スーパーマリオワールドと私


 それを覚えてる。決して忘れたりしない。


 ※以下、2019年8月くらいに書きかけてたことだと思うので、昨今の情勢と少し噛み合わないが、ご勘弁ください。


 最近良く飲んだり遊んだりする人間がいるが、この人とどうやって「良く飲んだり遊んだり」するようになったのかが全く思い出せないことに気づいた。たぶん1年半から2年前くらいに"なんか"で知り合って、そんで焼き鳥屋に飲みに行っている。この焼き鳥屋以降はLINEで繋がってて、でLINEを遡ると(そういえばLINEのトーク履歴を遡る最も簡単な方法を皆さんにお教えすると、まず右上のメニューから、「トークを検索」みたいなやつを選択する。そうすると、キーボードのあたりにカレンダーマークが出てくるので、それをタップすると会話の日付が指定できる。一番古いところを選択すると最初の会話がわかる)、初回からもうなんか「最近ダイエットがどうこう」みたいな、"さっきの話の続き"みたいになってて、「よろしく」とかそういうやつがない。だからこの時点である程度親しくなっているはずなのだが、その「ある程度親しくなるまで」が思い出せない。こわ。良く考えると怖くねえかこの話? 凄腕のスパイだった場合もう全ての機密は漏れていると考えた方が良いですね。


 それとは別件で約束のネバーランドの脱出ゲームをやってきた。最初の説明のとこで、脱出ゲーム10回以上やってるぞ、という方~と聞かれて、10回はやってねえよなあ、と思ったが、後で思い出してみると、

 1.コナンの摩天楼のやつ

 2.眠れる森の姫みたいなやつ

 3.進撃の巨人

 4.ドラえもん

 5.終わらない学級会

6.時々警備員が見回りに来る

 7.時空研究所

 8.パズルルーム初代

 9.ルパン(リアル潜入ゲーム)

 10.遊戯王(LINEでやるやつ)

 全然10回はあった。確実に10回あるというか。これに今パッと思い出せないやつ、謎検1~3回、リアル脱出ゲームTV、あと手帳とか本とかを加えると、まあもっとやってる。特にコナンから進撃の巨人の間は結構怪しくて、この時期我々の中での最盛期なので、他のに行っている可能性はとても高い。


 というように、人間の記憶は曖昧なものである。歳を重ねるともちろんそうだが、単純に人間のシステムとしてそう。特にいわゆるエピソード記憶というやつは容易に改変される。この辺はなんか、幼児に虐待の記憶を刷り込み可能だよとか、幼児の事情聴取は慎重にしないといけないよとか、そういうことからも分かるし、別に大人も改変する。前も書いた気がするけど、30代くらいの時に「もうマジあの夫誰か殺してくんねえかな」くらい言ってた女性に60代になってから再インタビューしたら、「結婚以来ずっと助け合ってやってきました」みたいなことを言うみたいな話があって、でもさあ、これは俺は美しいと思いたいね。


 俺たちは俺たちの物語を書きながら生きているのだ。

 何せ物語だから、自分に都合のいいようにとか、喋りやすいように改変することもある。それはもうしょうがない。つかそういうセラピーあるし。


 俺も自分で自分の過去を改変してるんだろうなあ、もう改変しちゃってるから思い出せないけど、と思う。


 まあその、エピソード記憶はずっとエピソード記憶にしておけないというか、つまり五感が共同した鮮烈な体験として保持し続けるのは人間の性能上ムリなんだろうと思う。でじゃあどうするかというと、多くの場合は言葉でこう……概念化するというか、圧縮するというか、丸めるというか、なんかそういう感じで、形を変えてそこに残す。そういうことでやっていっている。


 もちろん、いつまでたっても鮮烈な体験(そう思い込んでいるだけかもしれないけれど)というものもある。俺にもまあ、何個かはある。その一つがスーパーマリオワールド、チーズブリッジの隠しゴールの存在と、スペシャルゾーン「おたのしみワールド2」である。


 チーズブリッジ隠しゴールは本当に本当に最後の最後までわかんなくて、スターロードはまあ行くじゃあないですか。で、「ああなるほど、いずれここに辿り着けばショートカットになるんだな」というのがわかる。ところがクリアしても、なんならスペシャルゾーンを超えて世界が姿を変えてもなお、「どこにもたどり着かないスター」がある。赤マップがあるから、まあここにゴールがあるんだろうが、二つ目のゴールがぜんぜんわからない。これの解法は、今となっては「よくある」手法の一つだと思うが、当時の感覚では衝撃だったな。それこそ脱出ゲームで言うところの大謎クラスの衝撃はあった。そんでまあそのあとのソーダの湖がわりとムズいのよ。別にそこクリアしたからなんかがあると言うわけではなかったが、マリオワールドはなんか三つセーブができて、そんで一番上が俺、二番目が次男、でやってたんだけど、これまでずーーーっと94だった数字がある日俺んとこだけ96になるわけよ。まあ聞かれますわな。教えませんよね。この優越感たるや! いやー懐かしいですね。これは本当に良く覚えてるし、ニンテンドースイッチオンライン会員になって、やっぱ義務だよなと思って96ステージクリアもしたよ。面白かった。

 「おたのしみワールド2」はムズかったよね。何がおたのしみだ? 回避方法もなかったと思う。マリオ3におけるP羽的なやつね。マリオワールドでも青ヨッシーという半チート的方法があるにはあるが、おたのしみワールド2ではこれも通用しなかったと思う。とにかくムズかった〜。と思うのだが、体が覚えているのか、それとも成長したのか、巻き戻し機能を使うまでもなく、何回か死んだらクリアできて驚いた。


 これはもうとっくに前世紀の話なわけだが、なんなら「ミレニアム」って既に結構太古の昔なわけだが、どうにもこうにもこればっかは忘れられそうにない。なんならもっと先の、もっと大事なことは忘れて行ってもこれだけは覚えている気さえする。いつか自分がぼやけていって、訳が分からなくなって、そうした時最後に話すのはこの話な気がする。おい、ニイちゃん知ってるか。ゲームとかやんのか。そうか。チーズブリッジってあんだろ。……耳を貸せ。いいか、あそこにはな…………を……………て……………………………で、………………んだよ、やってみろ。騙されたと思って、な。


 そして満足げに微笑みながら死ぬ。それはそれで(聞かされる方は迷惑かもしらんが)アリだなと思う。皆さんの鮮烈なやつはなんですか。何か思い出したら教えてください。


その後気づいたこと:

https://kakuyomu.jp/users/GJMMTG/news/1177354054917168803

 

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