由香の想い人とは……?

 滝梨と大江がトボトボ戻っていく。

「ってことはこれまでの悪行は元々の部分もあるけど、由香の気を引きたかったからなんだね」

 雄治がそう結論づける。

「一番問題なのはあの2人ではなく、それに気づいてか気づかずにか注意をまったくしなかった親だな」

 どこか遠くを見たまま大輝が言う。

「んで、由香の好きな人って誰なの?」

 何気ない僕の言葉に由香の顔が赤くなる。

「あ、それ俺も気になってた」

 雄治の一言でさらに顔が赤くなる由香。遠くを見ていた大輝も由香の方を見ている。それに気づいた由香の顔が真っ赤になり顔を伏せる。

「お、教えない……。けど……」

「けど?」

「ううん。なんでもない」

 考え込んでいた雄治がこう言う。

「じゃあさ、由香の好きな人ってどんな感じ?」

 大輝と僕は合わせてポンッと手を打つ。その手があったか!!

「えっと……おとなしくて……真面目で、何かに全力で取り組めて、性格に裏表がない人……かな。今はこんな感じ……?」

 別に由香に恋愛感情をいだいてるわけじゃないのにショックを受ける。まあ予想していたことだが。でももし由香の好きな人が分かったらどうしよう。というかなんで僕はこんなことを考えているんだ?僕は由香に恋愛感情はいだいていない。僕に好きな人はいない。今はまだいなくていい……。じゃあこの心の中のわだかまりはなんだ……?僕に好きな人はい……。僕は由香に恋愛感情はいだいてい……。……るのか?僕は由香のことが好き……?

 え?

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