5話 決闘(2回目)

それからしばらく、俺は昼間はメイギスさんの訓練を受け、夕方に、使用人としての仕事をセバスさんに教えてもらい、夜にセバスさんに戦い方を教えて貰っていた。クラスメイトもメイギスさんの訓練と、自主練を繰り返していた。そんなある日。俺たちはメイギスさんに呼び出され、城の門の前に集まっていた。

「よーし、全員揃ったなー。今日から実践訓練にはいる。」

「実践訓練ですか?」

「ああ。そうだ。今から少数のグループを作って、近くにモンスターの住処があるからそこに潜ってもらう。グループは4、5人にしてくれ。」

「分かりました。」

まじかグループかよ…。ボッチの俺の事も考えてくれよな。

そんなこと言っているうちに、次々にメンバーが決まっていった。

すると、

「優くん一緒に組まない?」

「なっ…江ノ島さん…。俺でいいの?」

「もちろん!それに優くんだけじゃないよ?」

「…よろしく。」

隣には髪型はショートカットの少女がいた。

「よ、よろしく、松山さん。」

彼女の名前は松山由希。なっちゃんと良くいる。いわば親友だ。

「これで3人だけどあと一人欲しいよね…。」

「そうだね…」

周りを見ると皆男女二人ずつのグループに分かれていた。

「どうやら3人余ったみたい。すいませーん、3人でもいいですか?」

「ん?余ったのか仕方ない、そうしてくれ。」

「はい。」

こうして3人で行くことに決まったと思ったが、邪魔が入った。

天城たちのグループだ。

「ちょっとまってくれ俺達も3人なんだ。良かったら一緒に組まないか?江ノ島さん。松山さん。」

「わ、私たちは優くんと…」

「どうしてだい?僕達と組んだ方が訓練になるよ?それに、藤山くんには二人は任せておけない。いざと言う時どうするんだい?」

「それは…私たちが優くんを守るから。」

「そういう事じゃない!二人が危険だろう?2人は僕達のグループに入るといい。」

「優くんは?優くんはどうなるの?」

「それは…彼に聞きなよ。」

なんとも勝手な話である。だが反論することが出来ない。何故なら彼の言った通りだからだ。俺と組むよりは安全性も効率も何倍も上がるだろう。

「…菜々が決めたことだから。勝手にそっちが決めないで。」

「松山さん…」

「由希ちゃん…」

「なっ、どうしてだい?こんな無能より僕達の方が断然いいだろう?」

「…無能っていうのはそっちの勝手な解釈。きっと私たちを守ってくれるはず。」

「そ、そうだよ!優くん強いもん!」

「そう言うからには覚悟は出来ているな?藤山。」

言ったの俺じゃねえw

「俺と決闘しろ!藤山優!」

「…えっ、嫌だけど?」

「は?」

「は?」

「いや、決闘…」

「だから嫌だけど?」

「さっきの会話聞いてたか?」

「聞いてたさ。勝手に話がどんどん進んでたみたいだけどな。」

「いいから俺と決闘しろ!」

「えー。勝てないよー。」

「優くん流石に流れ的に…ねぇ?」

「…藤山くん。」

「ど、どうしたの?松山さん?」

「…行ってきなさい!」

ドゴーン!城の門をぶん殴った。

「は、はい!」

こうして松山さんの快い説得またの名を脅迫を受け、決闘を受けることになった。



場所は町を出たところの、小さな丘の上だった。

「早めに終わらせろよ、二人とも。時間が無いんだ。」

「分かってますよ。メイギスさん。一瞬で終わらせます。」

えーん。怖いよー。なんでこんなことに。

「勝負は1度きり。あいての武器を使えなくするか、気絶させた方が勝ちだ。」

えーん。怖いよー。なんでこんなことに。

「勝負は1度きり。あいての武器を使えなくするか、気絶させた方が勝ちだ。」

2人は剣を構える。

「始め!」

「悪いな藤山!江ノ島さんたちは僕達がもらう!」

「うおー(棒)」

2人の剣が交わる。と思ったが交わる前に俺は剣を掴み、自分の方へと寄せた。そのまま天城の剣に膝蹴りを入れる。

ボキッ!

そんな音を立てて天城の木刀は折れてしまった。

「なっ!」

「俺の勝ちでいいよな?」

「そこまで!勝者藤山優!」

「やったー!優くん!」

「ああ、ありがとう。なっちゃん。それに松山さん。」

「…私は別に…まぁ、おめでとう。」

「待ってくれ!もう1回だ!きっとズルしたに決まってる!じゃなきゃこんなこと…

「そうだそうだ!」

「ズルしたんだ!」

「卑怯だぞ!」

は?何言ってんの?

「俺はなにもずるなんてしてないぞ?」

「でたらめに決まってる!とにかくもう1回だ!」

「いい加減にしろ、光佑。今のは藤山の戦略勝ちだ。」

「そんなわけ…」

「ルールでは武器を使えなくした方も勝ちになるからな。」

「…くそっ!」

こうして3人で組むことが決まった。

やれやれ2回目の決闘。地味だが勝つことが出来てよかった。

満更でもない様子で二人の元へ戻っていった。

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