マリオのスーパーピクロスと私
まず「ピクロス」というのは皆さんご存じですか? 今日マリオのスーパーピクロスと同年齢の若者と話したら知らなかったので一応説明しておくと、まあ一番簡単に言えばパズルゲームである。
n×nの正方形があり、その正方形の左側と上側に数値が書かれている。左側の数値と上側の数値のどちらも・すべて満たすようにマスを塗りつぶす。たいていの場合は、わかりやすい絵が出てきて、「正解は豚でした」みたいになる。
で、このゲーム、通常は論理的に「絶対に埋まる」ところから埋めていくと完成するようになっている。そらそうだ。そうじゃあなければパズルゲームとして成立しない。ところが、論理的には正解が絶対に導きだせない場合がある。
たとえば一番シンプルなのはこれだ。
11
1□□
1□□
この図が意味するのは、2×2の正方形のうち、どの行・どの列にも「1つずつ」塗りつぶすマスがある、ということである。この条件を満たす組み合わせが2通りあるのはわかるだろうか。すなわち、
11
1■□
1□■
および、
11
1□■
1■□
の2通りである。どっちでも、「正しく」塗ったことになっているのはわかるだろうか。通常のパズルゲームでこういう場合が出てくると、「回答不能」ということになって、この問題はリジェクトされる。
で、当然のことながら、天下の任天堂が出したゲームであるから、マリオのスーパーピクロスは基本的に論理的に解答が可能である。時間制限があって、間違ったマスを塗ってしまうと、オヨヨヨヨ……とか言われて、時間にペナルティがかかる。一方で、そうやって塗ると「間違った」ということはわかるので、まあ、トライ&エラーで記録すれば、最悪頭を使わなくても回答することが可能でもある。
ところがこのマリオのスーパーピクロスには別のモードがあって、それをワリオのスーパーピクロスという。ワリオのスーパーピクロスは、時間制限がなく、間違ったマスを塗ってもなんらペナルティがない。というわけで、単純なトライ&エラーを否定している。そこまではいい。「ここが埋まれば楽なんだけどナ~」というマスを、時間が減ってしまってもいいから塗ってみることによって、ペナルティがあるかないかで正解か否かを判別する、というイージーなやり方で問題を解こうとする甘えを咎めているということだから、まあ、純粋にピクロスを楽しんでくれなという意図と解することもできる。
これがさあ。最終的に、「単純な論理では絶対にどっちが正解かわからないマス」が複数存在するパズルを解かせて来るんですよ。マジなんだって。ただこれがめちゃくちゃ面白い。
このゲームには、「? MODE」というのがある。簡単に言うと、「仮塗り」ができますよというモードだ。ワリオのスーパーピクロスにはペナルティがないんだから、「仮塗り」なんて必要なかろうって思うかもしれないが、だから、つまり、これは、「仮塗り」をしないと絶対解けない問題がある、ということなのだ。
上に示したような「不確定配置」が問題内に含まれるわけだ。しかし、最終的には20×20のマスで構成されるので、局所的には論理破綻が起こっていても、ある配置を「仮塗り」でやっていくと、全体としてはどこかで矛盾が発生する。そんで、配置Aで開始して論理的に塗っていったところ、矛盾が発生したのだから、配置Aは誤りという理屈で、配置Bが正しいことを確定させないと解けないみたいな問題がある。
これすごくないですか?
最後のほうなんか、仮組した配置Aでスタートしたのが、ある時点でまた論理的に正解が導き出せない配置になってしまうので、配置A-A、A-B、みたいなのを試さないと解けない問題が出てくる。告白するが、26年前、俺はこのゲームを相当長時間やったのであるが、ワリオのスーパーピクロスは全問解けてない。クリアをしていないのだ。
ただそのー、記憶の中の話なのでね。昔のほうが賢かった要素は確実にあるが(記憶力とかは圧倒的に昔のほうがあったが、論理性はどうだったか)、今は今で多少成長はしている。実際やってみたらヌルゲーになるかもしれん。というわけで、ニンテンドースイッチで配信されたマリオのスーパーピクロスをやっております。やるっきゃないっショ!
ただそのー、レベル1からやらなきゃあいけないんですね。当たり前だけど。まだ全然作業です。ヌルゲー。今、「マリオ」はレベル1をクリアして、「ワリオ」はレベル2までクリアしたところ。クリアしたらまた報告しますね。「とっくにクリアしたが?」「ヌルゲーだが?」とかのマウントをお待ちしています。
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