かまいたちの夜と私
実はいわゆるノベルゲームをちゃんとプレイしたことがない。『街〜運命の交差点〜』はめちゃくちゃやったが、アレはPlayStationだし、なんかもう「面白かった」しか覚えてない。これすごいなよく考えると……。推理してなんやかんやとか、あったかもしんないけど覚えてない。ピュアな「面白かった」だけが残ってる。なんつうゲームだ。またやりたい。
スーパーファミコンにもノベルゲームはあって、『かまいたちの夜』とか『弟切草』は結構コアな人気があったと思う。ただ、少年雅島は、ホラーが大の苦手であった。どんくらい苦手かと言うと、「注文の多い料理店」がダメで、本棚に置いてあるだけで怖いので祖母宅に引き取ってもらうくらいダメだった。ちょっと我ながらかわいいな。前にどっかで書いたが、コミックボンボンかコロコロコミックで読んだ時を止める話も怖かった。いまだに覚えてるもんな……(「時よ止まれ」って言ったらホントに時が遅くなっていき、最初は喜んでるが、そのうち不便になるんで「時よ戻れ!」と言うが戻らず、焦ってると、なんか時の王子みたいなやつが来て、「キミが最初に『時よ止まれ』と言ったあの時間に『時よ戻れ』と言ったら時が戻るよ」って教えてくれて、あーなんだ良かったと思うが、今の主観的時間経過から換算すると、1秒が1時間くらいにまで引き延ばされており、約12時間後は43万時間、1800日後になるみたいな話。もう一回読みたい。最後に「5年間の1日なんて……」みたいに落ち込むシーンで終わる)。
というわけで、スーパーファミコンのノベルゲームは全然やってないが、しかしながら『かまいたちの夜』だけは、ちょっとだけ覚えていることがある。覚えていることは話しておくと"物語"になり、どこかに閉じ込められたときに救いになることがある。例えば家に一か月籠って人に会うなと言われたときとかに。だから話しておくことにしようと思う。
あれは大学に入ったばかりのことである。高校生の時分から交際していた女性がいたが、別の学部に行ったせいとか、まあなんかこう、諸々のことがあってわりとアッサリ破局した。
で、それ自体に別にたいした感慨はないのだが、その頃「びっくりフラッシュ」を筆頭としたホラー的なものをみんなでやるみたいなブームが来てた。
しかし今思うと『びっくりフラッシュ』のブームってなんなんだよって思うな。インターネットとインターネット外の世界をつなげたと言えばそうかもしれんが。
『びっくりフラッシュ』というのは、まあなんか『ウォーリーを探せ』の動画だよ、ウォーリーを探してね、って言われるわけね。そんでまあウォーリーを探すわけ。ウォーリーをご存知ない!? じゃあ『ミッケ!』でも「アハ体験の動画だよ」でもいいよ。とにかく集中して動画を見てたら、とつぜんギャー! という音とともに、白塗り血みどろの女性のアップが出てくるわけ。したらびっくりすんじゃん。集中してるだけに。
それの何が面白いんだ? と今になっちゃあ思うし、改めて問われると普通に「わからん」としか言えなくなるが、しかし当時は嬉々としてそれに乗ってたわけで、もういかなるブームが来てても、一切バカにする資格はないと思う。「でもあなたたち、びっくりフラッシュで喜んでましたよね?」って言われたらもう返す言葉が無くなってしまう。
エニウェイ、ホラーじみたことが楽しかった。そんで、これは積年の恨みっていうか、別に恨んじゃあないが、長年気にはなっていた『かまいたちの夜』をやるときが来たのでは? と思って、プレイすることにした。
そしたらね。まあ自分の名前が決められるわけ。だから素直に「貢」と入れる。したら次に、彼女の名前を決めろと言われる。そんで、ハー彼女の名前かいッって思いながら、冒頭で書いたいわゆる元カノの名前を入れる。そしたら何が起こったと思う?
『かまいたちの夜』をプレイしたことがある人なら分かるだろう。俺は元カノにストックで喉を貫かれ、惨殺されたのであった。
まあデブとはいえ、生まれつき太っていたわけではないし、太っている人間に交際相手が出来ないということもないんで、何人かといわゆる男女交際したことはある。ただそのー、まあこれは人でなしと言われても否定できないのだが、正直言ってあんまり覚えていない部分もある。例えば誕生日とかほぼ全員忘れている。付き合った記念日とかも全然覚えてない。名前の漢字も確証が持てない人もいる。
ただ、このエピソードだけはめちゃくちゃ良く覚えている。ちょっと前に別れたカノジョに、ストックで喉を貫かれて惨殺されるってことはなかなかないからだ。あまりに驚いて、確かクリアーまではしたと思うんだけど、これ以外の『かまいたちの夜』エピソードは全く思い出せない。あまりに鮮烈な光はほかの輝きを奪うのだ。もしかすると『街~運命の交差点~』のことを忘れているのもこのせいなのかもしれない。
さて、そういうわけで、やはし死を伴うエピソードと言うのは思い出深いものである。その死をめちゃくちゃ体験できる面白ノベルゲームを最近プレイしたので、ついでに紹介しておく。あ、死と言ってもカジュアルな死なので、ホラーでは全くありません。
汎銀河企業体 メロンスター.inc (https://kakuyomu.jp/works/4852201425154990397 )のノベルゲームである。
https://tsurumitoy.itch.io/melonstar
これだ。お話がそもそも面白いし、ゲームとしても試行錯誤は必要になって楽しいので、ぜひプレイして欲しい。多分現時点(v1.0.2)でEndは全11種類。End-11を目指して頑張って欲しい。原作小説は読むとネタバレになるので、クリアしてから読む方がいいかもしれないが、そうすると結末わりとノーヒントになるんだよナ……。俺は原作を知っていたので、「こうすればこうなるはず」と思えたが、それなりに分岐があるからな。そのへんはお任せします。
どうしてもあれだったら俺が作った攻略メモもあるので、こっそり質問してくれな。作者に聞いた方が早いかもしれないが。
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