第一走者:新たな始まり
新たな出会い
昨日から降り続けている雨がまだ止まない。さっきみた予報だと昼前にはやむらしいから、帰るころにはギリギリ止むか止まないか……。
うつむきがちで歩いていると、周りが見えずに別の方向へ行きそうで怖い。学校への道しか覚えてないから、もし別の道に行ってたら大変なことだ。でも、僕はそこまで目立ちたがりやじゃないので「おぉ〜、転入生だ」みたいな感じはできる限り避けたいのでうつむきがちで歩く。まあ、学校に着いたら間違いなく言われるだろうけど……。
とか思っているうちに学校に着いた。その途端。
「お前が、雄治んところの隣に引っ越してきた転入生か」と言われる。
ほら見ろ。学校に着いた瞬間これなのだから、教室に行くととんでもないことになるのだろう。──って、ん?「雄治んところの隣に越してきた」……?ってことはこの人は雄治の友達?
「えっと……雄治って山石くんのこと?」
「おう。そうだ。やっぱりお前が新黒田……なんだっけ?」
「健人。健康の健に人」
「うん。そうだった。健人とか言う転入生か」
「うん。そうだよ。よろしく。ところで君の……名前は」
「あぁ、そういえばまだ言ってなかったな。俺は大河内大輝。大きく輝くって書いて大輝な」
やっと相手の名前を知れた。聞き方がちょっと某映画の有名シーンっぽくなっちゃったけど、別にいいでしょ。
それにしても──
「なんで僕のことを?」
「ああ、一昨日雄治からLINEもらったんだよ」
そういうことか。
〜二日前〜
「ありがとうございましたぁ」
お父さんが引越しやさんにそう言っている。で、ふと隣の家を見るとちょうど僕と同じくらいの年頃らしき人影が窓から覗いていた。なんということか、その人とばっちり目があってしまった。
その人影は窓から引っ込んだ。なんとなくでてきそうだったのでお父さんには「もうちょっと外にいとくよ」と言っておく。すると案の定出てきた。
「君、もしかしてうちの中学に来るの?」
「うん。僕は新黒田健人。よろしく」
「あ、僕は山石雄治だよ。こちらこそよろしく」
「あ、荷物出さなきゃだった。ちょっと行ってくるね。また卒業式の日に」
「うん」
話す話題もないので荷物を出すという口実で──いや実際しなきゃいけないのだが、早めに退散することになった。
まさかこれらの二人と今後行動を共にすることになろうとは、勘が鋭い僕でも予想できなかった。
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