鴨檻先生暴行事件での暗躍#03
あの二人は自分の席に向かう途中でかばんをロッカーに投げ入れる。まわりの生徒は静かになる。しかしコソコソ声はやまない。しかし、それに構うことなく二人は喋り始める。
昨日のテレビのこと、最近流行りのカードゲームのこと、そして──。
「鴨檻、チョロかったな〜」
滝梨が笑いながら言う。それに対し大江も笑う。
「あんくらいで病院行きとかほんと草。親父に言ったら『まあ任せとけ』だとよ。ほんと草だわ」
「俺も家帰ったら聞かれたわ。『お前んとこの先生が来たが何があったんだ』ってさ。お前のせいにしといた」
そう言ってまた滝梨が笑う。はっきり言って耳障りな笑いかただ。
「ありえん……」
そう呟いてしまう。
『でしょ?』
由香に大輝、雄治が声を揃えてささやく。
そこに大越先生がやってくる。
「大江君、滝梨君、職員室に今すぐ行きなさい」
その言葉に生返事で答え、廊下に出て行く。しばらくあいつらの笑い声が廊下に響いていた。大越先生は僕らにも声をかける。
「8時5分から臨時の生徒指導朝会があるから廊下に並ぶように」
それはもう話を聞いた時点で分かっていた。どうせ矢津先生がダルそうな声で話すのだろう。皆について、廊下に出る。長くなりそうだ……。
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