19話 宝玉とミーシェの実力
―――ロキア帝国裏門―――
「そういえばお前昨日の記憶ってあるか?」
「それが気づいたら家の布団で寝てたんだよな…」
「そうか…実は俺も同じだ。」
「へぇー…不思議なこともあるもんだなぁー。」
そんな兵士達の会話をユウとミーシェは近くの茂みで聞いていた。
「そろそろやるか。」
「…そうね…。」
「何も心配することは無い。きっと上手くいく。手筈どおり頼むぞ。」
「うん。」
「今だ。」
その号令と共にユウは潜伏スキルで兵士たちにバレないように近づく。
「スリープ」
「ふにゃあ…」
「どうした!ってこれ確か昨日も…ふにゃあ…」
「急ごう。」
「うん。」
昨日のルートを使いユウ達は城の地下まで順調にたどり着くことが出来た。
「やっぱり警備の数が多いな…じゃあまずは俺が切り込むから。その隙に宝玉を頼む。」
「うん。任せて。」
「まずは結界からだな…ダークネビュラ。」
ブラックホール同様闇属性魔法の上位魔法だ。この魔法はダークボールの上位互換で、能力は単純な破壊だ。その魔法を結界に向けて放つ。
「ん?なんだあの黒い玉は?」
「どうした?」
「いや…なにか黒い玉が…うっ、うわぁー!!」
「落ち着け!結界魔法がある限りここは大丈夫だ!」
バリンィィン!
そんな音を立てて結界が破れてしまう。
「そ、そんな…結界魔法が…」
「隊長!誰かが突っ込んできます!」
「取り押さえろぉ!」
「ファイアーボール!」
「ウィンドカッター!」
二人の兵士が魔法を放ってくる。
「ダークウォール。」
ユウはその魔法を難なく防ぎ二人の二人の後ろに回り込み首をはねた。不思議と殺人に対する抵抗はなかった。
(ははは…俺は本当に人間じゃ無くなっちまったんだな…)
「くそ!ウォーター…」
「いや、遅すぎ。」
そのまま流れるようなナイフさばきで兵士たちの首を切りつけていく。
「増援を呼べ!団長にも伝えるんだ!」
「は!分かりました!」
「いかせるかよ!」
切りつけようとしたが邪魔が入った。
「確か隊長さんだよな?あんたが相手してくれんのか?」
「…少しはやるようだが簡単に倒せると思っ…ヒュ!」
「喋りすぎだよ…」
「た、隊長!」
「ば、化け物だ…」
「し、死にたくねぇ…」
「ユウ!宝玉は手に入れたわ!」
「こっちも片付く。…ダークネビュラ。」
「「「ぐわぁ!」」」
「よし、ずらかるぞ!」
「うん。」
宝玉を手に入れた優たちは出口に向かって駆け出した。
「あなた達ですか?侵入者というのは?」
そんな声とともに炎の玉が飛んできた。
「おっと…」
「ふむ…完全に不意打ちのつもりでしたが…やりますね。」
「あんたは誰だ?」
「失礼。私はこのロキア帝国騎士団の団長、アランというものです。宝玉を返して頂けますか?」
「そう言われて素直に返すわけねぇだろ?」
「ふむ…仕方ありませんね…あなた達、やってしまいなさい。」
そう言うと20人程の兵士が一斉にかかってきた。
「ユウ!」
「心配するな…ダークホール。」
床に大きな黒い穴が空き次々と兵士たちを飲み込んでいく。
「や、闇属性…まさかあなた達は…魔族ですか?」
「なんだと思ってたんだよ…?」
「く!仕方ありませんね。私が相手をしてあげましょう。」
「面白れぇ、こいよ。」
「はぁ!」
さすが団長なだけあって隙がない。
それをナイフで器用に弾いていく。
「あんた強いな。」
「まだまだ行きますよ!ファイアーフォース!…はぁ!」
「おっと…あぶねえ…」
「ちっ!…ちょこまかと…おりゃぁ!」
「口調変わってんじゃねえか!」
