30話 バトラーの話とA+級との戦闘
「おい、バトラー。」
「はい。なんでございましょう?」
「なんでついてきてるんだ?」
アーメルを目指すユウ達は何故かバトラーと共に行動していた。
「私もアーメルに用事があるのです。」
「ほう。で?その用事とは?」
「そんなもの決まっているではありませんか!宝玉を壊しに行くのです!」
やっぱりかー…
「なあ、宝玉の事は俺たちに任せてくれないか?」
「な!何故ですか!」
「だってお前らが失敗したせいで、最近城の警備が厚くなってるらしいんだよ。それでまた失敗されたらめんどくさいじゃん?」
「で、ですが…」
「それに宝玉を集めに来るのは勇者だ。俺は勇者に因縁があんだよ。」
「しかし…」
「バトラー。」
「ミーシェ様。」
「私からもお願い。バトラーは魔神軍を集めて戦える準備をしておいて。」
「分かりました。ミーシェ様に迷惑をかける訳には行きませんな。」
「じゃあバトラーとはここでお別れだな。」
「いえ、アーメルに身を潜めている魔神軍の鍛冶師がいるのです。声をかけようと思っているので私もついて行きます。」
「そうか。あまり目立たないようにしろよ?」
「はい。迷惑はかけません。」
こうしてアーメルまではバトラーと共に向かうことになった。
「ねえ、バトラー?」
「は、なんでございましょう。」
「今魔神軍はどれくらい集まっているの?」
「ただいま、1万程度です。」
「1万か…まだ少ないな。」
「はい。前までの魔神軍は何億もの勢力がありました。」
「億?だってミーシェの姉さんは戦おうとしなかったんだろ?なんでそんな集めたんだよ?」
「違うのユウ。魔神軍の殆どはお姉ちゃんのファンクラブ。お姉ちゃん昔からモテたから…」
「は?なんだそりゃ?」
え?魔神軍って魔神のファンクラブだったの?みんな自称魔神軍だったってことか。アホらし!
「ですが今は…魔神軍に反対する勢力が現れたのです。」
「反対する勢力?」
「はい。その者達も宝玉を集めております。」
「集めてるのか?反対してんのに?」
「はい。宝玉は壊さずにその身に取り込むとステータスや、魔力を大幅にあげることが出来るのです。おそらくそれが目的でしょう。」
「てことはこれからはそいつらとも戦ってかなきゃいけないってことか…」
「そうです。」
なんかややこしいことになってきたな…
「ねえユウ〜お腹減った〜。」
「お、おう、そうだなそろそろ休むとするか。」
「私ご飯作るね。」
「ああ、頼む。」
「あの、私はどうすれば…」
「え?ああ、適当にくつろいでていいぞ。」
「ですが執事たるものそういう訳にはございません。」
「えー…そう言われても…ミーシェの手伝いでもしてくれば?」
「いえ、ミーシェ様は料理の邪魔をすると怒るのです。」
「あー…そう言えばそうだったな…じゃあ一緒に魔物でも倒しに行こうぜ。」
「はい。分かりました。」
「おい、バトラー。左行ったぞ。」
「はい。せあっ!」
「15体目か…結構やったな。」
「ですね。」
ユウとバトラーは森の奥に進み、食料になる、オークを討伐していた。
「そろそろ引き上げるか。」
「はい。そうです…」
ブモォォォォ!
「な、なんだなんだ!」
「この鳴き声は…」
目の前に現れたのは体長20メートルを超えた、オークだった。
「なんだこいつは?」
「オークキングです!討伐ランクA+の魔物です!」
「ふーんA+ねぇ…」
「避難しましょう!ユウ様!」
「え?お前こいつより弱いの?」
「当たり前です!A+の魔物を倒せるのは魔族でも少ないですよ!」
え?こいつそんな強いの?
「…試しに戦ってみる。」
「き、危険です!」
「まあ見とけって。」
「は、はい。」
「エンチャントウィンド。」
俺はドラゴンキラーに風を纏わせる。
「ブモォォォォ!」
「おっと…」
あのでけえ棍棒が厄介だな…
「よっと!」
スパン!
棍棒は簡単に切れてしまった。
「え?」
「う、うそぉ?」
バトラーがうそぉとか言ってるw…しゃなくて!え?簡単に切れちまったぞ?!
「ブ、ブモォ…」
あーあ…オークが落ち込んじゃったよ。
「ブモォォォォ!!!」
ブチ切れたー!
「ストーム!」
オークキングの巨体が空に浮いた。
ここで剣術スキルの五月雨切りをおみまいする。
「プゴォォ!」
「さすがA+。まだ生きてるか。」
懐からナイフを取り出し、空中でキャッチする。
「終わりだ。」
ザン!
「ブ、ゴ…」
「さーて。ミーシェへのお土産が出来たな…バトラー?」
バトラーはその場に立ち尽くしていた。
「どうしたんだ?」
「い、いえ。まさかここまで強いとは…」
「今更何言ってんだ…ステータス見せただろ?」
「ですが目の前でオークキングに圧勝したとなるとやはり驚きます…」
「そ、そうか。」
マジでこいつそんな強いの?
「帰ろうぜ。」
「は、はい。」
「あー!いたー!もうっ!どこ行ってたの!」
「悪い悪い。ちょっと魔物討伐してた。お土産あるぞ。」
「わぁー。美味しそーう。」
「食材に使ってくれ。」
「ミ、ミーシェ様…オークキングですよ?驚かないのですか?」
「ん?別に。もう慣れてるし。」
「は、はあ…」
「ささ!食べよ!ご飯できてるよ。」
「おお…美味そうだな。」
「ふふーん。自信作!」
テーブルの上にはマンドレイクのスープとミノタウロスのステーキ、パン、サラダが並べてあった。
「いただきます。」
「ではミーシェ様。いただきます。」
「どーぞ!」
「うん、うん!美味い!流石だなミーシェ。」
「美味しいです。ミーシェ様。」
「へへ…良かったぁ。ユウ、はい、あーん。」
「えーい!やめろ!」
「なんでよ〜1回だけだから〜。」
「む、むー…」
「おねがーい…」
上目遣い卑怯だ!
「わかった、わかったから!上目遣い辞めてくれ…」
「わぁ…」
「…1回だけだぞ…」
「うん!あーん。」
「あーん。」
するとミーシェはフォークをさげ、自分で食べる。
「んふふ…」
「て、てめぇ…」
「えへへ…引っかかった〜。…じょ、冗談だから!い、いたい!ほっぺ引っ張んないで〜」
「…あの、ユウ様?ミーシェ様?」
「「ん?」」
「いえ、違ったら申し訳ないのですが…お二人はお付き合いしてらっしゃるのですか?」
「「え?」」
「…」
「し、してないしてない。…ミーシェもなんか言えよ…」
「う、うん!してないよー?…まだ。」
「そ、そうですか…」
なんか最後言った気がしたけど誤解を生まなくてよかった。
「ごちそうさま。」
「大変美味しかったです。ミーシェ様。」
「ふふふ…よかった。」
「あ、バトラー。この毛布使って?」
「で、ですがそうしたらミーシェ様のが…」
「いいの!私はユウと一緒に寝るから!」
「…ユウ様お二人は本当に…「付き合ってないから!おやすみ!」」
俺は強引に話を終わらせ布団に潜った
とんだ爆弾娘だな…こいつは。
そう言って寝言を言いながら俺に抱きついているミーシェの頭を撫で、俺は眠りについた。
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