33話 この国救わなきゃダメですか?
勇者side
「きゃあー!きょ、巨人がぁ!」
「助けてくれぇー!」
「いやぁー!」
「い、嫌だ…来るな!」
ここ、アーメル王国は地獄と化していた。
突如現れた血の教団という謎の組織によって。
30体を超える巨人が一斉に入り込んできたのである。
「だ、誰か…た、助けてくれぇー!」
「シャイニングアロー!」
男を襲っていた巨人は光の矢によって体勢を崩した。
「大丈夫ですか?」
「た、助かりました…」
「ここは任せて早く!」
「は、はい!」
「天城くん…住民の避難が遅れてる。」
「ああ…分かってる。今はこいつに集中しよう。援護頼む。」
「う、うん。」
SS級…正直勝てる気がしない。でもやるしかないんだ…
「くそっ!うおおおおぉ!」
「ファイアーバレット!」
身体強化で、ジャンプ力を高め、膝辺りに剣を当てることが出来た。
しかし…
キン!
手には痺れが残っている。
「な!こいつ…硬すぎる。」
「うん。私の魔法もきいてないみたい…」
「くそ…どうすれば…」
「天城ー!江ノ島さーん!」
突然聞き馴染みのある声が響いた。
「賢治…」
「由希ちゃん!」
「大丈夫か?こっちやべえから手伝って欲しいんだが…」
「…悪い。急いでいきたいんだが…どういう状況だ?」
「こっちは2体いる。他のところも結構きついらしい。」
「そうか…くそっ!どうすれば…」
「…みんな、攻撃が来る!」
「「ああ!」」「うん!」
ともあれきつい状況だな…
「小宮の所はなんとか巨人を抑え込めたらしい。俺達もやってみようぜ!」
「そうだな…囮は俺と賢治でやる。その隙に2人は魔法を打ち込んでくれ、早く終わらせよう。」
「うん!」
「行くぞ!ライトフォース!」
「行くぜぇ!うおおおおぉ!」
俺と賢治が相手の注意を引く。その間できるだけ足にダメージを入れる。ダメだ…硬すぎる…
でも…「今だ!」
「ファイアーバレット!」
「…エアバレット!」
民家の屋根の上に待機していた2人が巨人の目を狙って魔法を打ち込んだ。
「グガァァァア!」
「効いたか?」
「頼む…」
「グゴォォ!」
「ちっ!ダメか!」
「くそ!」
「…落ち着いて。もう1回行こう。」
「うん。」
「ライトニングソード!」
「行くぜ!イグナイトスマッシュ!」
聖剣術のライトニングソードと賢治のイグナイトスマッシュを巨人の足に叩き込んだ。
「頼む…少しはきいてくれ!」
「やった!」
ここで巨人が初めて足を折った。
「今だ!」
「フレイムアロー!」
「…ファイアーフォース!はあ!」
江ノ島さんが炎の矢を放ち、松山さんが炎を纏わせた剣で目を切り裂いた。
江ノ島さんの魔法が視界を奪い、松山さんの剣が、巨人の脳を捉えた。
ズーン!
「はぁ、はぁ…やった…」
「よっしゃあ!」
「良かった…」
「…みんな、急ごう。」
「そうだね。賢治、案内してくれ。」
「ああ、こっちだ!」
案内された所に行くとそこに人はいなかった。
ただ、3体の巨人が人の死体を奪い合うように食べていた。
クチャァ…ゴキッ、
「うっ…これは…」
「そんな…酷い。」
「くそ!俺達がもっと早く来ていれば…」
「…行くぞ!ライトフォース!」
「鳳凰拳!」
1体の巨人に集中していたため他の2体の攻撃への反応が遅れてしまった。
「危ない!賢治!」
「ちっ!…くそ!がは!」
「橘くん!」
「一旦引くぞ!」
「…ええ。」
「賢治…大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、はぁ、死ぬ…」
「待ってて、今回復するから。」
4人は巨人に見つからないよう、建物に隠れ、橘の回復に務めていた。奥では巨人がけたましい雄叫びをあげている。
「くそ!あんな化け物どうやって…」
「…そうね。かなり厳しい状況ね。」
グオオオオ!
ギャオオオ!
オオオオオ!
「…3体か…せめて1体なら何とかできるのに…」
しかし、3体の巨人の雄叫びに変化があった。
グオオ…
獲物を見つけた時の叫びだ。
「まずい、誰か見つかった!」
「…私たちではないみたいね。」
「住民の人かも…急がなきゃ!」
「賢治、お前は一旦置いていくぞ!」
「わ、わりぃ…」
ギャオ!ギ…
グァァア…
オ…オ…
「なに?!倒されただと?!」
「…誰が?」
「ふう…ひどい状況だな…こりゃ。」
そこにはさっき会った神崎たちを殺した犯人の2人組の男女がいた。
ユウ&ミーシェside
「ウィンドカッター。」
風属性の刃が巨人の心臓を的確に切り裂いた。
「SS級弱くね?」
「いい加減気づいたら…?ユウが強すぎるの!」
でもこんな簡単に倒せちゃう?
「ユウ、どんどん来るよ…」
「はい…よっと。」
ズーン…
「うぜえのは巨人ってなんもスキル持ってないんだな…心臓もでかいし…食わない方がいいな…」
「あそこに、3体。」
「OK。…やっぱり救わなきゃダメだよな…」
「そうだよ!きっとバトラーが言ってた反対する組織は血のなんたらだよ。だから邪魔しないと!」
「はいはい。」
そのままナイフに闇を纏わせ、首を落としていく。
「あと1体…と。」
オ…オ…
辺りは死肉が積み重なっており、血が飛び散っていた。
「ふう…ひどい状況だな…こりゃ。」
すると物陰から3人の人間が出てきた。
「…ちっ!」
面倒なことになったな…
出てきたのは天城、江ノ島、松山の勇者の3人だった。
勇者side
「さっきの魔族だな?ここで何をしている。」
「それに女性の方…ダークエルフのミーシェね。あなたを指名手配しています。大人しく着いてきてください。」
「…ハハッ。随分と余裕なんだなぁ?…後ろ、見てみろよ。」
「後ろだと!」
「こ、これは…天城くん…」
「…そんな…」
「俺の前にまずそいつらをどうにかしたらどうだ?」
そこには10体近い巨人がいた。
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