勇者side

俺達が問いただしても2人組は黙ったままだ。

「答える気はないのか?」

「これ以上黙っているなら魔族とみなします。あなたが今オークジェネラルの心臓を食べていたのを確認しました。大人しく降伏してください。」

「…」

「…やるぞ。江ノ島さん。」

「…うん。ファイアーバレット!」

江ノ島さんが数発の火球を繰り出す。

「…」

しかし男は何も言わずにそれを躱す。

「ちっ!ちょこまかと…シャイニングアロー!」

光属性魔法のシャイニングアローだ。

「…ダークウォール。」

それら全ては防がれてしまった。

…こいつ…強い。



ユウ&ミーシェside

なんで?!なんで勇者が来てんの?なんか攻撃してくるし!

火傷が痛え。ダメだ。殺さないと…

「ダメよユウ!殺してはダメ!ここだと目立っちゃう!」

「…ちっ、仕方ねえか…ブラックミスト。」

幻影魔法のブラックミストで、辺りを黒い霧が包む。

「行くぞ、ミーシェ…」

「うん。」

「な!くそっ!まてぇ!」

「…またな。天城、江ノ島。」

「な、なんで私たちの名前を!」



勇者side

霧が晴れるとそこに2人組の姿はなかった。

「くそ!逃した!」

「…うん。それよりも…」

「ああ…なぜ俺らの名前を知っていたのか…」

「それに女性の方はミーシェって呼ばれてた。」

「!…まさかあの二人は…」

「うん。多分神崎くん達を殺した犯人だと思う。」

「くそ!それを逃がしてしまったのか…俺たちは…くそ!」

「仕方ないよ。今は戻ろう?」

「ああ。そうだね。ごめん。」

ドゴーン!

「な、なんだ?!」

音は壁からだった。

壁の直したばかりの所が崩れている。

「そ、そんな!あそこにはまだ人が…」

言いかけた言葉は途切れてしまった。崩れた所から次々に巨人が入ってきたのだ。

「う、嘘だろ…?だって巨人は…入ってこないバズじゃ…」

「そんな…」

すると壁から大きな笑い声が聞こえた。

「ハハハハハハッ!人間どもよ。地獄を見るがいい。我は血の教団の幹部ラギスである!」

そう、地獄はまだ始まったばかりだったんだ。

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