陸上部員を探せ!!#7

「じゃあ昼休みのことを報告するよ」

「りょうかーい」

 ガラガラガラ!!

「すみませーん、新黒田さんだっけ?」

「うん、あってるよ」

「下の名前は健人さんだよ」

「はーい。新黒田健人さんいませんかーー」

 僕が教室で校長先生から言われたことを伝えようとすると、突然教室の後ろのドアが開き、3人ほどの賑やかな声が聞こえてきた。

 僕は戸惑いつつ後ろを振り返る。視界に入ってきたのは、活発そうな女子二人と男子一人、そして銀縁の眼鏡を掛けた男子一人の合計四人だ。

「めがねん!!どうした!?え!?」

 突然由香が大声を出し、僕らは由香の方を向く。

「その呼び方はやめてくれと言っているだろ」

 眼鏡を掛けた男子が冷たく言い放つが由香はまったく気にしない。

「じゃあ学年準優勝君」

「……」

 へえ、この間のテスト2位だったんだ。というか、呼ばれてたんだった。もう一度ドアの方を向いて、小さく手を上げる。

「僕が新黒田だけど」

 するとショートカットの方の女子が「わー」という。謎だ。

「えっと、私たち、陸上部に入りたいんですけど」

「おお、やったな、健人!!」

「えっと、4人とも?」

 由香がそう聞いてくれる。4人入ってくれれば、8人+由香の合計9人で部員集めがかなり楽になる。

「そうなんですよ。大丈夫ですよね?」

 ポニーテールの女子にそう言われて僕は頷く。断る理由はない。

「自己紹介をしてもらっていいか?」

 大輝がそう言うと眼鏡君が大輝をジッと見つめる。横目で大輝の方を見るとそちらも見ている──というより睨んでいる。なんの因縁があったんだこの二人には。

「じゃあ私からいきますね〜」

 ショートカットの子がビシッとお手本のように手を挙げる。

「えっと、私は矢嶋理絵やじまりえです!!体育の授業で好きなのは冬にあるハードル走です!!」

 ハードルか……。僕は長距離専門だから他の種目の人が来てくれるのはありがたい。

「私は雪雨由衣ゆきさめゆいです!!好きなのは長距離が好きですがそこまで早くないので陸上部で早くなれるように頑張ります!!」

 そう言ってお辞儀をする雪雨さん。長距離二人目か。あとは短距離だけど──

「僕は河野翔太かわのしょうたで、中長距離がメインです。よろしくお願いします」

竹崎啓たけさきけいだ。100mの自己記録は12秒16だ。よろしく」

 こちらも自己紹介をし終わり、他が雑談している時に由香に小声でさっきのことを聞く。

「大輝と竹崎くんってなにかあったの?」

 すると由香は大きく頷いて「何か大アリよ」と言う。どういうことだろうか、僕は心の中で首を傾げる。

「あの二人はそれはもう小学生の頃から『高宮城の二大天才』と言われるほど頭が良くてほぼほぼ100点だったのよ。で、中学校は順位が出るじゃん?それでライバル心を持ったみたい。まあ他にもいろいろあったんだけどね」

 そのいろいろについてとても気になったのだが……由香がそのまま話を続けたのでそのうち聞こうと思った。

「まあでも啓がここに入ってくるってことは、仲直りしたいってことなのかな……?」

 なるほど。まあ、とりあえず滝梨も呼んでくるか……。

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