陸上部員を探せ!!#4
由香が陸上部に入れないことが分かっても、四人で部員探しを続ける。一度決めたことを途中でやめるのは嫌いだ。
しかしもう今日は20日。部活承認をしてもらう予定の23日はもう明々後日だ。
「なかなか……厳しいな」
大輝がそう言うと雄治が紙に何かを書き出した。
「まず僕ら三人と由香でしょ。んで滝梨。これで五人は確定。あと誘ってる二人が来れば……」
「あれ?私陸上部入れないって雄治に言ってなかったっけ?」
由香がそう聞く。それは僕も思っていた。すると雄治はさらっととんでもないことを言い出した。
「いや、ギリ十人集まらなかったら由香の名前だけ登録してもらおうか思って」
「えっ、それは……つまり実際の部員数は九人だけど、名簿には十人載ってるみたいなことだよね」
僕が念のために聞くと雄治は大きく頷く。
「まあ、それでも五人集めなきゃいけないな……」
「そんな大河内大輝君に朗報!!」
ボソリとつぶやいた大輝に突然由香が大きな声を出す。
「なんだなんだ」
「なぜフルネームなんだ……?」
「おい大輝!!ツッコムとこそこじゃないだろ!!」
大輝のツッコミのボケに対してちょっと乗っかってみる。
「んで、朗報ってのは?」
唯一落ち着いている雄治が由香の方を向く。
「じゃあこれを見てもらおうかなぁ〜?」
由香はそう言って机の中からファイルを取り出しその中から紙を取り出した。それを机の上に置く。
「っ!?」
「うぉっ……」
「これは……」
『す、すげーー!!』
由香が取り出したもの、それは──。
「由香、絵の才能あったんだな」
「雄治!?ちょっと失礼じゃない?」
「あはは、ごめんごめん」
「これを許可取って張りまくったらきっと五人なんてすぐ集まるわよ」
「え、それそんなにあるの?」
「うん、家でコピーしてきたから」
──陸上部員募集の張り紙、およそ30枚。
「由香……ありがとう。本当に助かるよ」
言い出しっぺの僕が代表してお礼を言うと由香は頬を赤らめた。
「そんな改まって言わなくていいよ〜。同じ陸上部員だからさ」
確かにそうだ。ここに集まっている四人は全員「陸上部を作りたい!!」という決意の元集まったメンバーなのだ。
まだまだ人数は足りないが、四人全員でアイデアを出し合えばあっという間に部員なんて集まるだろう。
「あ、それと僕からもアイデアがあるんだけどさ、明日の朝会で時間取ってもらおうよ」
雄治は張り紙と同じくらい強力な案を出してくれた。
「んじゃあ、原稿は俺がやるよ」
大輝がそう言って手をあげる。
「じゃあ、僕は読み上げ、と。よし、なんかいける気がしてきたよ」
「そりゃあそうよ。私たちが集まってるんだもの」
「いける気がする、じゃなくて絶対に大丈夫だよ」
「明日は忙しくなりそうだな……」
よし──そろそろアレの方も……。
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