マリオペイントと私
うーほほっほやっほっほっほ
うーほほっほやっほっほっほ
まーりおぺいん、とぉ!
というのはどういうゲームかというと、ゲームというよりはアプリケーションに近く、コントローラでなくマウスで操作するゲームソフトである。基本はペイントだが、ちょっとしたアニメーションも作れるのと、ちょっとした楽曲も作れるのと、ハエ叩きができるのがウリである。多分そこはウリではないね。でもみんな叩いたよね。
このソフトはなんで入手したかよく覚えてない。もしかすると、知育玩具というか、子の才能を開花せしめんとして親の方で持って来たのかもしんない。今で言うNintendo laboみたいな感じで。
で子の方はと言うと、基本的には才能を開花させず、もっぱらスタート画面のRをクリックしてロケットのようにRを射出させたり(なんかそういうイースターエッグがあった)、あとはもうハエを叩いたり、まあちょっと耳コピで曲作ったりくらいはしたかな? でもそんなもんで、芸術的な才は一向に開花しなかった。
だからなのかなんなのか、マリオペイントのビデオ攻略本と言おうか、攻略でもなけりゃあ本でもないのだが、とにかく「マリオペイントではこんなことが出来るヨ!」というビデオが導入され、俺たちはそれを見ることになった。これが結構面白い。
芸術とはなんであるか、というと最初は確実に模倣で、そんで、できたら技術体系も教われるといいなぁって思う。まあこの辺りは論争があるところらしくて、技術体系を推しすぎると天才が萎縮するとかさ、そういうのもあるんだろうなぁと思うんだけど、凡夫は絶対テクから入った方が良いと思う。俺は美術で2を取ったことがある男(体育ですら取ったことないぞ)だが、一点透視図法は楽しかった。ハーン! って思った。これは純然たる技法で、情緒の介在する余地があんまないからである。情緒を求められると俺は弱い。じゃあなんで小説とか書いてるのかと言われると困るので聞かないでくれ。てかないでしょ、俺の話に情緒。
エニウェイ、このビデオは楽しかった。一つ例を挙げると、今で言うところの「ブラシ自作」みたいなことになるのか分からんが、自分でスタンプが作れる。で、そのスタンプに、敢えてちょっと白抜きを入れたティアドロップみたいなのを作る。でこれをスススイーっと動かすと、まるで筆で書いたかのような「かすれ」感が出る。グッド。楽しい。ついでに落款みたいなのも作ってみたりして。
あと、4コマくらいのアニメーションを作って、でそれをドラッグして動かす機能があるんだけども、それもまあせいぜいプリセットのマリオを動かすくらいだったのが、なんかボールのスタンプがあって、これの色を変えながらふよふよーんと動かすと、不思議な雰囲気のサムシングが出来て、それの真似っことかもした。ノコノコとかの「色」だけを見て、それを使って絵を描くと、印象派っぽい絵が描けるみたいなのもあって、これも面白かった。結果、俺たち兄弟はまんまとマリオペイントで遊ぶようになった。もちろんハエ叩きの攻略もあった。いいビデオだったなーと思う。
惜しむらくは、それで遊んでもそこで終わりになって、俺たちの芸術的センスが開花しなかったことであろうか。でもこれはマリオペイントが悪いんではなく、俺らに素養が無かったのが悪いと思う。マリオペイントを介して今神絵師と呼ばれてます、みたいな人の話を聞いてみたいところである。
いずれにせよ、凡夫にはまずテクを与える。それがスタートだ。そこから先、どうすれば自発的なアイデアを生み出せるかは分からないが、テクでスタート地点には立てる。そっから歩み出すかはその人次第。そういう考え方は結構大事なことなのかなと、今になって俺はそう思っている。
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