「うるせえ!死ね!」
「ダークフォース。」
ギン!激しい音を立ててて剣とナイフが衝突する。しかし、決着は早めに着いた。
アランの剣をかわしそのまま胸に一突き。そのままナイフに魔力を込めた。
「が、がぁ…や、やめ…」
「…ダークネビュラ」
「くっ、クソがぁ!」
「…あばよ…」
そのままダークネビュラがアランの体内で爆発する。
辺りにはアランのちが飛び散った。
「そ、そんな…団長が…急いで国王陛下に伝えるんだ。」
「行かせると思うか?」
暗殺術の殺気を使った。
「あ、ああ…」
「くそ…動けない。」
「…ダークホール」
「ぎゃあああ!」
「帰るぞ。ミーシェ。」
「うん。」
この日、最強と謳われたロキア帝国騎士団が二人の魔族によってほぼ壊滅されたことは一夜のうちに帝国中に知れ渡った。
「俺は顔を見られたからな…一度森に戻るか。」
「でも出口は検問されてるはず…」
「ファルコンの杖があるだろ?」
「…え?まさかまた飛ぶの?」
「それ以外に何があるんだよ?…よっと…」
「まって!まだ心の準備が…ていうか当たり前のように抱っこしないで!…うう…」
「つべこべうるさーい。行くぞ。」
「ちょ、嘘!い、いやああああー!」
優たちはロキア帝国北部の森に戻ってきた。
「作戦成功だな…とっととぶっ壊すとするか。」
「そうね…」
「…お前がやるか?」
「うん…」
「てかこれ叩きつければ壊れんのか?」
「違うわ。膨大な魔力を流し込むの。魔力には自信がある。任せておいて。」
「ああ、頼んだぞ。」
「…ええ。…今助けるよ…お姉ちゃん。」
そう言ってミーシェは魔力を込め始めた。
「おお…すげぇ魔力だな…」
「あと…少し…」
バキン!
ついに宝玉が壊れた。
「ふう…」
「何とか壊せたな…」
「今なにかスキルを獲得したわ。」
「そうか?…てか俺ミーシェのステータス見たことないんだけど…」
「あれ?見せてなかったっけ?いいよ見せてあげる。」
ミーシェ
ダークエルフ
女
Lv120
HP 12000000
MP ∞
攻撃 700000
防御 600000
俊敏 900000
魔防 600000
運 30
スキル
回復魔法Lv10 結界魔法Lv10 生活魔法Lv10
大罪スキル 怠惰
称号
最後のダークエルフ 復讐神 魔神に愛されしもの
「こんな感じ。」
「チートじゃねえか!」
「ユウに言われたくない…」
「それに色々と突っ込みたいところがあるんだが…」
「いいよ、聞いて。」
「まずダークエルフってなんだ?お前神様じゃないのか?」
「…神様って言うのは最初から神様って言うわけじゃないのよ?私は元々ダークエルフで、お姉ちゃんが封印されてから強い憎しみを抱いて…それで復讐神になったの…。」
「そういうもんなのか…この生活魔法ってのは?」
「生活魔法は家事みたいなものね。料理とか掃除とか。戦いには使えないわ。」
「でも旅をする上でこれってすごいありがたいな。」
「うん。料理とかは任せといて。」
「この大罪スキルってのは?」
「これがさっき手に入れたスキル。多分宝玉を壊したから手に入れたんだと思う。さっきの宝玉は七大魔王の怠惰、ヴェルフェゴールが封印したものだと思う。」
「つまり宝玉を破壊すれば大罪スキルが手に入るってことか…いいこと聞いたな。じゃあピルーク目指しながら宝玉壊していけば復讐しやすくなるな。」
「そういうこと。…あと6つだね。」
「ああ」
「次はどこにする―――ユウ?」
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